強制わいせつ事件における加害者の処分と慰謝料請求についての質問

被害者側です。
強制わいせつで加害者(少年)は在宅のままで審判待ちです。気持ち的には少年院の処分位になってほしいですが、保護観察処分位が妥当だろうとは思っています。保護観察処分で済まされる位なら慰謝料請求しようかとも考えての質問です。

①慰謝料を受け取ると量刑は軽くなってしまいますか?
②処分が決まってから慰謝料請求などした方がいいのでしょうか?
③民事訴訟も考えてはいるのですが、被害者側が民事訴訟をするメリットは何でしょうか?

宜しくお願い致します

①慰謝料を受け取ると量刑は軽くなってしまいますか?
→ 少年が犯した犯罪の場合、家庭裁判所で調査•審判がなされます。これらの調査•審判は。少年の更生のためにどのような処分が相当かという観点からなされます。被害者に対する被害賠償(慰謝料等の支払)は、少年の処分を決める上で一事情とはなり得ますが、被害賠償をしたとしても、非行の内容•程度や更生環境に改善が見られない等の事情によっては、保護処分等が課される可能性があります。

②処分が決まってから慰謝料請求などした方がいいのでしょうか?
→ 加害少年側が示談交渉に応じそうな場合には、家庭裁判所で処分が決まる前から交渉を開始することも考えられます。ただし、性犯罪の場合、性質上、被害者側としては連絡先や口座情報等を加害少年側に知られたくないということもよくあります。そのような場合には、弁護士を被害者側代理人に選任し、交渉してもらう方法もあります。

③被害者側が民事訴訟をするメリットは何でしょうか?
→ 加害少年側が示談交渉に応じない場合や加害少年側から提示された賠償が低廉な場合等には、民事訴訟の提起を検討する必要が出てきます。なお、民事訴訟では、これまでの裁判で積み上げられてきた水準で損害額の認定が受けられる可能性があります。

 なお、性犯罪に遭った被害者の方々に対するサポートの制度として、①委託援助(刑事事件•少年事件対応に関する費用のサポート制度)、②民事法律扶助(損害賠償請求等の民事事件に関する費用のサポート制度)等があり、あなたのご事案でもこれらのサポート制度の適用を受けられる可能性があります。
 一度、お住まいの地域の弁護士に直接相談なさってみることもご検討下さい(お住まいの地域の弁護士会や法テラスに犯罪被害の専門相談が設けられていることがありますので、よろしければ問い合わせてみて下さい)。

清水先生、詳しい回答をありがとうございました。

被害者サポートにも一度相談してみようと思います

追加で質問したいのですが、加害者が少年で今アルバイトをして慰謝料の支払いをしたい意思があるとの事は書かれていたのですが、一括ではきっと難しいですよね?分割をしてほしいと言われる事も想定はしているのですが、こちらとしては早くに接点を断ちたい思いです。

支払い資力のない場合はやはり分割で合意しなければならなくなりますか?

分割にして滞ったりして後からまた嫌な思いもしたくないです。

未成年者のうち事理弁識能力を有しない者は責任無能力者とされ、損害賠償責任を負わないものとされています(民法712条)。
 もっとも、責任無能力者の監督義務者は、監督義務を怠らなかったこと又は監督義務を怠らなくても損害が発生していたことを立証できない場合には、責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負うものとされています(民法714条)。

 そうすると、未成年者が責任能力を有する場合には、未成年者は加害行為により損害を負わさた第三者に対して賠償責任を負うことになります。
 ただ、未成年者には賠償のための資力がないことが想定され、未成年者の監督義務者に賠償を請求できないのかが気になるところです。
 この点につき、判例では、未成年者が責任能力を有する場合であっても,その監督義務者に監督義務違反があり,これと未成年者の不法行為によって生じた損害との間に相当因果関係を認め得るときには,監督義務者は,民法709条に基づき損害賠償責任を負うものと考えられています。
 なお、裁判例では、12歳前後で責任能力が認められているケースもあります。

 以上の説明からすると、あなたのケースでは、少年の年齢次第では、少年は責任能力を有すると判断される可能性があります。その場合、以下の①②が考えられます。
①損害賠償責任を負う少年本人に対して損害賠償請求して行く
②上記判例の要件をみたす場合には、監督義務者に対して損害賠償請求して行く

 少年側に一括で支払う資力がない場合、分割払いの対応も検討の必要が出て来ますが、期限の利益喪失条項(何回か分割払いを怠った場合には期限の利益を失い、全額一括払いとなる)や遅延損害金条項を設けておく方法もあります。

【参考】民法
(責任能力)
第七百十二条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 略