最高裁が原判決を「明らかな法令違反あり」とした場合、上告人は下級審判決を不法行為として国賠請求可能?

最高裁が、下級審の判決について、「明らかな法令の違反があった」と判断して、その下級審の判決を破棄することがあります。

そこで疑問に思ったのですが、そういう場合、「明らかな法令の違反」のあった判決を受けた者は、その判決行為を不法行為として、国家賠償請求訴訟を提起することは出来るのですか?

例えば、ある最高裁判決では、
「(一審、二審判決が)具体的根拠が乏しいまま上告人が本件行為をしたものと認定したことについては、 審理不尽の結果、結論に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるといわざるを得ない。」
と判示されました。

この場合、その上告人は、一審、二審判決が「具体的根拠が乏しいまま上告人が本件行為をしたものと認定したこと」(最高裁から「明らかな法令の違反」と判断されたこと)を「国家による不法行為」として、国に対して損害賠償・慰謝料を支払わせることは出来るのですか?

よろしくお願いします。

ほぼ不可能と考えていただいて差し支えありません。
判決が誤っていたことを理由として国の損害賠償責任が肯定されるためには、
(1)当該裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、
(2)当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることが必要とされています。
裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をすることなどおよそ想定できず、万が一そのような目的があったとしてもそれは主観の話であり立証が不可能と思われますので、現実に判決の過誤を理由として国家賠償責任が肯定されることはないと思われます。

ご回答ありがとうございます。

そうなのですか。
それでは、次のような場合はどうなのでしょうか?

以前、ある刑事裁判で、一審の裁判所が、法定刑の上限を超える判決を言い渡したということがありました。地検が誤って法的刑を超える求刑し、被告人の弁護人も、裁判所も、そのミスに気付かなかったらしいです。その後、検察側がこのミスに気づき、控訴したらしいです。
このような「裁判所が法定刑の上限を超える判決を言い渡した」という過誤の場合、それを理由として国の損害賠償責任を問うことは出来ないでしょうか?