【事務所の事例】夫が離婚を拒否し、離婚の条件として子の親権を主張していた場合の事例
井上 愛美
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
Cさんは、夫とは結婚して10年以上が経過していましたが、婚姻当初から夫の暴力に悩まされていました。それまでにも行政機関や警察に相談したこともありましたが、子どものためを思ってなかなか離婚に踏み切れずにいました。
しかし、ある時の夫の暴力をきっかけとして、夫との離婚を決意し、子どもを連れて別居を始めました。
別居後、Cさんは夫と離婚の話し合いを始めようとしましたが、夫は離婚を拒否し、話し合いには応じません。そのため、Cさんは離婚調停の申立てを行いましたが、調停でも夫の意向は変わらず、また、離婚をするならば子の親権は譲らないとの主張をしていました。
Cさんは、そのままでは訴訟に移行する可能性が高く、自身での訴訟での対応は困難と考え、当事務所に相談に来られました。
【相談後】
Cさんの離婚の意思は固く、また親権を譲るということも考えられなかったため、訴訟移行はやむを得ない状況でした。また、夫は調停段階では最後まで親権の主張を譲らなかったため、訴訟提起を行いましたが、訴訟係属中、弁護士のアドバイスもあり、Cさんは子が夫と自由に会うことを認めていました。
訴訟では夫は離婚についても合意せず、暴力についても争っており、暴力については当方としても客観的な証拠に乏しい状況でした。
しかし、訴訟係属中の子との面会交流が充実していたこともあってか、夫が子の親権をCさんとすることに合意しました。最終的には慰謝料的要素も加味して、夫がCさんに財産分与として900万円を支払うことで和解での離婚が成立しました。
【弁護士からのコメント】
本件では、離婚原因となる暴力の立証が難しかったことと、当初は夫が子の親権の主張を譲らなかったことから、訴訟での解決はやむを得ない事例でした。
しかし、夫は調停中から別居後のCさんたちの生活状況を気にかけている面もあったため、客観的な立場から生活状況を報告してもらうためにも代理人介入後、調停段階で調査官調査を行ってもらいました。
また、訴訟係属中の夫との面会交流は子どもの意思に任せており、子の生活状況がわかったうえで、夫と子の交流の充実が図れたことが夫に親権者の主張を取下げさせる契機になったものと思われます。
最終的には、訴訟の中で財産関係を整理し、また、暴力の事実の有無は明確とは言えませんでしたが、財産分与に慰謝料的要素も加味した内容での解決が図れました。