TOBで51%の所有割合いにした上、残りの49%の株主を不利な設定の株式交換でスクイーズアウト

私は現在「いなげや」の株を74,300株(時価約9,200万円)保有しています。
今回「いなげや」を「イオン」の子会社の「U.S.M.H」に株式交換によって吸収合併することが決定されました。私は6月26日の「いなげや」の株主総会に出席し株式交換に反対しました。同じく同程度の株を所有している人と総会で知り合いました。二人とも自分で「株式買取請求」、それに続く「価格決定の申し立て」を行う予定でいまし。しかし法務については素人であるため不当に安い価格にされる可能性が高いので、良い弁護士さんがいれば依頼したいと思っています。

この案件は
「イオン」による「いなげや」の買収案件です。
まず「いなげや」株をイオンがTOBにより51%の持ち株比率になるようにして、残りを株式交換でスクイーズアウトするという方法です。
TOB開始時に以下の様に開示していました。
「公開買付者においては、本公開買付けの成立後、本経営統合を実行する場合でも、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様にとって、本公開買付けに応募した当社の株主の皆様と比較して不利益な取引を実施することは意図していないとのことで、当社においても同様に意図しておりません。そのため、本公開買付けの成立後、本経営統合を実行する場合には、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付 価格」といいます。)及び本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様の利益にも配慮して本経営 統合の具体的な手法及び条件等を検討し、今後、公開買付者、当社及びU.S.M.Hとの間で協議の上で決定する予定です。」

しかし実際には、TOB価格は全く考慮されずに交換比率が設定されず、非常に不利な条件でした。

株式交換の効力発生日は2024年11月30日です。

個人のこのような案件を受けてくれるような弁護士さんはいるでしょうか。

個人のこのような案件を受けてくれるような弁護士さんはいるでしょうか。

→申し訳ありませんが、この掲示板は一般的な法律上のご質問に対して回答する場所で個別のご依頼を受けることはできません。
ご依頼前提のご相談をご希望でしたら、ココナラ法律相談の弁護士検索などで法律事務所または弁護士に個別にご連絡された方がいいでしょう。

なお、一般論を申し上げると、ご相談内容のような案件を受任する弁護士はいるとは思います。
もっとも、株価の算定など会計上の専門知識も必要になりますので、会計知識にも強い弁護士か公認会計士と共業している弁護士に依頼された方がいいでしょう。

いわゆる、組織再編に反対した株主の株式買取請求に係る「公正な価格」についてのご相談であり、これまでの判例や類似ケースの裁判動向を踏まえた検討が必要なご事案かと思います。
 また、TOB→組織再編(株式交換)という二段階の買収手続きを経ている点では、伊藤忠商事がその子会社を通じて行った二段階の買収手続き(公開買付け→株式併合)による株式会社ファミリーマートの完全子会社化の事案に関する東京地方裁判所令和5年3月23日決定も参考になるかと思います。

【参考となる判例】
最高裁判所第二小法廷平成24年2月29日決定
(裁判要旨)
1 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」は,原則として,株式移転により組織再編による相乗効果その他の企業価値の増加が生じない場合には,当該株式買取請求がされた日における,株式移転を承認する旨の株主総会決議がされることがなければその株式が有したであろう価格をいうが,それ以外の場合には,株式移転計画において定められていた株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものであったならば当該株式買取請求がされた日においてその株式が有していると認められる価格をいう。
2 相互に特別の資本関係がない会社間において,株主の判断の基礎となる情報が適切に開示された上で適法に株主総会で承認されるなど一般に公正と認められる手続により株式移転の効力が発生した場合には,当該株主総会における株主の合理的な判断が妨げられたと認めるに足りる特段の事情がない限り,当該株式移転における株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率は公正なものである。
3 株式移転計画に定められた株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものと認められる場合には,株式移転により企業価値の増加が生じないときを除き,株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」を算定するに当たって参照すべき市場株価として,株式買取請求がされた日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることは,裁判所の合理的な裁量の範囲内にある。

最高裁判所第一小法廷平成28年7月1日決定
(裁判要旨)
株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,独立した第三者委員会や専門家の意見を聴くなど当該株主又は当該株式会社と少数株主との間の利益相反関係の存在により意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ,公開買付けに応募しなかった株主の保有する上記株式も公開買付けに係る買付け等の価格と同額で取得する旨が明示されているなど一般に公正と認められる手続により上記公開買付けが行われ,その後に当該株式会社が上記買付け等の価格と同額で全部取得条項付種類株式を取得した場合には,上記取引の基礎となった事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情がない限り,裁判所は,上記株式の取得価格を上記公開買付けにおける買付け等の価格と同額とするのが相当である。

 これらの判例等の判断枠組みを参考にしつつ、ご相談者様のご事案を検討して行くことになろうかと存じます。
 ただ、これらの検討は、専門的な判断を要するため、より詳しくは、企業買収や株式買取請求などを取り扱っている法律事務所•弁護士に個別に問い合わせてご相談なさるのが望ましいでしょう。