きた よしひろ
喜多 芳裕弁護士
喜多芳裕法律事務所
近鉄奈良駅
奈良県奈良市中筋町33 喜多ビル
離婚・男女問題の事例紹介 | 喜多 芳裕弁護士 喜多芳裕法律事務所
取扱事例1
- 養育費
突然子を連れて家を出た妻が、15年後に子の過去の養育費を請求したが認めさせなかった事例。
依頼者:60代 男性
夫Aと妻Bには娘Cがおり、A、Bは同額のローンを組んで家を購入し持分2分の1づつで登記していましたが、家を購入して暫く後にAとBは不仲になって口もきかなくなりました。
ある日Aが家に帰ったところ家には誰もおらず、BとCの荷物は運び出されていました。
BはCを連れて突然家を出たのですが、以後Bからはなんの連絡もなく、どこに住んでいるのかの連絡もありませんでした。
Bの勤務先はわかっていましたし、Bは大阪に幾つかのマンションを保有していましたのでおそらくそこに住んでいるのではないかと思いましたが、AはBと連絡しようとはしませんでしたし、BもAに連絡はしなかったのです。
その後Aは60歳となり定年退職し、退職金で住宅ローンを全額返済しました。
Bが家を出てから15年ほど経った後、Aのもとに突然裁判所から「Cが成人するまでの養育費として4000万円を使ったので2000万円を支払え。」という調停の呼出状が届きました。
その内容は生活費のほか1000万円近い私立大学と私立高校の学費、100万円の成人式の振袖、数百万円の掛捨ての生命保険や学費保険などがありましたので、Aは驚いて私のところに相談にきました。
公立高校の学費は教育費として妥当であると考えられますが、私立高校の学費はこれを大きく上回るため「特別な事情」として検討する必要があります。
検討するべき要素としては「私立高校を選択せざるを得なかった事情」、「私立高校を選択するについて両親の話し合いの経過」、「両親の収入」などです。
A、B夫婦の収入からは私立高校への進学は妥当なのですが、A、Bが同居している場合にBが「Cは私立高校へ進学させたい。」と言い、Aが「公立高校にいける成績だし、公立高校でいいじゃないか。」と言っているにもかかわらず BがCを私立高校に進学させた場合、その費用の2分の1ををAに請求できるかは疑問です。
ましてや、本件においてはBはAには何の相談もせず勝手に決めているのです。
子の大学の学費の負担は親の義務ではないと考えられていますから、大学の費用については AB間での話し合いが必要でしょう。
成人式の振袖もAがレンタルでいいと考えている場合に何の話し合いもなく100万円の振袖を買ってその2分の1をAに負担させることは難しいと思います。
掛捨ての生命保険は還元率の悪い宝くじを買うようなものですし、学費保険についてはBの貯蓄と考えるべきでしょう。
しかし、Bの請求の最大の問題は「過去の養育費を請求している」ということです。
養育費についてはその起算点につき要扶養時(別居時)説と請求時説とがあって、実務は請求時説によっています。
例えば、母が15歳の子を連れて家を出て20歳までの5年間生活を続けてきた場合、20歳になって子の過去の養育費を請求して15歳か20歳までの5年分をもらったとしても、それで子が15歳から20歳まで豊かな生活ができるわけではありませんので、それは子の養育のために使われるのではなく貯金になってしまうだけです。
これに対して、母が子を養育するためにサラ金からお金を借りて、その債務が残っている場合などは特別な事情に該当します。
また、別居に至る経緯などから信義則上過去の子のための費用を認めるべき場合もあり、「過去の監護費用」などの名目で認めている判例もありますが、この事案ではBはAに何の相談もせず、一方的にCを連れて家を出て15年も何の連絡もなく、Aと相談しないまま支出した必要性の乏しい費用も含む多額の費用の2分の1をAに請求してきたというところが問題です。
調停で私がそのことを指摘したところ、Bは今度は離婚請求の調停を申立て、「離婚に伴う財産分与においては未払いの養育費も含めて精算することも認められる。」とする最高裁判例を援用し、「離婚に伴う財産分与」という形で過去の養育費として2000万円を請求してきました。
しかし、Bが援用する最高裁判例は夫に大きな帰責事由がある特殊な事案についてのものであり、その当否は信義則に基づいて個々の事案ごとに検討するべきです。
また、財産分与は「婚姻期間中に形成した夫婦財産の総精算」ですので、財産分与を求める限り婚姻期間中に形成した全ての夫婦財産を対象にすることになり、双方が婚姻期間中に形成した預貯金、不動産なども時価で評価してこれを分与することになりますが、本件では同居期間中の生活費はすべて Aの給料の中から出し 、Bの給料はB名義で貯金してBは幾つかの不動産を取得していますのでB名義の資産の方が圧倒的に多く、その結果BはAに相当の資産を分与すべきことになるのですが、Bはこのことを理解していなかったようです。
以後は事例2をご覧ください。
、
ある日Aが家に帰ったところ家には誰もおらず、BとCの荷物は運び出されていました。
BはCを連れて突然家を出たのですが、以後Bからはなんの連絡もなく、どこに住んでいるのかの連絡もありませんでした。
Bの勤務先はわかっていましたし、Bは大阪に幾つかのマンションを保有していましたのでおそらくそこに住んでいるのではないかと思いましたが、AはBと連絡しようとはしませんでしたし、BもAに連絡はしなかったのです。
その後Aは60歳となり定年退職し、退職金で住宅ローンを全額返済しました。
Bが家を出てから15年ほど経った後、Aのもとに突然裁判所から「Cが成人するまでの養育費として4000万円を使ったので2000万円を支払え。」という調停の呼出状が届きました。
その内容は生活費のほか1000万円近い私立大学と私立高校の学費、100万円の成人式の振袖、数百万円の掛捨ての生命保険や学費保険などがありましたので、Aは驚いて私のところに相談にきました。
公立高校の学費は教育費として妥当であると考えられますが、私立高校の学費はこれを大きく上回るため「特別な事情」として検討する必要があります。
検討するべき要素としては「私立高校を選択せざるを得なかった事情」、「私立高校を選択するについて両親の話し合いの経過」、「両親の収入」などです。
A、B夫婦の収入からは私立高校への進学は妥当なのですが、A、Bが同居している場合にBが「Cは私立高校へ進学させたい。」と言い、Aが「公立高校にいける成績だし、公立高校でいいじゃないか。」と言っているにもかかわらず BがCを私立高校に進学させた場合、その費用の2分の1ををAに請求できるかは疑問です。
ましてや、本件においてはBはAには何の相談もせず勝手に決めているのです。
子の大学の学費の負担は親の義務ではないと考えられていますから、大学の費用については AB間での話し合いが必要でしょう。
成人式の振袖もAがレンタルでいいと考えている場合に何の話し合いもなく100万円の振袖を買ってその2分の1をAに負担させることは難しいと思います。
掛捨ての生命保険は還元率の悪い宝くじを買うようなものですし、学費保険についてはBの貯蓄と考えるべきでしょう。
しかし、Bの請求の最大の問題は「過去の養育費を請求している」ということです。
養育費についてはその起算点につき要扶養時(別居時)説と請求時説とがあって、実務は請求時説によっています。
例えば、母が15歳の子を連れて家を出て20歳までの5年間生活を続けてきた場合、20歳になって子の過去の養育費を請求して15歳か20歳までの5年分をもらったとしても、それで子が15歳から20歳まで豊かな生活ができるわけではありませんので、それは子の養育のために使われるのではなく貯金になってしまうだけです。
これに対して、母が子を養育するためにサラ金からお金を借りて、その債務が残っている場合などは特別な事情に該当します。
また、別居に至る経緯などから信義則上過去の子のための費用を認めるべき場合もあり、「過去の監護費用」などの名目で認めている判例もありますが、この事案ではBはAに何の相談もせず、一方的にCを連れて家を出て15年も何の連絡もなく、Aと相談しないまま支出した必要性の乏しい費用も含む多額の費用の2分の1をAに請求してきたというところが問題です。
調停で私がそのことを指摘したところ、Bは今度は離婚請求の調停を申立て、「離婚に伴う財産分与においては未払いの養育費も含めて精算することも認められる。」とする最高裁判例を援用し、「離婚に伴う財産分与」という形で過去の養育費として2000万円を請求してきました。
しかし、Bが援用する最高裁判例は夫に大きな帰責事由がある特殊な事案についてのものであり、その当否は信義則に基づいて個々の事案ごとに検討するべきです。
また、財産分与は「婚姻期間中に形成した夫婦財産の総精算」ですので、財産分与を求める限り婚姻期間中に形成した全ての夫婦財産を対象にすることになり、双方が婚姻期間中に形成した預貯金、不動産なども時価で評価してこれを分与することになりますが、本件では同居期間中の生活費はすべて Aの給料の中から出し 、Bの給料はB名義で貯金してBは幾つかの不動産を取得していますのでB名義の資産の方が圧倒的に多く、その結果BはAに相当の資産を分与すべきことになるのですが、Bはこのことを理解していなかったようです。
以後は事例2をご覧ください。
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取扱事例2
- 財産分与
事例1の続き・・・依頼者が現在住んでいる共有の土地建物を依頼者に分与させた事例。
依頼者:60代 男性
(わかりやすいようにするために数字はアレンジしています)
「事例1」の続きです。
財産分与は「婚姻期間中に形成した夫婦財産の総精算」ですので、Aは婚姻期間中に形成した預貯金、不動産を開示し、Bにも婚姻期間中に形成した預貯金、不動産を開示することを求めましたが、婚姻期間中にA名義で形成した預貯金、不動産より、B名義で形成した預貯金、不動産の方が多いことが判明しました。
AとBの所得はBの方が少し多いのですが、同居期間中の生活費はすべて Aの給料の中から出し、 Bの給料は住宅ローンの返済分以外Bが自らの名義で貯金していたのです。
Bはその中からいくつか不動産を取得しており、賃貸料を得ていましたが、その不動産は値上がりしていました。
私が計算したところ、財産分与の対象となるAの財産は約3000万円であるのに対して、Bの財産は約8000万円あり、離婚に伴う財産分与として BはAに約2500万円を分与しなければならないということになります。
A、B共有財産である現在Aが住んでいる住宅の評価は約2600万円なので、Bはこの共有家屋の持分を Aに渡した上、更に1000万円余りを渡すことになります。
私がこのように主張したところ、Bは調停を不成立にしてほしいと申し出ました。
その後Bは奈良家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、「離婚に伴う財産分与においては未払いの養育費も含めて精算することも認められる。」とする最高裁判例を援用し、婚姻期間中に形成した預貯金、不動産などは一切開示することなく、離婚に伴う財産分与として「過去の養育費2000万円の分与」のみを請求してきたのです。
調停で私があれほど「財産分与は婚姻期間中に形成した夫婦財産の総精算だから、婚姻期間中に形成した夫婦財産のうち特定のものだけの分与を求めるということはできず、財産分与を求める限り婚姻期間中に形成した全ての夫婦財産を対象に分与をすることになる。」と説明したにも拘わらず、Bは理解していなかったのです。
更に驚いたことに、Bは離婚と財産分与請求をしながら、夫婦共有名義の居住家屋について奈良地方裁判所に共有物分割請求をしてきました。
これは、「財産分与はBの求めているものだけが対象になる。」という誤った考えを前提とするものなのでしょう。
Aは退職金で住宅ローンをすべて返済していましたが、Bには300万円のローンが残っていました。、
共有物分割訴訟は裁判所の命令で目的物を競売に付すのですが、判決までに抵当権を抹消することが望ましいのでその旨主張したところ、裁判所もそのように勧告しましたので、Bは300万円を払ってローンを完済しました。
しかし、夫婦共有財産については離婚と財産分与の申立てが行われている時はあくまで財産分与で適正な分与を図るべきであり、このような共有物分割請求は権利の濫用として却下するべきです。
私が裁判所に対してこの理を説いたところ裁判所も同調され、Bに対して「判決になれば権利の濫用として認められない可能性が高いので取り下げたらどうか。」と勧告され、Bはなかなか理解できなかったようですが、結局訴えを取下げることとしました。
私は「取下げには同意できないが、離婚訴訟が継続している間は再び共有物分割請求訴訟を提起しないということであれば、和解に応じる。」と言い、裁判所も「そのようにしたらどうか。」と言われ、その形で和解が成立したのです。
その後奈良家庭裁判所も離婚訴訟について和解を勧告しました。
私は「本来ならばAが居住している共有の土地建物のBの持分をAに分与した上、Aにある程度の現金を分与することが必要ではあるが、Aが居住している共有の土地建物のBの持分をAに分与するということであればそれでよい。」と言ったところ、裁判所もBにその和解案で和解するよう勧めたのです。
Bはなかなか応じなかったのですが、裁判所は「それでは判決になりますが、判決になれば相当のお金の支払いをすることになる可能性が高いですよ」。と言うので、Bの代理人P弁護士は、「和解してもいいが、いくらかお金が欲しい。」と言い出しました。
おそらく P弁護士の弁護士費用程度がほしいということだと思います。
そこで、私は、「Bにはお金を渡すつもりはないが、子である Cにであれば300万円を解決金として渡してもいい。」と言いました。
Bには共有物分割訴訟で300万円を出させてローンを完済させ、Aはその状態でその不動産を手に入れるわけですから、300万円くらいは出してもいいと思ったのです。
この事件はその形で和解しました。
Aは2000万円を請求されながら 1円も支払う必要はなく、 1300万円相当の共有不動産の持分を手中にしました。
「事例1」の続きです。
財産分与は「婚姻期間中に形成した夫婦財産の総精算」ですので、Aは婚姻期間中に形成した預貯金、不動産を開示し、Bにも婚姻期間中に形成した預貯金、不動産を開示することを求めましたが、婚姻期間中にA名義で形成した預貯金、不動産より、B名義で形成した預貯金、不動産の方が多いことが判明しました。
AとBの所得はBの方が少し多いのですが、同居期間中の生活費はすべて Aの給料の中から出し、 Bの給料は住宅ローンの返済分以外Bが自らの名義で貯金していたのです。
Bはその中からいくつか不動産を取得しており、賃貸料を得ていましたが、その不動産は値上がりしていました。
私が計算したところ、財産分与の対象となるAの財産は約3000万円であるのに対して、Bの財産は約8000万円あり、離婚に伴う財産分与として BはAに約2500万円を分与しなければならないということになります。
A、B共有財産である現在Aが住んでいる住宅の評価は約2600万円なので、Bはこの共有家屋の持分を Aに渡した上、更に1000万円余りを渡すことになります。
私がこのように主張したところ、Bは調停を不成立にしてほしいと申し出ました。
その後Bは奈良家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、「離婚に伴う財産分与においては未払いの養育費も含めて精算することも認められる。」とする最高裁判例を援用し、婚姻期間中に形成した預貯金、不動産などは一切開示することなく、離婚に伴う財産分与として「過去の養育費2000万円の分与」のみを請求してきたのです。
調停で私があれほど「財産分与は婚姻期間中に形成した夫婦財産の総精算だから、婚姻期間中に形成した夫婦財産のうち特定のものだけの分与を求めるということはできず、財産分与を求める限り婚姻期間中に形成した全ての夫婦財産を対象に分与をすることになる。」と説明したにも拘わらず、Bは理解していなかったのです。
更に驚いたことに、Bは離婚と財産分与請求をしながら、夫婦共有名義の居住家屋について奈良地方裁判所に共有物分割請求をしてきました。
これは、「財産分与はBの求めているものだけが対象になる。」という誤った考えを前提とするものなのでしょう。
Aは退職金で住宅ローンをすべて返済していましたが、Bには300万円のローンが残っていました。、
共有物分割訴訟は裁判所の命令で目的物を競売に付すのですが、判決までに抵当権を抹消することが望ましいのでその旨主張したところ、裁判所もそのように勧告しましたので、Bは300万円を払ってローンを完済しました。
しかし、夫婦共有財産については離婚と財産分与の申立てが行われている時はあくまで財産分与で適正な分与を図るべきであり、このような共有物分割請求は権利の濫用として却下するべきです。
私が裁判所に対してこの理を説いたところ裁判所も同調され、Bに対して「判決になれば権利の濫用として認められない可能性が高いので取り下げたらどうか。」と勧告され、Bはなかなか理解できなかったようですが、結局訴えを取下げることとしました。
私は「取下げには同意できないが、離婚訴訟が継続している間は再び共有物分割請求訴訟を提起しないということであれば、和解に応じる。」と言い、裁判所も「そのようにしたらどうか。」と言われ、その形で和解が成立したのです。
その後奈良家庭裁判所も離婚訴訟について和解を勧告しました。
私は「本来ならばAが居住している共有の土地建物のBの持分をAに分与した上、Aにある程度の現金を分与することが必要ではあるが、Aが居住している共有の土地建物のBの持分をAに分与するということであればそれでよい。」と言ったところ、裁判所もBにその和解案で和解するよう勧めたのです。
Bはなかなか応じなかったのですが、裁判所は「それでは判決になりますが、判決になれば相当のお金の支払いをすることになる可能性が高いですよ」。と言うので、Bの代理人P弁護士は、「和解してもいいが、いくらかお金が欲しい。」と言い出しました。
おそらく P弁護士の弁護士費用程度がほしいということだと思います。
そこで、私は、「Bにはお金を渡すつもりはないが、子である Cにであれば300万円を解決金として渡してもいい。」と言いました。
Bには共有物分割訴訟で300万円を出させてローンを完済させ、Aはその状態でその不動産を手に入れるわけですから、300万円くらいは出してもいいと思ったのです。
この事件はその形で和解しました。
Aは2000万円を請求されながら 1円も支払う必要はなく、 1300万円相当の共有不動産の持分を手中にしました。