DVの形態は様々です。
したがって、ご自身が相手から受けている言動がはたしてDVにあたるのかどうか判断がつかないという方も多いのではないでしょうか?
本記事では、何がDVにあたり、どう行動すべきか適切にご判断いただくべく、DVや離婚までの流れ、慰謝料について詳しく解説します。
▼この記事でわかること
▼こんな方におすすめ

DVとはDomestic Violence(ドメスティックバイオレンス)の頭文字を取ったもので、日本語では「家庭内暴力」といわれます。
何がDVにあたるのかについては明確な定義はありません。
もっとも、DV法(正式名称、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)の1条1項に「配偶者からの暴力」に関する定義が規定されています。
DV法1条1項は、つぎの2つをDV(配偶者からの暴力)としています。
DVは「緊張が高まる時期」、「大きな暴力が起きる時期」、「優しい時期」のサイクルを繰り返しながら行われるといわれています。
「優しい時期」に入り、いったんはDVがやんだと思ってもその後またDVが繰り返されるおそれがあります。
DVが止んだからといって「私はDVを受けていない」と勝手に決めつけないようにしましょう。
それでは、以下では、具体的にどんな行為がDVにあたるのかみていきましょう。
配偶者からの身体に対する暴力の例としては、つぎのような直接身体に触れる行為が含まれます。
また、直接身体に触れなくてもつぎのような行為はDVに含まれます。
これには「精神的暴力」、「性的暴力」、「経済的暴力」、「社会的暴力」の4つに分類されます。
精神的暴力の例としては、つぎのようなものがあります。
性的暴力の例としては、つぎのようなものがあります。
経済的暴力の例としては、つぎのようなものがあります。
社会的暴力の例としては、つぎのようなものがあります。

DVは離婚することになった場合に必要とされる離婚理由に該当します。
裁判上の離婚理由は、法律で以下の5つが規定されています。
このうちDVは⑤の「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたります。

では、DVを離婚理由にするとして、離婚までにどのような手順を踏めばよいでしょうか?
以下では、DVで協議離婚するまでの手順について解説します。
(※)保護命令:一定期間、加害者が被害者(及びその子、親族など)と接触すること、自宅から退去することなどを命じる裁判所の命令。加害者が保護命令に違反した場合は罰則(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)を科されることがあります。
DVは放置しておくと徐々にエスカレートしていきます。
したがって、DVを受けているなと感じたら、事態が悪化する前にはやめに警察、DV相談センターなどに相談しましょう。
警察などに相談しておくと、加害者に転居先を知られないようにする措置を取ることが可能となります。
警察は専用ダイヤル(#9110)を設けて、DV被害に悩む方からの相談を受け付けています。
DV相談センターは、正式には配偶者暴力相談支援センターといいます。
都道府県によっては婦人相談所のほか女性センター、福祉事務所などをDV相談センターに指定していることもあります。
電話番号はインターネットで「配偶者暴力相談支援センター ●●(都道府県名)」と入力すれば検索できます。
警察とDV相談センターは互いに連携しながら、つぎのような必要な措置、援助を行っています。
また、警察は、場合によっては加害者を検挙・逮捕する場合もあるでしょう。
警察、DV相談センターのほか内閣府(DV相談+)も専用ダイヤル(0120-279-889)やメール、チャット窓口を設けてDV被害に苦しむ方の相談を受け付けています。
DVを受けた場合は、可能な限り、証拠を残しておきましょう。
DVの証拠は、保護命令の申立て、慰謝料請求、離婚の話し合いや裁判、警察に相談・被害届を出すときなどに活用できます。
DVの証拠としては、つぎのようなものがあります。
また、これらの証拠を確保できなくても、警察やDV相談センターに相談した記録も証拠として活用できます。相談記録は個人情報開示手続きで取り寄せることができます。
警察、DV相談センターなどへの相談と同時に避難場所をどこにするのかを検討しましょう。
現在、まさに暴力を受けており、あなたの生命・身体に重大な危害が加えられるなど緊急性が高い場合は、まず何よりもご自身の身の安全を守ることを最優先に考え、速やかに避難してください。
避難する際は、しばらく自宅に戻れないことを想定してつぎのようなものを持参しましょう。
【当面の生活に必要となるもの】
【離婚手続きに必要となるもの】
安全な避難先が見つからない場合は、警察やDV相談センターに相談しましょう。
緊急性が高いなどの条件を満たす場合は非公開のシェルターに入所し、入所の間、職員のアドバイスを受けながら今後について考えることができます。
一時避難することができる期間は、通常2週間程度です。
この2週間のうちに、退去後の別居先を決めましょう。
また別居先を決めるにあたっては、ご自身の仕事のこと、子どものことも含めてご検討ください。
配偶者からの接触を禁止したい場合、配偶者に現在の住居から退去することを求めたい場合は、一時避難期間中に、配偶者の住所を管轄する地方裁判所に対して保護命令の申立てを行います。
保護命令の申立てには一定の要件を満たすことが必要で、要件を満たさず申立てできない場合は、ストーカー規制法の制度や民事保全手続を活用する方法もあります。
申立てはご自身で行う必要がありますが、避難先の職員から申立ての方法や申立てに必要となる書類などについてアドバイスを受けることができますので、あまり心配する必要はありません。
保護命令の決定を受けた配偶者は、つぎのことが禁じられます。
この間、別居や離婚に向けての準備を進めていくことが可能です。
配偶者からの接触などを禁じる措置と同時に、市区町村役場に対して、配偶者にあなたの別居先の住所を特定されない措置(住民票閲覧等制限措置)の利用を申出ておきましょう。
申出を行うには、やはり、警察、DV相談センターなどに相談しておくことが前提となります。
ご自身の身の安全が確保できたら、いよいよ離婚に向けて行動です。
相手と話し合いで話がまとまれば協議離婚によって離婚できます。
一方で、話がまとまらず、協議離婚によって離婚できない場合は、家庭裁判所に対して離婚調停を申立てます。
調停でも話がまとまらない場合は、家庭裁判所に対して離婚訴訟(裁判)を提起します。
もっとも、多くの方が「何をどう進めればよいかわからない」という場合がほとんどでしょうから、ご自分で行動する前にまずは弁護士に相談しましょう。
近年は、無料(時間制限・回数制限あり)の法律相談サービスを提供している法律事務所も増えてきています。
また、法テラスが提供する法律相談の場合、資力要件を満たせば、1回30分までの法律相談を3回まで無料で受けることができます。
相談後にある程度の不安、悩みが解消できたら、配偶者と離婚に向けた話し合いを進めていきます。しかし、あなたがDV被害を受けている場合、配偶者と直接話し合いを進めていくことは困難ですから、弁護士を立てて話し合いを進めていくほかありません。
弁護士に依頼する場合は費用面が気になるところですが、前述した法テラスの制度(民事法律扶助業務の中の代理援助制度)を利用することができれば、負担を抑えることができます。

配偶者からDVを受けた場合は、慰謝料も請求できる可能性があります。
以下では、DVと慰謝料に関して、ぜひ知っていただきたい前提知識について解説します。
まず、前述したように、慰謝料請求する場合は、可能な限り、DVの裏付けとなる証拠を確保しておくことが大切です。
DVしたことを認める配偶者の自白も証拠となりえます。しかし、必ずしも自白するとは限りません。
むしろ、自分の非を認めたくないばかりに、DVの事実を認めない場合の方が多いでしょう。
また、あなたのDV被害に遭ったという話も証拠になりえます。
しかし、あなたの話が本当だということを弁護士を含めた第三者にもわかってもらうためにも、あなたの話以外の証拠が必要となるのです。
離婚慰謝料の相場は100万円~300万円といわれています。
もっとも、慰謝料はつぎのような要素を総合的に考慮して決めます。
したがって、たとえば、配偶者の年収が低い場合は相場よりも低い額となることもあります。
一方で、DVの期間が長く、配偶者の年収が高い場合などは相場よりも高くなることもあります。
慰謝料は通常、一括での支払いを求めますから、慰謝料の額が大きくなればなるほど配偶者の負担は大きくなります。
そのため、配偶者の資産、年収などによっては、仮に慰謝料を請求できたとしても、配偶者が支払えない、支払ってくれないという事態となることも考えられます。
そのため、最終的には、配偶者の資産、年収などを考慮して、配偶者が支払える額の慰謝料に落ち着くということも少なくありません。
必ずしも、あなたが希望したとおりの慰謝料を支払ってもらえるというわけではない点にも注意が必要です。
DVは身体的暴力のほか、精神的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的暴力もこれに含まれます。
DVを受けているのではないか、現にDVを受けて悩んでいるという場合は、すみやかに警察、DV相談センターなどに相談し、今後の対応を考えましょう。
生命・身体への危険が及んでいる場合は、一刻もはやくご自身の身の安全を確保することを最優先に考えてください。
DVは裁判上の離婚理由で、たとえ相手が離婚を拒否したとしても、最終的には裁判で離婚することができます。
また、DVによる精神的苦痛を受けたことを理由として、相手に慰謝料も請求できます。
裁判手続きによる離婚や慰謝料請求では、証拠が鍵となりますから、可能な限りご自身でDVの証拠を集めておきましょう。