自転車と歩行者の事故

通勤途中に自転車で幅の広い歩道を走行していたら左が車道側、右が建物側にそれぞれスペースがある歩道のど真ん中に引っ越し業者のトラック(トラックには作業中などの張り紙などもなく外観からも引っ越し作業とは分かりずらくやりとりをしていく中で引っ越し業者だと判明)が停車してありました。
車道側のスペースはトラックで死角になっていたので、建物側の真っ直ぐ見通しの良い方を選んで走行しようと思い走っていたらトラックの影に段ボールが見えたのでブレーキをかけましたがその段ボールを持った業者が前方を確認せず前進したのでその段ボールにぶつかり私が転倒しました。
私が段ボールにぶつかるというよりは段ボールが私を押す形で建物側に転倒しました。
警察を呼び手続きをしてもらったのですが、自転車対歩行者になり私が加害者になるということで相手側は無傷なので物損事故扱いになりました。
その後、腰などを打っていたので病院に行くと腰椎横突起にヒビが入っていました。
この場合は人身事故に切り替えた方がいいのでしょうか。警察の方曰く、相手側に怪我は全くないので人身事故にすると自分を自分で罰する形になると言われました。私が段ボールに突っ込む形でぶつかるなら分かるのですが、今回はぶつけられヒビも入っているのに相手側に落ち度はないのでしょうか。

道路交通法上、自転車の交通ルールとして、以下のような決まりがあります。
・ 自転車は「軽車両」
・ 歩道と車道の区別があるところでは、車道通行が原則です。
・ 車道では左側(車両通行帯のない道路では左側端)に寄って通行しなければいけません。
・ 歩道を通行できる場合でも、車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げるおそれのある場合は一時停止しなければいけません。

そのため、裁判実務では、歩道上での自転車と歩行者の事故の場合、歩行者の過失割合は基本的にはゼロと考えられており、歩行者側の歩行態様に大きな過失が認められるような事案(携帯を操作しながら歩行していた等)において歩行者に10%程度の過失を認める傾向にあるようです。

歩行者と同視できるのか、業者側の段ボールの運搬の仕方に落ち度はないのか等を問題にし得る余地はあるかと思いますが、歩道上の歩行者に例外的に過失割合が認められているケースは、そもそも、自転車側に歩道を走行できる事情がある場合です。

そのため、あなたのケースでも、走行していた歩道がそもそも自転車通行可の歩道であったのかを確認すべきでしょう(自転車通行可の歩道ではなく、本来であれば車道を通行すべきであった場合には、過失割合の認定においても、自転車側に不利に働く可能性があります)。

【参考】
福岡県警サイト「自転車の交通ルールについて」
https://www.police.pref.fukuoka.jp/kotsu/kotsukikaku/anzenkyoiku/jitennsharu-ru.html

また、自転車の交通ルール違反には、道路交通法上、懲役や罰金等の罰則が定められているため、注意が必要です。

【参考】
福岡市サイト「自転車の交通ルールについて」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/seikatsuanzen/shisei/jitensya-kotsurule.html

あなた又はご家族(同居•別居を問いません)が加入している保険(自動車の任意保険、自転車保険等)に人身傷害特約が付いており、今回の事故にも適用されるかを確認してみて下さい。適用がある場合、その保険•特約から治療費等の支払を受けられる可能性があります。