一度判決が確定した民事裁判の記録は全て公的機関が保存管理してる?でないと誤った二重提訴が起こり得る?
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日本の民事司法では、 「前の裁判で確定した判断は、当事者は後の裁判で別途争うことができず、別の裁判所も前の裁判の判断内容に拘束される。」 という既判力の原則が存在しますね。 したがって、ある民事事件で一度判決が確定したからには、同一事件で同一人物が再び提訴される事は無いわけですね。 しかし疑問に思ったのですが、ある人がある民事事件で提訴されて判決が確定したが、その後、元原告がその事実を失念して、再び同一事件で同一人物を提訴をしてしまうという事態は起こり得ないですか? そういう事が起こらないよう、勝訴・敗訴にかかわらず一度判決が確定した民事裁判については、全て、(裁判所などの)公的機関がデータベースとして記録し管理しているのですか? 現実問題としては、一度判決が確定した民事事件について、当時の関係者が記憶していないというのは考えづらいのですが、仮にそういう事態が起こったとしたら、既にその事件で判決が確定している事実の証明責任は、元被告側にあるのですか? 例えば、元被告側が、その確定済みの判決の判決文を提示しなければならないなど。 疑問に思ったので、よろしくお願いします。
ひかる さん ()
弁護士からの回答タイムライン
- 佐藤 充崇弁護士まず、既判力がある場合、再び提訴されることが禁じられるわけではありません。単に前訴の事実審口頭弁論終結時の訴訟物の存否に関する判断と矛盾する主張が後訴で禁じられるだけです。 ですので、時効の中断・更新が必要な場合など、同一事件同一当事者で再び提訴されることはたまにあります。 裁判所もデータベースで記録して管理などしている様子は見受けられません。建前としては既判力の存否は裁判所が調べて認定できるとされていますが、事実上は当事者が主張しないと裁判所が気づかないことも多いです。立証まで必要かはケースバイケースです。
- ひかるさんご回答ありがとうございます。 となると、もし自分が何らかの民事事件で提訴され勝訴(相手側の訴えが退けられる)したとしても、それに安心してその裁判の関連資料を全て廃棄してしまうのではなく、判決文などその裁判で自分が勝訴した事実を裏付ける証拠は保全しておいたほうが良いのでしょうか?
- 佐藤 充崇弁護士その方がいいでしょうね。判決書は可能な限り長く保管しておいた方がいいです。 訴訟記録は裁判所も永遠に保管してくれるわけではないので。
- ひかるさんありがとうございます。 ちなみに、刑事事件の場合は、どうなのでしょうか? 刑事事件には一事不再理の原則が定められていますが、誤って同一事件で同一人物を再び起訴してしまう事が無いよう、有罪・無罪にかかわらず一度判決が確定した刑事裁判については、全て、(裁判所や検察庁などの)公的機関がデータベースとして記録し管理しているのですか?
- 佐藤 充崇弁護士まず、刑事確定訴訟記録法に基づいて、同法別表・同法施行規則に定める期間、判決書などの刑事訴訟記録が保存されています。 また、有罪判決については、前科記録として、検察庁が法務省令「犯歴事務規定」に基づきデータベースを作成していますし、市区町村に犯罪人名簿が作成されています。 そのため有罪判決が出たケースで同じ罪について再起訴されることは考えにくいです。 無罪判決について捜査機関や裁判所がデータベース化しているかどうかは恥ずかしながら私は分かりません。おそらくデジタルでデータベース化していてもしていなくても、それを公表していないと思います。 ただ無罪事案でも、少なくとも捜査資料はある程度は残っています(何をいつまで保管しているかは全て明らかになっているわけではありませんが)。新聞記事のデータベースなどもありますし、公訴時効の問題もあります。検察が無罪判決を経た事件について同じ罪で間違って起訴してしまうことは現在は考えにくいです。日本国憲法39条に規定のあることなので、実際にあったら結構な不祥事だと思います。
この投稿は、2023年3月29日時点の情報です。
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