インタビュー | 福本 雄伍弁護士 福本法律事務所

ーーはじめに、これまでのキャリアの歩みをおうかがいします。

2つの法律事務所に勤めた後、キャリア5年目で独立し、北九州市に現事務所を開設しました。

最初に入ったのは、関東を中心に全国に拠点を置く事務所でした。
私が入所した直後に新たに北九州市に支店を構えることになり、その責任者に立候補したんです。
そこを周囲の協力も得ながら軌道に乗せた後、今度は福岡市内の別の事務所に移籍。
その数年後に独立したかたちです。


ーーその間、一貫して福岡で活動されてきたんですね。

とくにキャリアの一歩を踏み出した北九州市には強い思い入れがあり、独立するなら「必ず北九州で」と心に決めていました。

北九州の方々は、新社会人で駆け出しの弁護士だった私を温かく迎え入れてくださり、今では友人や知り合いがたくさんいます。
福岡市など中心部と比べると弁護士の数が少ないため、これまでの経験を地域の方々に還元し、お役に立ちたかったんです。

なかでも、“北九州の台所”と呼ばれている「旦過（たんが）市場」は、私にとって一番のお気に入り。
最初に赴任したときはその近くで暮らしていたので、毎日のように通っていましたね。

そんな思い出の地に帰ってきた今は、プライベートでは狩猟免許を取ろうと思っているんです。
いつか捕獲した野生動物をさばいてみたいですね。
食と命の尊さについて、じっくり考えてみたいんです。

ーーこれまでどんな事件を重点的に扱ってきたんですか？

最初の事務所では交通事故をメインに扱い、次の移籍先ではそれ以外にも多くの事件に携わりました。
移籍したのも、そうやって幅を広げてより多くの方々を手助けしたかったからです。

なかでも多かったのは、離婚・男女トラブルと刑事事件でした。
最近改めて数えてみたら、在籍していた2年半の間におよそ2,500件の電話相談をお受けしていたことがわかりました。
月間100件を超える時期もあり、激務の日々でしたが、その分みっちり力をつけられた貴重な時間でした。


ーー今現在、力を入れている分野についても教えてください。

最も注力しているのは、不倫の慰謝料請求と刑事事件です。
いずれも数え切れないほど多くの事案を解決してきました。

不倫の慰謝料請求は、請求する側とされる側、どちらも積極的に扱っています。
積極的に裁判を提起する弁護士もいると思いますが、私は、なるべく和解による早期解決ができるように意識して交渉を行うようにしています。
その理由は、裁判になれば、数か月から１年くらい時間がかかりますし、裁判費用も必要になってくるからです。
実際に、不倫事案では、請求する側だけでなく、請求される側についても交渉により多くの和解を成立させることができています。
一方で、裁判官に白黒つけてもらいたい、公の場で真実を明らかにしたい、という方については、裁判をお勧めしたこともありました。



ーーそのほうが素早く解決できそうです。

そうすれば、依頼者さまも早く元通りの生活に戻れますからね。
スピード解決のメリットは大きいと思っています。

だからといって、慰謝料が相場よりも悪い金額になるわけでもないんです。
たとえば以前、ある男性からご相談いただいたときのことです。

奥さまに不倫をされたというその男性は、不倫相手に慰謝料を請求したいと決死の思いを私に託してくださいました。
そして、その約1ヶ月後におよそ300万円もの慰謝料を受け取ることで決着したんです。
それも男性は離婚せず、奥さまと復縁したにもかかわらずです。


ーーその金額が、かなり異例の水準だったということですか？
　
一般的に、不倫によって離婚したケースのほうが損害が大きいため、慰謝料の金額は高くなる傾向があります。
そして、離婚しない場合の相場は数十万〜100万円程度といわれています。
そう考えると、300万円という金額は異例と考えていいはずです。

しかも、それを約1ヶ月という短期間で終わらせました。
最大の決め手は、交渉での駆け引きです。
あの手この手を駆使して、相手の譲歩と納得をうまく引き出しました。

依頼者さまにも、「最高の結果に終わり、依頼してよかった」と大変喜んでいただけました。

ーー刑事事件についても教えてください。どんな相談が多いですか？

群を抜いて多いのが、性犯罪です。
痴漢、盗撮、強制性交、強制わいせつなどですね。
それに大麻所持・使用をはじめとする薬物事件、窃盗、暴行などが続くかたちです。

性犯罪では以前、実刑判決が見込まれる裁判で執行猶予判決を手にしたこともありました。

私が代理人を務めたその被告人は、強制わいせつ事件で被害者にケガまで負わせてしまったんですよ。
そうなると、単なる強制わいせつではなく「強制わいせつ致傷罪」となり、実刑の可能性がぐんと高まるんです。


ーーただ、それでも執行猶予に持ち込んだと。

あのときは、そのために必死に動きましたね。

たとえば、依存症が疑われるため性犯罪専門の治療機関に通っていただくとともに、裁判ではその治療機関の専門家に証人として出廷してもらったんです。
医療の見地から治療内容やその有効性を語っていただき、再犯の恐れが低いことなどを裁判官に訴えたんです。

また、裁判員裁判でもあったので、裁判員を務める一般の方々にも理解いただけるようにわかりやすい説明にも心を砕きました。

同じく裁判員裁判では、外国人の覚醒剤輸入事件で無罪判決を勝ち取ったこともありました。


ーー無罪判決になる確率は、1％にも満たないといわれています。

その事件は、一審で無罪判決を手にした後のことも強烈に記憶しています。

というのも、無罪になって釈放されても、検察が控訴すると再度勾留される可能性があるんです。
万が一、控訴審で有罪となれば刑事施設に何年も収容され、母国に帰れなくなる恐れがあります。
それを防ぐためには、いち早く日本から出国していただかなくてはなりませんでした。


ーー手に汗握るような展開ですね。

当然、検察側はそれを阻止しようと私たちの動きに目を光らせていました。
ただ、大阪にある領事館の職員と連携して臨時のパスポートを発行してもらうなどし、無事に出国の手続きを済ませることができたんです。

薬物関連ではほかにも、マンションで大麻を栽培していた方の弁護を担当したことも。
それも実刑を免れ、執行猶予をつけられました。

争点は、栽培が営利目的かどうか。
売りさばいて利益を得ていたとなると実刑濃厚とされるなか、その証拠は乏しいとの主張が認められた裁判でした。

薬物をめぐっては近年、若者の間でも大麻を中心に急速に広がっています。
素早く釈放できるかどうか、起訴されるか否か、あるいは実刑か執行猶予か。
性犯罪などを含め、その結果が人生を大きく左右します。
何かあったら、迷わずSOSを届けていただきたいですね。

ーー最後に、読者のみなさんへのメッセージをお聞かせください。

私は、絶対にみなさんを不安な思いにはさせません。
ですから、安心してご相談いただけるとうれしいですね。

というのも、多くの方が最初は緊張した様子でご連絡をくださるんです。
弁護士はどこか堅苦しく、敷居が高いーー。
きっと、そんなイメージをお持ちの方が多いんでしょう。

私は決してそんなことはありませんので、気軽になんでもお話いただきたいですね。
最近は「LINE」で相談や連絡のやりとりができますし、素早いレスポンスも心がけていますから。


ーー依頼者への熱い思いが伝わってきます。

実は、私は弁護士になる前に数年間、東京で司法書士として働いていたんです。
そこから弁護士になろうと決心したのは、そうすれば困っている方々に力を貸せる範囲が格段に広がるからでした。

こうやって幅広い分野で、老若男女さまざまな方を手助けできるこの仕事は、私にとって天職です。
これからも依頼者さまが期待する以上の結果を出せるよう、最善を尽くすことをお約束します。
困ったことがあれば、ぜひ私を頼っていただきたいですね。