保釈されていない勾留中の被告人であっても、無罪判決を受けた時点で、検察の上訴にかかわらず釈放される?
刑事裁判においては、保釈が認められていない勾留中の被告人であっても、無罪判決を受けた時点で、保釈金無しで釈放されるのですか?
そして、その無罪判決に対して検察側が控訴または上告したとしても、その控訴審または上告審で無罪判決が破棄されない限り、釈放状態は続いたままとなるのですか?
例えば、保釈が認められていない勾留中の被告人が一審で無罪判決を受けたら、その時点でその被告人は、保釈金を払わなくても釈放されることになり、控訴審で無罪判決が破棄されない限り、その釈放状態は続いたままとなるのですか?
刑事訴訟法第345条では、「無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第三百三十八条第四号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。」と定められており、無罪判決がなされた場合、被告人は釈放されることになります。
もっとも、無罪判決に対して検察側が控訴し、さらに検察側が控訴審裁判所等に勾留請求を行うことがあります。
この無罪判決後の勾留の可否について、以下のような判例があります。
「第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合であっても,控訴審裁判所は,第1審裁判所の判決の内容,取り分け無罪とした理由及び関係証拠を検討した結果,なお罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,かつ,刑訴法345条の趣旨及び控訴審が事後審査審であることを考慮しても,勾留の理由及び必要性が認められるときは,その審理の段階を問わず,被告人を勾留することができる。」(平成23年10月5日最高裁判所第二小法廷決定)
→ この判決によれば、無罪判決が出されたとしても、検察側から控訴され、裁判所により勾留が認められた場合には、勾留されてしまう可能性があります。
そのため、弁護人としては、勾留の理由や必要性がないこと等を裁判所に主張し、勾留が認められないよう、弁護活動を展開することになります。
【参考】裁判例検索(裁判所サイト)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81674
ご回答ありがとうございます。
そうなのですね。
それでは、たとえ死刑が求刑されている重大事件であっても、無罪判決が出れば、その時点で被告人は釈放されるわけですか?
そして、原則的には、その無罪判決が破棄されない限り、検察が上訴したとしても(裁判所により勾留が認められた場合以外は)釈放状態が続くことになるわけですか?