まつの えりこ
松野 絵里子弁護士
東京ジェイ法律事務所
虎ノ門駅
東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビル4階
インタビュー | 松野 絵里子弁護士 東京ジェイ法律事務所
ジェンダーだけではない、日本が抱える親権の壁。「共同親権」を目指す女性弁護士の闘い
質の高い法律サービスを、もっとリーズナブルに提供したい。
そんな思いで国内最大規模の大手企業法務法律事務所から独立した、東京ジェイ法律事務所の松野絵里子弁護士。
国際離婚や海外相続などの国際案件の経験が豊富で、複雑な家事事件や紛争・国際企業法務に対応できるのが最大の武器です。
また、日本での共同親権の導入にも熱心に取り組んでいます。
そんな松野弁護士のキャリアやルーツなどについてお聞きしました。
そんな思いで国内最大規模の大手企業法務法律事務所から独立した、東京ジェイ法律事務所の松野絵里子弁護士。
国際離婚や海外相続などの国際案件の経験が豊富で、複雑な家事事件や紛争・国際企業法務に対応できるのが最大の武器です。
また、日本での共同親権の導入にも熱心に取り組んでいます。
そんな松野弁護士のキャリアやルーツなどについてお聞きしました。
01 得意分野とキャリア
国際離婚や海外相続など、複雑な家事事件にも対応
ーー最初に、得意分野や強みを教えていただけますか?
家事事件や企業法務が得意です。
とくに国際離婚や海外資産の財産分与・相続、海外との取引など、国際的な問題を含めて複雑な事案に精通しているのが私の強みです。
海外不動産では、とくにハワイの別荘に関連したトラブルなどもハワイ州法の不動産弁護士と協力して対応しています。
また、ハーグ条約による子どもの連れ去りや引渡しの問題について、海外からの子どもを連れた移転についても対応可能です。
ハーグ条約は、親権者の一方が他方親権者の同意を得ずに、子どもをもともと住んでいた国から連れ出したり、戻さないときに、子を原則は返還するという条約です。
企業法務では、日本企業の海外取引や進出、外国企業の日本国内での事業展開に関するサポートなどに力を入れています。
家事事件も企業法務も、現地の法律に準拠したかたちで海外の弁護士と交渉したり、書類を作成したりする必要があります。
英語能力や経験が必要であり、十分に対応できる弁護士は多くありません。
ーー語学ができないと難しい事件ですよね?
私は学生の頃にイギリスに留学し、卒業後はアメリカの投資銀行に入社しました。
弁護士のキャリアをスタートさせたのは、それから約8年後の2000年です。
その後は、いわゆる4大事務所といわれる渉外(国際)法律事務所で10年以上のキャリアを積みいわゆるファイナンスロイヤーとして、金融機関のコンプライアンスや一般企業の上場、不動産投資法人の立ち上げなどに携わってきました。
このように国際業務を長く経験していたので、現在も海外取引のある企業からのご依頼をいただいています。
また、フィンテック企業など2社の社外役員、不動産投資法人の外部委員にも就いています。
家事事件や企業法務が得意です。
とくに国際離婚や海外資産の財産分与・相続、海外との取引など、国際的な問題を含めて複雑な事案に精通しているのが私の強みです。
海外不動産では、とくにハワイの別荘に関連したトラブルなどもハワイ州法の不動産弁護士と協力して対応しています。
また、ハーグ条約による子どもの連れ去りや引渡しの問題について、海外からの子どもを連れた移転についても対応可能です。
ハーグ条約は、親権者の一方が他方親権者の同意を得ずに、子どもをもともと住んでいた国から連れ出したり、戻さないときに、子を原則は返還するという条約です。
企業法務では、日本企業の海外取引や進出、外国企業の日本国内での事業展開に関するサポートなどに力を入れています。
家事事件も企業法務も、現地の法律に準拠したかたちで海外の弁護士と交渉したり、書類を作成したりする必要があります。
英語能力や経験が必要であり、十分に対応できる弁護士は多くありません。
ーー語学ができないと難しい事件ですよね?
私は学生の頃にイギリスに留学し、卒業後はアメリカの投資銀行に入社しました。
弁護士のキャリアをスタートさせたのは、それから約8年後の2000年です。
その後は、いわゆる4大事務所といわれる渉外(国際)法律事務所で10年以上のキャリアを積みいわゆるファイナンスロイヤーとして、金融機関のコンプライアンスや一般企業の上場、不動産投資法人の立ち上げなどに携わってきました。
このように国際業務を長く経験していたので、現在も海外取引のある企業からのご依頼をいただいています。
また、フィンテック企業など2社の社外役員、不動産投資法人の外部委員にも就いています。
02 私の強み・武器
常に複数の解決策を提示。財産分与など数字にも強い
ーー大手の事務所を辞めて、独立されたのはなぜですか?
大きな事務所で磨いた質の高い法律サービスを、もっとリーズナブルに提供したいと思ったからです。
同時に、これまでのお客様は大企業ばかりでしたが、もっと中小企業の紛争や個人の方々、とくに私たちにとって最も身近な家事事件でお役に立ちたい思いが強くありました。生活スタイルを変更したいということもありました。
ーー「質の高い法律サービス」とは、例えばどんなことでしょう?
例えば、瞬時に、多角的にアイデアを提案できるところです。
以前の大企業のクライアントを相手にした経験では、目的達成のために必要な解決策を常に3〜4つほど提示するのが当たり前の文化のなかで育ちました。
ですので、家事事件でも受け身の姿勢ではなく、「こうしたらどう?」「ああすればいいかも」と積極的に模索し、提案するのが私のスタイルです。
例えば、離婚後の財産分与です。
夫婦ともに「持ち家はいらない。それよりもお金がほしい」と考えている場合、どうしたらいいか。
どちらか一方に持ち家を押しつけようとむやみに争うのではなく、家を先に売る合意をして売却して現金に変え、いったん弁護士の預かり口座にプールし、それをどう分割するかを裁判官に判断してもらうのです。
財産分与に関しては、私がお手伝いさせていただく事件では和解で終わるケースがほとんどです。
ーー「第3の選択肢」を積極的に提案する、というわけですね。
例えば、面会交流で、両親が不仲で顔を合わせたくないため、子どもを受け渡す場所をどこにするかで揉めているとすれば、面会する片親が前日の夜に子どもが通う保育園に直接迎えに行けば2人は会わずに済みますよね。
そんなに難しい提案ではないと思われるかもしれませんが、意外とこういう提案をスッとできる弁護士は少ないんですよね。
私はなるべくいろんなアイデアをご提示して、「どれが一番いいですか?」と依頼者に選んでいただけるようにしています。
あとは、もともとファイナンスロイヤーでしたから、財産分与の際の計算や複雑な条項も得意ですね。
大きな事務所で磨いた質の高い法律サービスを、もっとリーズナブルに提供したいと思ったからです。
同時に、これまでのお客様は大企業ばかりでしたが、もっと中小企業の紛争や個人の方々、とくに私たちにとって最も身近な家事事件でお役に立ちたい思いが強くありました。生活スタイルを変更したいということもありました。
ーー「質の高い法律サービス」とは、例えばどんなことでしょう?
例えば、瞬時に、多角的にアイデアを提案できるところです。
以前の大企業のクライアントを相手にした経験では、目的達成のために必要な解決策を常に3〜4つほど提示するのが当たり前の文化のなかで育ちました。
ですので、家事事件でも受け身の姿勢ではなく、「こうしたらどう?」「ああすればいいかも」と積極的に模索し、提案するのが私のスタイルです。
例えば、離婚後の財産分与です。
夫婦ともに「持ち家はいらない。それよりもお金がほしい」と考えている場合、どうしたらいいか。
どちらか一方に持ち家を押しつけようとむやみに争うのではなく、家を先に売る合意をして売却して現金に変え、いったん弁護士の預かり口座にプールし、それをどう分割するかを裁判官に判断してもらうのです。
財産分与に関しては、私がお手伝いさせていただく事件では和解で終わるケースがほとんどです。
ーー「第3の選択肢」を積極的に提案する、というわけですね。
例えば、面会交流で、両親が不仲で顔を合わせたくないため、子どもを受け渡す場所をどこにするかで揉めているとすれば、面会する片親が前日の夜に子どもが通う保育園に直接迎えに行けば2人は会わずに済みますよね。
そんなに難しい提案ではないと思われるかもしれませんが、意外とこういう提案をスッとできる弁護士は少ないんですよね。
私はなるべくいろんなアイデアをご提示して、「どれが一番いいですか?」と依頼者に選んでいただけるようにしています。
あとは、もともとファイナンスロイヤーでしたから、財産分与の際の計算や複雑な条項も得意ですね。
03 事件解決のために心がけていること
モットーは円満解決。親権問題は初動が肝心
ーー今挙げていただいた財産分与や面会交流をはじめ、家事事件を扱うときに大切にしていることはありますか?
勝ち負けよりも、いかに円満解決させるかにこだわっています。
離婚や、それに伴う養育費や面会交流の問題、それに相続などは、身内での非難の応酬になり、お互いに精神的に大きなダメージを受けてしまうケースが少なくありません。
とくに、子どもが絡む親権や監護権の争いは壮絶になりがちです。
私のもとには日々、監護権・親権を取れなかったり、なかなか子どもと面会させてもらえなかったりする親御さんからのSOSが殺到しています。
ーーそういう場合、やはり初動が大事になってくるのでしょうか?
子どもがいる場合の離婚は、子どもの将来を最優先に、長い目で見てどのように関係を構築していくかがとても重要です。
面会のルールや養育費について事前にしっかり決めておく必要があり、失敗しないためには初期の段階で円満解決を目指す弁護士を介入させるべきです。
私は一般的に難しいといわれる父親側の代理人になったり、ハーグ条約への対応など複雑な事案を受任していますが
お互いになるべく納得できる出口まで、どう伴走していくかが、困難ですが重要な仕事になります。
長期目線の戦略づくりをモットーとしております。
ーーそれにしても、多彩な顔を持たれていて輝かしいキャリアに見えます。
いえいえ、実はいろいろ苦労もしましたよ。
以前勤めていた事務所は深夜までの勤務も普通で、そのなかで女性が子どもを育てつつ残るのは至難の業でした。
そんななかでがむしゃらに働いてきました。
それでも仕事と育児を両立できたのは、夫や両親の助け、家事のお手伝いさんのサポートがあったことと、そして何より「仕事が楽しい」という揺るぎない思いが根底にあったからです。
ーーたまには息抜きもされているのでしょうか?
今は子育ても一段落したので、以前に比べれば趣味に費やす時間は増えました。
オペラを鑑賞するのが好きで、「私も歌ってみたい」と合唱団に入ったり、個人レッスンを始めたところです。
あとは、フィギュアスケートも大好きですね。
国内で開催される主要な大会はテレビや現地観戦をしています。
勝ち負けよりも、いかに円満解決させるかにこだわっています。
離婚や、それに伴う養育費や面会交流の問題、それに相続などは、身内での非難の応酬になり、お互いに精神的に大きなダメージを受けてしまうケースが少なくありません。
とくに、子どもが絡む親権や監護権の争いは壮絶になりがちです。
私のもとには日々、監護権・親権を取れなかったり、なかなか子どもと面会させてもらえなかったりする親御さんからのSOSが殺到しています。
ーーそういう場合、やはり初動が大事になってくるのでしょうか?
子どもがいる場合の離婚は、子どもの将来を最優先に、長い目で見てどのように関係を構築していくかがとても重要です。
面会のルールや養育費について事前にしっかり決めておく必要があり、失敗しないためには初期の段階で円満解決を目指す弁護士を介入させるべきです。
私は一般的に難しいといわれる父親側の代理人になったり、ハーグ条約への対応など複雑な事案を受任していますが
お互いになるべく納得できる出口まで、どう伴走していくかが、困難ですが重要な仕事になります。
長期目線の戦略づくりをモットーとしております。
ーーそれにしても、多彩な顔を持たれていて輝かしいキャリアに見えます。
いえいえ、実はいろいろ苦労もしましたよ。
以前勤めていた事務所は深夜までの勤務も普通で、そのなかで女性が子どもを育てつつ残るのは至難の業でした。
そんななかでがむしゃらに働いてきました。
それでも仕事と育児を両立できたのは、夫や両親の助け、家事のお手伝いさんのサポートがあったことと、そして何より「仕事が楽しい」という揺るぎない思いが根底にあったからです。
ーーたまには息抜きもされているのでしょうか?
今は子育ても一段落したので、以前に比べれば趣味に費やす時間は増えました。
オペラを鑑賞するのが好きで、「私も歌ってみたい」と合唱団に入ったり、個人レッスンを始めたところです。
あとは、フィギュアスケートも大好きですね。
国内で開催される主要な大会はテレビや現地観戦をしています。
04 今後の展望
日本にも「共同親権」導入を。訴訟や署名活動に動く
ーー現在、または今後にかけて、とくに力を入れていきたい分野などはありますか?
今とても力を入れているのが、離婚後の共同親権の制度の導入です。
共同親権とは、離婚しても両親が2人とも子どもの親権をもてる制度です。
日本の民法では離婚時に父母のどちらかを親権者に指定する必要があり、そのために子どもと引き裂かれ、苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃいます。
これが実現すれば、親権を奪い合うのではなく、建設的な協議ができるなどのメリットがあります。
子どもの教育や将来を考えても、両親の存在が近いほうが子にとっても幸福感があって安心なはずです。
今や共同親権・共同養育は世界のスタンダードになっているのに、日本は時代の流れに取り残されているようにおもっています。
制度確立の壁はなかなか厚いのですが、やっと政府でも導入について検討が始まっております。
私は現在、家庭裁判所での新たな共同養育を可能にできる審判の確立を目指して家裁の新しいタイプの事件を申し立てて署名活動も行っています。
子どもにとっても親にとっても、少しでも家庭裁判所が未来志向の後押しを
してくれるよう、日本を変えていきたいと思って、
1人の親として、一人の弁護士として、これから力を尽くしていく覚悟です。
今とても力を入れているのが、離婚後の共同親権の制度の導入です。
共同親権とは、離婚しても両親が2人とも子どもの親権をもてる制度です。
日本の民法では離婚時に父母のどちらかを親権者に指定する必要があり、そのために子どもと引き裂かれ、苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃいます。
これが実現すれば、親権を奪い合うのではなく、建設的な協議ができるなどのメリットがあります。
子どもの教育や将来を考えても、両親の存在が近いほうが子にとっても幸福感があって安心なはずです。
今や共同親権・共同養育は世界のスタンダードになっているのに、日本は時代の流れに取り残されているようにおもっています。
制度確立の壁はなかなか厚いのですが、やっと政府でも導入について検討が始まっております。
私は現在、家庭裁判所での新たな共同養育を可能にできる審判の確立を目指して家裁の新しいタイプの事件を申し立てて署名活動も行っています。
子どもにとっても親にとっても、少しでも家庭裁判所が未来志向の後押しを
してくれるよう、日本を変えていきたいと思って、
1人の親として、一人の弁護士として、これから力を尽くしていく覚悟です。