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いまさか ゆういち
今酒 雄一弁護士
弁護士法人エース 津田沼事務所
津田沼駅
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インタビュー | 今酒 雄一弁護士 弁護士法人エース 津田沼事務所

法律を体に染み込ませる。不当解雇の裁判で見せた「現場力」

どんな基本的なことでも、必ず六法を引き、条文を体に染み込ませる。弁護士法人エースの今酒雄一弁護士は、わずかな望みの中から小さな突破口を見出し、不当解雇をはじめとする労働事件などでたくさんの勝訴判決を手にしてきました。原動力は「生活者の命を守りたい」という思い。元ラガーマンが見せる突破力とは。

01 弁護士になってからの活動

B型肝炎訴訟を約7年。弱者救済の原点


ーー最初に、弁護士としてのキャリアを教えていただけますか?

弁護士になって最初に担当したのが、B型肝炎訴訟でした。しばらくして訴訟を担当するチームの管理職になり、被害者への給付金などをめぐる国との交渉も直接やっていました。

これにはすごくやりがいを感じていました。目の前で苦しんでいる人たちを、法律を使うことで救済できる。そのことを体感できたからです。最初は決して医学的な知識があったわけではありません。それでも必死に勉強しました。専門分野でなくても、自分の努力次第で依頼者の力になれる。そのことを実感できたのも大きかったですね。

B型肝炎訴訟は約7年担当しました。ただ、やりがいを感じながらも、徐々に「現場に立ちたい」という思いを抑えられなくなっていました。


ーー「現場に立ちたい」という思いですか?

当時は管理職。ですから、事務所の経営状況も見る必要があります。もちろんそれは大事なことですが、現場から少し離れた仕事になるので、どうしても依頼者との間に距離ができてしまい、関係が希薄になってしまったのです。

決して経営がしたくて弁護士になったわけではありません。やはりもう一度、現場に戻りたい。依頼者と真正面から向き合って、救済に全力を注ぎたい。そう思って、この弁護士法人エースに移籍しました。

02 得意分野、弁護士としての信念

必ず六法を引き、法律を体に染み込ませる


ーー移籍後の現在、どんな事件を担当されているのでしょう?

労働事件や離婚・男女問題、刑事事件、交通事故など幅広く扱っていますが、特に多いのが労働事件です。最近は、残業代請求や解雇をメインに担当しています。

労働事件には昔から興味がありました。働くこと、仕事は、どんな人にとっても生活の糧ですよね。それが断たれてしまったら、命の問題に直結します。もちろん他の分野が直結しないわけではありませんが、解雇などの労働事件はより重大な影響を及ぼす可能性が高いと思っています。

それと、労働事件は他の分野に比べてもいろんな法律が絡んできます。労働基準法に労働契約法、最低賃金法、労働者派遣法。それ以外にもたくさんあり、さらにそこに民法など別の法律も関わってきます。そのうえ、新法ができたり、改正されることも多いのです。勉強した分だけその知識が武器になり、依頼者を助けられる余地も広がります。


ーー勉強熱心な様子が伝わってきます。

とにかく勉強ですよ、弁護士は。どんなにキャリアを積んでも、それは絶対に忘れない。私はそう心に決めています。

それには理由があります。弁護士になってから先輩たちの仕事を間近で見ていた中で、驚いたことがありました。

「本当に優秀だな」と思う弁護士は、どんなときも必ず六法全書の条文を引いていたのです。司法試験を合格した人なら寝ぼけていても言えるような、暗記していて当然の条文も、事件で必要なときはその都度必ず引くのです。私の知る限り、そういうことを徹底している弁護士は多くありません。

ほんの些細なことでも、どこかに裁判で使える文言はないか。彼らはそれを探しているのです。そうしていると、いつの間にかいろんな条文がどんどん体に染みついてくるんですよね。だから私も、どんな基本的なことでも、必ず六法を引く。このことを肝に銘じて徹底しています。

条文が体に染み付くようになると、裁判の中でふとしたときに「これは使える」という条文が頭をよぎることがあるのです。

03 忘れられないエピソード

解雇無効を勝ち取った土壇場の逆転劇


ーー大事な瞬間に、条文がふっと降りてくると。

そうです。その時のことを紹介しますね。あれは、解雇無効を争っていた裁判のときでした。

事件の発端は、依頼者が当時勤めていた会社の社長に「退職に向けた話し合いをさせてください」と伝えたことでした。すると社長から、「もう来なくていい」と言われたのです。普通に考えれば、本人が「辞める」と言ったなら、合意退職と判断され裁判では負けてしまう可能性が非常に高いのです。

ですから依頼者には、裁判では「その発言を自分からは言わない方がいい」と忠告しました。ところが、です。なんと、依頼者は法廷で発言内容を自分から言ってしまったのです。これにはさすがに驚きました。

次の瞬間、裁判官は「どういうことですか?」「本人の意思があったなら、合意退職になりますよね?」と、私に問いかけてきました。このままいけば、どう考えても負けです。


ーーそれで、どうしたのでしょうか?

「なんとかしないと」「何か適用できる条文ないか」と、頭の中をフル回転させました。そのときです。「民法93条」がふっと降りてきたのです。

この条文は「心裡(しんり)留保」というもので、要約すると、「本心じゃない意思表示も有効、ただ、本心じゃないことを相手方が知っていたとき、または知ることができたときは無効になる。」といった内容です。

なぜこれを持ち出したかというと、実は依頼者は以前から社長とトラブルになることがあって、過去にもやや感情的になって同じようなことを言っていたそうなのです。ですから、今回も決して本心から出た言葉ではなく、かつ、社長さんもそのことを知り、または少なくとも知ることができたはずだと考えたからです。

とっさにこの条文を示したところ、会社側の代理人は法律論で返すことができませんでした。その瞬間、裁判官が私たち原告側の主張に分があると判断したのです。


ーーサッカーでいうと、アディショナルタイムの決勝ゴールのようです。

弁護士は、普段から六法全書を持ち歩いているわけではありません。裁判の場では、基本的には事件の記録だけで抱えて、裸一貫で突っ込んでいきます。試されるのは、現場力です。

あの時、とっさにあの条文が出せなかったら、私の方が負けていたはずです。土壇場で逆転できたのは、毎回必ず条文を引き、体に染み込ませていたからです。地道な作業が、あの大事な場面で生きたのです。


ーーコロナ禍で解雇などに苦しむ人が増えています。

そうですね、解雇のご相談はやはり増えています。経営側も頭を悩ませていると思いますが、「業績悪化でやむを得ない」などと決してあきらめないでください。

つい最近も、会社の業績悪化を理由にした解雇を覆した事案がありました。相手方の代理人が出してきた決算書などの資料を見ると、確かに多額の赤字を計上していました。ただ、丁寧に数字のカラクリを紐解いていくと、どうやら財務状況に深刻な影響をもたらしているわけではないことがわかってきたのです。2回目の裁判でそのあたりを追及した結果、すぐに相手方が白旗を挙げて和解を提案してきました。

解雇に限らず、残業代の未払いや内定取り消しなども深刻な問題になっています。困ったことがあれば、ぜひ早めにご相談いただければと思います。

04 弁護士を目指した原点

ラガーマンから弁護士へ。「命を守りたい」


ーーまさに「労働者の味方」といった印象で心強いですね。

生活者の命を守りたい、身近な人の助けになりたい。その思いは、私が弁護士を目指した原点であり、今も一貫して持ち続けているものです。

振り返れば、高校まではラグビー一筋の生活を送っていました。でも、残念ながらラグビーだけで一生食べていけるほどの実力はありませんでした。将来どうするのか。やりたいことがはっきりしない中で、ふと浮かんできたのがチームメイト、仲間の存在でした。


ーーチームメイトの存在が、弁護士を目指すきっかけになったと。

将来、仲間が困ったときに助けられるような人間になりたい。それで、弁護士の道へ進もうと決めたのです。

ですから、私の頭の中には常に「身近な人の力になりたい」という思いがあります。実際に弁護士になってB型肝炎訴訟や労働事件などで苦しむ人たちと接することで、その思いは今どんどん強くなっています。

原動力は、やはりどこまでいっても依頼者の存在です。どんなに忙しくても、依頼者のためにできることは全部やる。たとえわずかな望みしかなくても、どうにか突破口を見出して事態が変えてみせる。そんな思いでこれからもまだまだ勉強、そしてどんどん腕を磨き続けていきたいですね。
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