やまむろ たくや
山室 卓也弁護士
尾畠・山室法律事務所
天神駅
福岡県福岡市中央区天神3-16-17 イエローベース天神603
インタビュー | 山室 卓也弁護士 尾畠・山室法律事務所
ビジネスモデルを一緒につくる。IT法務に強い顧問弁護士
ITビジネスの盛んな福岡県で、インターネットサービスの法律支援に奔走する弁護士がいます。
アプリの利用規約の作成から、ビジネスモデルの組み立てまで幅広くサポート。
大本総合法律事務所の山室卓也弁護士に、安心の経営、事業の成長になぜ弁護士の存在が必要なのかをお聞きしました。
アプリの利用規約の作成から、ビジネスモデルの組み立てまで幅広くサポート。
大本総合法律事務所の山室卓也弁護士に、安心の経営、事業の成長になぜ弁護士の存在が必要なのかをお聞きしました。
01 弁護士としてのキャリア
案件ほぼゼロからのスタート。逆境を自信に変えた
ーー弁護士になられた理由と、これまでの活動について教えてください。
弁護士になろうと思ったのは高校生のときです。理由は、人を助ける仕事がしたかったから。
ただシンプルに、その一心だけでした。
弁護士になってからは、初任地の福岡を拠点にずっと活動しています。
福岡に配属されたタイミングは、支店を立ち上げたばかりの頃でした。弁護士は先輩と私の2人だけ。当時は案件がまったくと言っていいほどない状況からのスタートでした。
ーーそれは大変だったのではないですか?
大変でしたが、どんなときも1人でやり切る力をつけることができました。
一つひとつの案件を丁寧に扱い、サービスの質にこだわる。
そうした意識が自然と身につき、現在の私の基本的なスタイルを形作っていきました。
弁護士2人の事務所ですから、担当分野にこだわっている余裕もありません。
新人であろうが、どんな分野の案件も必死にこなしてきました。
現在は依頼が順調に増え、2人で数多くの事件をどんどん処理しています。
単純な勤続年数以上に濃厚な時間を過ごせたのは、弁護士としての力をつけるうえで大きな経験でした。
02 具体的な得意分野・注力案件
ITサービスのトラブル防止、事業の成長をサポート
ーーその中でも、特に得意とされている分野はどのあたりでしょう?
福岡県はITビジネスが盛んな土地柄なこともあり、ITベンチャーが新しいインターネットサービスを立ち上げる際の法律的なサポートに数多く携わってきました。
一番わかりやすいのは、アプリの利用規約です。
アプリを使って新しくビジネスを始めたい。
でも、どういう内容の利用規約をつくればいいのかわからない。
そのように悩まれている方々からご相談いただくケースがたくさんあります。
ーーそれほど利用規約は重要なわけですね。
そうしないと、利用者との間で大きなトラブルに発展してしまう可能性があるからです。
例えば、ユーザーがあるゲームアプリに大金を課金していたのに、OSをアップデートした際などにデータが一瞬にして消えてしまったとしましょう。
そうした場合、あらかじめ責任の所在や補償のあり方などを規約上に定めておかないと、最悪のケースだと利用者から訴えられ、裁判にもつれ込むことになります。
そうなると当然、裁判費用も時間もかかります。
大事なのは、トラブルを未然に防ぐこと。
また、万が一トラブルが起きても、事前にどう対応するべきか、どこまで補償するべきか。
そういったことについて利用者との間で契約を交わしておけば、最小限のダメージで食い止められます。
しっかりとした利用規約があるかないかで、解決コストが大きく変わってくるのです。
ーーとても大事な視点です。
こういったご相談を受けるときに大切にしているのは、ビジネスモデルをしっかり聞くことです。
わかりやすい例としてアプリの利用規約を挙げましたが、例えば旅行系のサービスなら旅行業法が関わってくるように、サービスを立ち上げる際にはほかにもクリアしなければならない法規制がたくさんあります。
インターネットビジネスは新規参入が相次いでいますが、一方で入念なリーガルチェックを入れておかなかったために導入後に法律の壁にぶち当たり、ビジネスモデルを再考しなければならないケースもあるのです。
ーーそれは非常にもったいないことですね…
ですから、過去にはビジネスモデルそのものを経営者と一緒に組み立てていくような経験もしました。
その経営者は新しいプラットフォームビジネスを始めようとされていたのですが、まだお金の流れや手数料の取り方などが固まっていない状態でした。
それをどうするかによって規約のつくり方も大きく変わってくるので、法律的に必要な視点をお伝えしながら一緒にサービスの中身を固めていったのです。
ーーそんなところまでサポートされるのですか。
経営者の方々が一番に考えないといけないのは、どうやってお客様を集めるか、どうやって収益を上げていくかだと思います。
法規制や契約の問題などに頭や時間を使うよりも、法律的な準備は私に任せていただき、経営者にはサービスの向上に必要な仕事に集中していただきたいのです。
私が守りをガッチリ固め、一緒にビジネスを成長させていく。そんな思いで、いつもお手伝いさせてもらっています。
03 弁護士として大事にしていること
「代理人」というより「パートナー」でありたい
ーー日々のお仕事の中で、大事にされているのはどんなことでしょうか?
弁護士はよく「先生」や「代理人」という言い方をされますが、私はそうではなく、依頼者の「パートナー」でありたいと思っています。
「先生」は、どこか弁護士の方が立場が上にあるような印象を受けませんか?
「威厳があって、相談しづらい」などと思われるような振る舞いは絶対にしたくありませんし、少しでも疑問に思ったことがあれば、気軽に聞いていただきたい。
依頼者とは上下関係ではなく、そんなフラットな関係を築くことを大事にしています。
「代理人」という言い方もそうです。
単に依頼者の立場を代弁するのではなく、依頼者と一緒にゴールを目指す「パートナー」であるべきです。
そして、ゴールにたどり着くために必要なら、ときには依頼者にとって耳の痛いこともはっきり言う。
依頼者が怒っているときは一緒に怒り、悲しんでいるときは一緒に悲しむ。
最後まで依頼者を信じ抜く。
そのように喜怒哀楽を共有しながら、一緒に歩んでいくのです。
ーー依頼者と喜怒哀楽を共有する。つまり、一心同体であるべきだと。
つい最近も、担当した少年事件でいい結果が出た後に、親御さんから泣きながら「ありがとう」「すごく助かった」と感謝していただいたことがありました。
私もうれしくて涙が出ました。こういう瞬間が、弁護士の一番のやりがいです。
ただ、決してすべての事案をすっきり解決できるわけではありません。
特に少年事件では、少年に心を開いてもらえず、真実がわからないまま終わってしまったこともありました。
ーーどういうことでしょうか?
強姦容疑で逮捕された、犯罪時19歳の少年の弁護を担当したときのことです。
その人は最終的に容疑を認め、有罪になりました。ただ、客観的な証拠を調べると、やっていない可能性もあるように思えたのです。
実際、最初は「やっていない」と否認していました。それなのに、最終的になぜ「やった」と認めたのか。真実がどこにあるのか、いまだにわからず思い出すことがあるのです。
誤解を恐れずに言えば、弁護士にもすべての真実がわかるわけではないのです。
ーー重い言葉ですね。
この事件で学んだことは、少年事件で子どもに心を開いてもらうことの難しさ、大切さです。
少年からしたら、「弁護士」と聞くだけで身構えてしまう子も少なくないはずです。
私は現在、中学・高校で法律に関する出張授業をボランティアで行っています。日頃から学生と会話する機会をつくることで、子どもたちとの接し方を学んできました。
子どもたちに心を開いてもらうこと。今ではそれが、私の強みに変わりました。ITビジネスの法律的なサポートと並び、少年事件も得意で力を入れている分野の1つです。
04 今後の方向性
IT起業支援のエキスパートになる
ーー最後に、今後の抱負をお聞かせください。
これまでお話してきたように、福岡を中心にインターネットビジネスの立ち上げ支援にはさらに力を入れていきます。
困っている経営者の方々の力になるために、ビジネスを成長させられるように、今後もしっかりサポートしていきたいですね。
それと、やはり依頼者と一心同体の「パートナー」であること。
この信念を絶対にぶらさずに、「この人となら一緒に困難を乗り越えられる」と心の底から信頼していただける弁護士になります。