示談書締結後の効力(慰謝料追加請求と守秘義務)について

示談書の効力についてご教示ください。

一年ほど前、会社の同僚が既婚者と知りながら不倫関係になりました。
先方の配偶者も同じ会社で、それが知られることとなりましたが、先方は離婚せず夫婦関係を継続することを前提に、奥様と当方で示談書を取り交わし、慰謝料を支払っております。
示談書では、守秘義務と清算条項を後述の通り定めています。

しかしながら、今般先方で夫婦関係の修復が困難であることから離婚を考えており、当方への追加の慰謝料請求に加え、職場や当方の夫へもこの件を伝えようと考えている旨の連絡が、奥様からありました。

当方としては示談書の清算条項により慰謝料の追加請求はできず、また守秘義務も有効と理解しているのですが、認識に相違ありますでしょうか。
また、もしその認識で相違ない場合、清算条項と守秘義務の有効期間(離婚後はどうなるのか)についてもご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

以下、示談書抜粋
(前略)
・甲と乙は、本合意書締結経緯及びその内容について、理由の如何を問わず、第三者に対して一切口外しないことを相互に確認する。
(中略)
・甲と乙は、本件に関して、この合意書に定められたもの以外には、互いに何らの債権債務も有していないことを相互に確認する。
(後略)

あきな様
 清算条項により、追加の慰謝料は請求できず、また守秘義務も有効とお考えいただいて問題ないと考えます。
 清算条項は、債権債務がないことの確認ですから、合意書を取り交わした後に生じた事由により債権債務が発生しない限り有効です。ご相談の合意書は先方との関係についてのものですから、その後関係が原因で離婚に至っても清算条項の適用範囲内と考えます。
 
 守秘義務については、基本的には有効期間を定めていない場合、義務が続くとお考えいただいて差し支えないと考えます。外部へ漏らすようなことがあれば、守秘義務違反での損害賠償請求も考えられます。

横溝先生

早速のご回答、誠にありがとうございます。
守秘義務における「本合意書締結経緯及びその内容」が、あくまで合意書を締結した事実とその合意書内容のみを守秘の対象とするようにも今更見えてきて、
どこまでを網羅するのかが心配でしたので、当方が不貞行為を行なった事実も守秘の対象になるようで、安心いたしました。

重ねて恐縮ですが、もう二点ご教示いただけますでしょうか。

①本守秘義務は、第三者への口外が不可となっていますが、今後仮に当方が弁護士さんへこの旨を相談したい場合、弁護士さんにお伝えすることは守秘義務違反になるのでしょうか。

②先方に対して、守秘義務と清算条項に関する認識を伝えるにあたり、当方から、当時の合意書締結の際に対応された先方の弁護士さんにその旨を連絡するのは不適切でしょうか。
「奥様はこのように仰っているが、当時締結した合意書に基づくとそれはできない認識である(ので、奥様に伝えて欲しい)」と伝えるイメージです。

現時点で奥様は弁護士を介さず直接当方に連絡をとられ、また、「離婚も考えている」というご連絡の後一度やりとりは終わっているため
当方が弁護士さんを立てて連絡をする段階ではないように思うことと、当方から改めて奥様へ連絡することは先方を刺激しうることから、
なにか穏便に、奥様にお伝えすることができないかと考えているものです。

先方の弁護士さんへご連絡することはありえないやり方のようには思っているのですが、
特に守秘義務に関して穏便かつ未然に奥様にご理解いただくために、お知恵をお貸しいただけますと幸いです。

1 弁護士に相談することは守秘義務違反になりません。弁護士もまた相談者、依頼者から知ったことについて守秘義務があります。
2 合意書締結の際の弁護士に連絡するのは不適切とは思いません。現在の窓口ではないという回答かもしれませんが、合意書に関わることなので伝えることは問題ないと思います。

横溝先生

再度、早速のご回答をいただき誠にありがとうございます。
当時の弁護士さんにご連絡してみようと思います。

色々と悩んでいたなかご教示いただき大変助けられました。お忙しい中ありがとうございました。