レーザー治療ミス 火傷

去年の12月に背中とお腹全体のニキビ跡(色素沈着)のレーザー治療を5回コース90万円前後で契約しました。1回目の治療後施術部が赤くミミズ腫れになり、その後お腹全体が茶色の火傷跡となりました。クリニックに相談した所火傷は半年ほどで消えるとの事で、その後もコースを続けて半年経ち残り回数1回となりましたが、少し薄くなった程度で跡が消えません。クリニック側からは保証や今後の治療などの話は一切無く、コース回数が終われば終了という流れになりそうです。契約書を確認してもクーリングオフや途中解約等についての記載はあっても、トラブル時の保証についての記載はありませんでした。来月最後の施術時に火傷跡の保証についてクリニック側に相談してみますが、クリニック側からの保証等が一切無い場合、弁護士さんに相談の上、治療費用や交通費の返金、後遺症慰謝料等の請求は可能でしょうか。宜しくお願い致します。

【回答】
火傷が残ってしまった原因を確認する必要があります。

【理由】
典型的なケースを想定すると、
火傷の原因が、
肝斑(メラニン色素の沈着が原因のシミ)
に対してレーザーを照射してしまったこと
によるもので、
なおかつ、
事前に肝斑にレーザー照射した場合の
リスクの説明が十分になされなかった場合には、
説明義務違反や契約の錯誤取消し
が認められる可能性があります。

医学的には、肝斑に対して
レーザーを照射することは禁忌とされています。
肝斑は太田母斑、ソバカス、
茶アザ等と区別がつきにくいところ、
レーザーによる施術を行うと
かえって色素の増悪を起こす危険性が高い
と考えられているようです。

医師がこのような禁忌を犯してしまったのか、
それとも本件の治癒経過が一般的な医学的知見
にある程度沿った経過を辿っているか
(医学的に想定される普通の事例でよく見られる
デメリットが生じたに過ぎないのか)
どうかが重要なポイントになるかと思います。

弁護士に委任するにしても、
弁護士が本件に関連する法的問題
に対して自信をもって判断するためには、
上記の区別の見通しを立てることが
極めて重要になってきます。

そのためには、弁護士への相談や委任に並行して、
まずは美容医療を専門とするドクターなどへ
セカンドオピニオンをとってみること
(なぜ火傷が生じたのか、
避けられた火傷なのか等を聞いてみる)
を強くおすすめいたします。

錯誤取消しや説明義務違反が認められた場合、
治療費用や交通費の返金が認められる可能性は高いです。

なお、後遺症慰謝料等の請求については、
ややハードルが高いかと思います。
本件で後遺障害が認められるとすれば、
医学的に見て医療ミスが肯定できることを前提に、
「外貌醜状」に当てはまることが必要ですが、
外貌とは、頭部、顔面部、頚部等の、
日常露出する部分を指し、
お腹や背中については基本的には該当しないと考えられるからです。