上司からのパワハラ疑惑で名誉毀損で訴えることは可能か?

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上司から先日パワハラを部下の女性社員にしていると言われ始末書を書くように言われました。その女性社員とは仲が良く気の知れた仲で相談事とかもしやすい関係です。しかし、ある仕事の案件でミスがあり、内容を確認も含めて女性社員に相談をして内容の修正で対応出来るとの事を言われたのでそれでお願いすると依頼をしていました。しかしその内容を人づてに聞いた上司が私(男性)が無理やりに依頼をして無理やり案件の修正をさせていると私に言ってきました。そのようなつもりは一切ありませんでしたし、その内容は上司に伝えました。しかし上司は聞く耳を持たない状況でした。また、上司からは役職や職責がある私が女性社員に無理やりに業務をさせたと思っており、パワハラに該当すると言ってきました。パワハラの件を女性社員に確認したと私に言ってきており、問題にするつもりはないと言っていたと上司から聞きました。その上でハラスメントに関しての始末書を改めて書くようにとの事で言われました。 私も了解しましたが、腑に落ちずその女性社員に連絡をして、本当にそのように思わせてたらと思い、謝罪をしました。しかしその女性社員からはパワハラとは感じておらず、私と上司の2人で話をする前に上司は女性社員を呼び、内容の確認をしていました。しかし女性からはパワハラの話は上司からしており、自らはしていないとの話がありました。次の日の朝、また女性社員と事務職員を全員(3名)呼び内容を再確認を上司としていましたが、お互いに仲の知れる関係で出来ない事は出来ないとはっきりと言うけど今回の件は女性社員も自分が間違っているのでは?と疑問があった為に私の依頼を受けて業務を実施したと女性社員から上司に言ったと聞いています。しかし、その話合いの場でも上司は私がパワハラに抵触していると思っており、女性社員からの話を聞いてしてない事が分かったそうです。私はその話を聞く前に上司に始末書を出しました。しかし、私は前日にしてないと女性社員からも聞いていましたし、心当たりがあるわけもなく、上司からはパワハラの疑惑をかけられたまま謝罪どころか説明もされていません。パワハラをしていないのにも関わらず抵触しているや、今回の件もパワハラの未遂をしていると女性社員から上司が言っていたと聞いています。私もここまで言われて内容も聞いて腹立たしいです。ありもしないパワハラの疑惑をかけられて上司を名誉毀損で訴えたいのですが可能ですか? 知恵を貸して欲しいです。 よろしくお願いします。

匿名さん さん (男性)

弁護士からの回答タイムライン

  • まず、民事上の名誉毀損を主張するときは、「名誉権」(社会的評価)が侵害されている必要があります。このため、名誉権侵害があったといえるためには、「社会的評価の低下」が必要になり、そのため、「公然性」(不特定多数の前で)が要求されます。なぜなら、公然性がなければ、その人の社会的評価が下がることがないからです。 では、「公然性」がいかなる場合に認められるのか?についてですが、「不特定または多数の場合」に認められることになります。それでは、「不特定もしくは多数」とは、どのような場合に、どの程度の人数で認められるのでしょうか。今回は、社内の一部の人に話をしているだけであることから、当然、「公然性」が問題になると思います。 (1)多数の判断基準について 多数が認められた裁判例としては、 ①東京高判平成26年7月17日 18人で「公然性」が認められた ②東京地判平成24年12月26日 14人で「公然性」が認められた などの裁判例があります。 また、 ③東京地判平成21年5月14日 ④東京地判平成21年10月16日 の裁判例では、3~4人の事例でも「公然性」が認められております。 他方で「公然性」を認めなかった事例としては、 ⑤福岡高判平成27年11月27日 5~6人で「公然性」を認めませんでした ⑥東京地判平成21年 6月3日 10数人の事例で「公然性」を認めませんでした。 ③平成21年5月14日判決 ④平成21年10月16日判決 は学説上も、「公然性」を緩く認めすぎであるとして批判が強いです。そう考えると、1桁の人数で「公然性」を認定することには慎重であるべきと考えられます。他方で、20人を超える場合などについては「公然性」が認められる可能性が高いということができます。
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  • (2)不特定の判断基準について 「不特定」とは、相手方が特定の人にとどまらないということです。具体的事例として言えば、「インターネット掲示板への書き込みやSNSへの投稿、マスコミによる報道などは「不特定」に該当することは、明白であると思います。 もっとも、特定少数者に対して摘示した場合であっても、摘示の相手方から不特定多数に伝播する可能性がある場合には、公然性が認められるとする「伝搬可能性の理論」という考え方があります。 東京地方裁判所平成21年8月27日判決では、「11名という少数人へファックスで送付されたものであるとしつつ、事実の摘示ないし意見論評が公然となされたといえるためには、必ずしも不特定多数人に対して直接事実の摘示ないし意見論評がなされたことを要せず、特定少数人に対して事実の摘示ないし意見論評がされた場合であっても、不特定多数人に伝播する可能性があれば足りるものと解される。」と判示するなど、伝播可能性によって公然性の認定を肯定しています。 あなたの事案においては、不特定・多数という「公然性」の要件を満たすかどうかという点が論点になりそうです。 また、名誉毀損が仮に認められたとしても慰謝料の金額については、行為の悪質性 × 結果の重大性 で評価されますが、少数の人にしか話が伝われなかったとすれば、社会的評価の下落の程度も小さいといえることから、「結果の重大性」もないと言えるので、慰謝料も極めて少ないものになるのではないかと思われます。
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この投稿は、2025年1月23日時点の情報です。
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