声をかけようと人の肩を軽く叩くことは犯罪に当たりますか?

一週間前、居酒屋で人の肩を叩いてしまい、暴行罪や傷害罪になるのではないかと不安です。
 初対面の客同士が和気藹々と談笑している居酒屋で、隣の男性グループの会話に興味を持った私は話しかけようとその男性の肩をトントンと叩いて声をかけました。
 その男性は怪訝な顔をして私を無視し、私もそれ以上は何もせずに食事を続けました。
 15分後くらいにそのグループは会計を済ませ、そのタイミングで私もその男性に声をかけたことを謝罪してその場は終わったのですが、後日になって肩を叩いたことが暴行や傷害罪にあたるのではないかと不安になっております。
 肩を叩いた強さは、確実ではないですが、 決して怪我を負わせるものではなかったと思います。
 こういった状況で、もしもその男性が被害届を警察に提出した場合、暴行罪や傷害罪といった容疑で警察からの捜査立件や、示談交渉などの裁判沙汰に発展するのでしょうか?

結論としては、暴行罪や傷害罪には当たらないかと思います。
まず、暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
身体に対する有形力の行使とされているだけあって、裁判上は、「暴行」を広く認める傾向にあり、身体に触れていない場合でも「暴行」とされる事例もあります。
質問者さんのケースでは、たしかに身体に対する有形力の行使となることは否定できないかと思います。
もっとも、それが「暴行」たりえるには、暴行と評価できるだけの程度が必要となります。
その現場を見ていたわけではないため、推測することになりますが、単に話しかけるために肩をトントンと軽く叩くことは、身体の安全を害する程度のものではなく、「暴行」とまでは認められない可能性が高いかと思います。
(なお、あくまでも判例上は、暴行はその性質上、傷害を発生させる程度のものである必要はないとされておりますので、「暴行」と判断される可能性が全くないとは言い切れませんが、現実的な可能性は低いと思います。)

また、傷害罪が成立するためには、「傷害」が発生すること、すなわち、人の生理機能が害されたことが必要です。
こちらも推測にはなってしまいますが、さすがに相手の方の生理機能が害されたとは想定し難いため、傷害罪は成立しないものと思われます。

以上のとおりですが、不用意に面識のない人に話しかけることは、思いがけないトラブルを招くこともありますので、今後気を付けていくことでよいのではないでしょうか。