未成年起業における保護者の責任と未成年登記について

お世話になります。
未成年の起業についてお伺いします。

未成年がサービスを開発・提供する際、訴訟など、何らかの理由によって保護者に責任が問われることはありますでしょうか。

もしその可能性がある場合、未成年登記を行うことで回避することは可能でしょうか。

よろしくお願いいたします。

未成年者は、原則として、法定代理人の同意を得なければ法律行為を行うことができません(民法第5条本文)。ただし、一種又は数種の営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有するものとされています(民法第6条1項)。
 また、未成年者の取引の相手方の保護の観点から、商法第5条では、「未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。」とされています(ただし、この登記がなされているケースは実際には少ないようです)。
 未成年者が企業する場合にも、個人事業主として活動しようとする場合もあれば、会社を設立しようとする場合もあります。また、会社を設立する場合でも、株主として活動する場合もあれば、取締役等として活動する場合もあるでしょう。
 いずれにしても、未成年者が企業することを希望する場合、親権者としては、未成年者とよく話し合って、適切に同意権限を行使することが望まれます(適切に同意がなされているケースでは、成年者の企業と大きな差異はないように思われます)。成年者の企業でもそうですが、企業時の悩み事や企業後のトラブルが生じた場合には、ご家族のみで悩まれず、お住まいの地域の弁護士に相談してみる方法もあるかと思います。
 
【参考】民法
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 略
(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

【参考】商法
(定義)
第四条 この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。
2 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。
(未成年者登記)
第五条 未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。