この記事の監修
株式会社ココナラに在籍する弁護士が監修しています
「実の娘なのに遺言書通りに相続されると1円ももらえない…」
「同じ兄弟なのに、遺産の取り分が違いすぎる」
あなたは、このように遺言書に残された内容に不公平さを感じ、頭を抱えていませんか?
そんなときは、遺留分侵害額請求を検討してみましょう。
遺留分とは、相続人が一定の割合で最低限受け取ることのできる財産のことで、財産を多く受け取った相続人に請求を求めることを遺留分侵害額請求といいます。
遺留分には時効が存在するため、気づいた時点ですぐ対処することをおすすめします。
本記事では、遺留分の対象となる財産や算出方法、請求の流れなどを紹介しています。
必要な知識をつけて公平な相続を実現しましょう!
▼この記事でわかること
▼こんな方におすすめ

「遺留分」とは、被相続人の財産から、最低限相続人が受け取ることのできる財産のことです。
遺言書がのこされていた場合、基本的に遺言書の内容が優先されます。
しかし複数兄弟のうち誰か一人に財産が集中する、全く知らない赤の他人に全財産を相続するなど、本来財産をもらえるはずの相続人が不公平な思いをするケースも存在します。
そんな時「遺留分侵害額請求」を行うことで、遺言書の内容にかかわらず一定の財産を相続人が得ることができるのです。
なお、2019年に法改正が行われたことで、名称が「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」に変更されました。
遺産の相続においては、「法定相続分」と「遺留分」が存在します。
遺言書がない場合は、民法で定められた法定相続分に基づいて遺産分割協議が行われるため、そもそも遺留分は発生しません。
遺留分侵害額請求を行うことができるのは、遺言等が存在することで特定の相続人が法定相続分を大きく超えて相続する事になった結果、その相続について自分が相続した財産が遺留分に満たない場合です。
本記事では遺留分の相続を中心に、相続人の範囲や割合などを詳しく解説していきます。
遺留分を請求できる相続人は、法定相続人全員ではありません。
限られた親族のみとなるので、あらかじめ確認しておきましょう。
【遺留分の権利の有無】
配偶者 |
〇 |
|---|---|
直系卑属(子ども) |
〇 |
直系尊属(親・祖父母) |
〇 |
兄弟姉妹 |
× |
上記表の通り、被相続人の兄弟姉妹は遺留分を請求できません。
また直系尊属は被相続人の親や祖父母を指しますが、被相続人の義親や義祖父母は遺留分の権利を持たないので注意しましょう。
遺留分を請求する際は、対象となる財産をすべて含めて公平に含める必要があります。
財産は故人が遺言書で遺したものだけではなく、生前に故人が行った贈与も遺留分の計算に入る場合があります。
どんな内容の贈与が遺留分の対象になるかは個別の判断が必要なため、迷ったら弁護士に相談するのがおすすめです。
遺贈とは、故人の遺言によって指定された相手に財産が受け継がれる方法のことです。
遺留分の対象となるのは、遺言書に明記されている財産だと考えて良いでしょう。
死因贈与とは、生前に「自分が死んだら〇〇さんに△△(財産)を贈与する」という契約を交わし、被相続人が亡くなった後に贈与されることです。
遺留分の対象となるのは、亡くなる1年以内に行われた死因贈与のみなので注意しましょう。
生前贈与とは、被相続人が生きているうちに相手に財産を贈与することです。
遺留分の対象となるのは、原則として相続開始前の1年間に行われた生前贈与のみです。
ただし遺留分を侵害するとわかった上で贈与が行われた場合は、1年以上前の贈与でもさかのぼって請求できます。
また、特定の法定相続人に結婚資金や住宅購入資金などを贈与した行為が「特別受益」と認められた場合は、相続開始前10年以内の分まで請求できます。
被相続人に負債がある場合は、これを相続財産から控除して遺留分の基礎となる財産の価額を算定します。
負債は、借金だけでなく未払いの家賃や税金なども含まれるため注意が必要です。

ここからは、遺留分の計算方法を詳しく紹介していきます。
個人が受け取れる遺留分は「総体的遺留分」と「法定相続分」の割合を掛け合わせることで算出できますが、割合は個人によって異なるので確認していきましょう。
「総体的遺留分」とは、遺産総額に対する遺留分のことです。
基本的に、総体的遺留分は遺産総額の二分の一とされていますが、被相続人の直系尊属だけが相続する場合は三分の一になります。
【相続人別の総体的遺留分】
相続人 |
遺産総額 |
総体的遺留分 |
|---|---|---|
配偶者のみもしくは子供のみ |
6000万円 |
3000万円(遺産総額の1/2) |
配偶者と子供 |
6000万円 |
3000万円(遺産総額の1/2) |
配偶者と両親 |
6000万円 |
3000万円(遺産総額の1/2) |
両親のみ |
6000万円 |
2000万円(遺産総額の1/3) |
個別的遺留分とは最終的に個人が受け取れる遺留分のことで、「総体的遺留分×法定相続分」で計算すれば算出できます。
ここで必要な法定相続分とは、通常の相続で財産を分け合うときに使われる割合で、民法で下記のように定められています。
【法定相続分の割合】
相続人 |
相続の割合 |
|---|---|
配偶者のみ・子供のみ・直系尊属のみ・兄弟姉妹のみ |
それぞれ10割 |
配偶者と子供 |
配偶者:2分の1/子ども:2分の1 |
配偶者と直系尊属 |
配偶者:3分の2/直系尊属:3分の1 |
法定相続分を受け取る権利は兄弟姉妹にもありますが、前述の通り遺留分の請求はできませんので注意しましょう。
最終的に個人が受け取れる金額は、 遺産総額×(総体的遺留分×法定相続分)の式に当てはめると算出できます。
下記表では、遺産総額が6000万円と設定した上で計算してみました。
【遺産総額6000万円の場合の相続人別遺留分】
相続人 |
総体的遺留分 |
法定相続分 |
個別的遺留分 |
遺留分の金額 |
|---|---|---|---|---|
妻のみ |
1/2 |
1(全額) |
1/2 |
3000万円 |
子供のみ |
1/2 |
1(全額) |
1/2 |
3000万円 |
両親のみ |
1/3 |
1(全額) |
1/3 |
2000万円 |
兄弟姉妹のみ |
なし |
0円 |
||
妻と子供 |
1/2 |
妻:1/2子供:1/2 |
妻:1/4子供:1/4 |
妻:1500万円子供:1500万円 |
妻と両親 |
1/2 |
妻:2/3両親:1/3 |
妻:1/3両親:1/6 |
妻:2000万円両親:1000万円 |
妻と兄弟姉妹 |
1/2 |
妻:1(全額)兄弟姉妹:なし |
妻:1/2兄弟姉妹:なし |
妻:3000万円兄弟姉妹:0円 |
もし相続人である子どもが複数人の場合は、子供の個別的遺留分をさらに人数で割ることで算出できます。

ここからは、実際に遺留分侵害額請求を行う際の流れを紹介します。
遺留分は個人から個人へ請求するものなので、まずは請求したい相続人と話し合うことから始めましょう。
遺留分の話し合いを行う手段は指定されておらず、電話やメールでも問題ありません。
ただし少し話し合っても解決しそうにない場合には、相手に「内容証明郵便」を送付しましょう。
内容証明郵便を送ると、相手に心構えができるだけでなく、「遺留分侵害額請求をした」ことが証拠として残るため、後述する遺留分侵害額請求の時効を止めることもできます。
相手への交渉や書類の作成が不安な場合は、話し合いを始める段階で弁護士に相談しましょう。
弁護士を含めた当事者間で話し合っても遺留分について合意できなかった場合は、家庭裁判所に対して遺留分侵害額請求の調停を申立てます。
その後、指定の日程にて調停委員を交えた話し合いが行われます。
もし法的に遺留分をもらえる立場であれば、相手側は応じる義務があるため、基本的には遺留分侵害額請求に合意するよう相手が説得される流れとなるでしょう。
ただし調停には強制力がないため、それでも相手が拒否すれば無理やり合意させることはできません。
調停でも決着が着かない場合は、遺留分侵害額請求の訴訟を提起します。
実際に訴訟となった場合、書類の手続きや裁判での主張には法的知識が必要な上に、精神的にも体力的にも負担が大きいため、一連の流れを弁護士に任せるのが一般的です。
最終的には、裁判所によって判決が下されます。

遺留分には時効が存在し、一定期間を過ぎると遺留分侵害額請求はできなくなります。
受け取れるはずだった遺留分が請求できなくなる前に「遺留分の時効は何年なのか」「期限が切れる前にどのような行動を起こせばよいのか」をここで確認していきましょう。
遺留分の時効は「被相続人が亡くなったことを知り、遺留分が侵害されていることを知った時点から1年以内」と決められています。
また遺留分について何も知らなかった場合でも、法で定められた「除斥期間」によって、被相続人の死亡から10年が経過した時点で自動的に権利が消滅してしまいます。
例えば、交流が乏しかったために被相続人の死亡に10年気づかなかった場合、遺留分をもらう権利があったとしても受け取れないのです。
遺留分があるかもしれないと気づいたら、できるだけ早く時効を止めましょう。
遺留分侵害額請求権の時効を止めるためには、遺留分を請求する意思を表すため「配達証明付内容証明郵便」を送付しましょう。
配達証明付内容証明郵便を送っておけば、万が一相手が「そんな書類は届いていない」「遺留分の話は書いていなかった」などと否定してきた場合でも安心です。
遺留分の時効は侵害されていると気づいてから1年しかないため、日常生活を送る中で後回しにしてしまうとあっという間に期限を迎えてしまいます。
遺留分侵害額請求は弁護士に依頼することもできるため、内容証明郵便送付や相手との交渉など一連の流れを任せて、時効を迎える前に解決しましょう。

いかがでしたでしょうか。
本記事では、遺留分侵害額請求について権利を持つ相続人の範囲や計算方法、請求の流れ、遺留分の時効などについて解説しました。
正しい遺留分を算出するためには、総体的遺留分や法定相続割合などの知識のほか、どの財産を計算に含めるかなど専門的な知識が必要だとおわかり頂けたと思います。
また権利侵害に気づいてから1年で時効を迎えてしまうため、時間との勝負とも言えます。
もちろん自分で手続きすることも可能ですが、正確かつスピーディーに対応するのは困難な場合もあるため、不安がある方は経験豊富な弁護士への相談をおすすめします。
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