不当利得返還請求訴訟で相手方の通帳の開示をしてもらうことは可能か。また勝訴の確率は?

実家で一人暮らしをしていた父が4か月前に脳出血で倒れて意識ふめいのまま先月亡くなりました。実家の近くに住む弟が父の通帳を管理していたのですが、遺産分割協議に一切応じようとしません。そのため銀行から残高証明と取引明細を取り寄せたところ、父が意識を失っていた4か月の間に50万円ずつ複数回にわたりATMから引き出され、その額合計1200万円にも及んでいました。このほかに入院代金などに使ったと思われる引き出しが月々15万円ほどありました。
実家の光熱水費や保険料などは全て口座引き落としになっているため、意識を失って入院中の父に必要なお金が1200万円もいるとは考えられません。ちなみに父が入院中は大部屋で差額ベッド料などは必要なく、また高額医療費の限度額認定証も持っておりました。

弟は調停にも出てきませんでしたので、弁護士に依頼して不当利得返還請求訴訟を起こそうかと考えています。
こちら側の証拠は、①銀行の取引明細 ②父が意識を失って一度も意識が戻らずしぼうしたというカルテ、入院費用の請求書 ③キャッシュカードを管理していたのは弟で、お金を引き出せたのは弟だけであること、弟の家の近くのATMから引き出されていることなどです。

証拠を補強するために、不当利得返還訴訟で相手方の通帳の入金履歴を23条照会や調査嘱託で開示させることは可能でしょうか。
また不正引き出しと入金の金額と日付がすべて一致していた場合勝訴の確率はどのくらいでしょうか。

いぬいぬちゃん様

証拠を補強するために、不当利得返還訴訟で相手方の通帳の入金履歴を23条照会や調査嘱託で開示させることは可能でしょうか。
⇒不当利得返還請求又は不法行為に基づく損害賠償請求のいずれかになるものと思いますが、その裁判手続きの中で、調査嘱託等を行うことは十分考えられます。もっとも、網羅的な探索的調査となることを裁判所は忌避しますので、具体的な期間等を特定して行う必要があります。

不正引き出しと入金の金額と日付がすべて一致していた場合勝訴の確率はどのくらいでしょうか。
⇒誠に恐縮ですが、勝訴の確率をこの場でお伝えすることはできませんので、個別に依頼した弁護士にご相談いただき、ご質問ください。
一般的な回答となり恐縮ですが、使途不明金訴訟の場合には、よくて5分5分というところです。

なお、仮に裁判で勝ったとしても弟さんに資力がないと具体的な回収をすることはできませんので、弟さんの財産への事前の仮差押え等もきちんと検討してくれる弁護士の方にご相談いただくことをお勧めいたします。

父の通帳からの引き出しと、弟の通帳への入金が、金額及び日がすべて同一の場合には、弟がそのことについて、適切な弁解をしない以上、弟がそのお金を自分のために引き出して入金した、すなわち、不正にお金を取ったと認定される確率が高いでしょう。実際の事案ではそのように単純でないために、認定が微妙になってきます。

事案次第というところもありますが、こういった例で、引き出した方が、弟さん以外に考えられないような場合は、相手方が十分な弁明ができないことが多く、こちらの請求が認められることが多いと思います(訴訟だと、無視するとこちらの主張を認容する判決が出てしまいます)。
ただ、調査嘱託を利用しても、相手の銀行口座の開示は難しいですね。ATMで引き出したようですので、相手の口座に直接振り込まれたわけではないので、特定ができませんから。

こちら側の証拠は、①銀行の取引明細 ②父が意識を失って一度も意識が戻らずしぼうしたというカルテ、入院費用の請求書 ③キャッシュカードを管理していたのは弟で、お金を引き出せたのは弟だけであること、弟の家の近くのATMから引き出されていることなどです。

証拠を補強するために、不当利得返還訴訟で相手方の通帳の入金履歴を23条照会や調査嘱託で開示させることは可能でしょうか。
また不正引き出しと入金の金額と日付がすべて一致していた場合勝訴の確率はどのくらいでしょうか。
  23条照会では相手の通帳の履歴を開示させることは難しいです。
  裁判所の調査嘱託は認められるかどうかはわかりませんが
  不当利得返還請求において、上記①②③が立証できれば、弟の通帳が開示されなくても
 勝訴できる可能性はあります。
  弁護士に面談で相談された方がよいと思います。