ダブル不倫の慰謝料相場について(求償権放棄を条件とする場合)

夫が妻の不貞相手に慰謝料を請求するケースについて、一般的な見通しを教えてください。

【状況】

- 婚姻期間:約14年
- 夫婦は現在も同居しており、離婚・別居の予定はない
- 夫婦には子供がいる
- 妻がマッチングアプリで知り合った既婚男性と約4か月間、不貞関係にあった
- 肉体関係は約4回
- 相手男性は妻が既婚者であることを認識していた
- 相手男性にも妻子がいる
- LINEのやり取りやマッチングアプリのプロフィールは残っている
- 相手男性の氏名・住所は不明で、下の名前、年齢、おおよその居住地域、職業に関する情報のみ把握している

【質問】

1. この条件で、夫が相手男性に慰謝料を請求した場合、現実的な示談・回収額はどの程度でしょうか。

2. 相手男性から妻への求償を防ぐため、求償権放棄を示談条件とした場合、慰謝料はいくら程度になると見込まれますか。

3. 求償権放棄を条件に150万円を請求し、同額で示談することは現実的でしょうか。

4. 相手男性の身元特定から弁護士に依頼する場合、調査費用・弁護士費用を差し引いても、経済的に請求するメリットはあると考えられますか。

相手男性の配偶者から妻への慰謝料請求リスクも含め、費用倒れになる可能性を懸念しています。

感情的な問題ではなく、実際の回収額と費用対効果を判断したいため、一般的な目安で構いませんので、具体的な金額を交えてご回答いただけますと幸いです。

1:不貞行為と既婚者であることの認識を立証できるのであれば、夫から不貞相手に慰謝料請求することは可能です。金額に決まった相場はありませんが、離婚・別居に至らず婚姻を継続する場合、裁判上は50~100万円程度が一つの目安になります。婚姻期間14年、子供がいることは増額方向ですが、不貞期間約4か月、肉体関係約4回で、現在も同居していることは高額化しにくい事情です。したがって、示談では100万円前後、事情によっては100~150万円程度での解決も考えられます。

2:求償権放棄を条件とする場合、不貞相手にとっては慰謝料の支払いに加えて、妻に対する求償権まで失うことになるため、通常は金額面で一定の調整が必要になります。内部負担割合は必ず2分の1ではありませんが、今回の事情であれば、求償権放棄を含め70~100万円程度で合意できれば、相応の解決と考えられます。

3:求償権放棄を条件に150万円を請求すること自体は可能です。もっとも、不貞期間・回数、離婚や別居に至っていないことを踏まえると、「150万円+求償権放棄」は請求側に有利な条件です。交渉の出発点として150万円を提示することは考えられますが、そのまま150万円で成立することを前提にはしない方がよいでしょう。

4:費用対効果は、不貞相手の身元をどの程度容易に特定できるかによって大きく変わります。弁護士会照会等による特定を試みることはできますが、現在の情報だけで必ず氏名・住所まで判明するとは限りません。回収額が50~100万円程度の場合、身元調査から交渉・訴訟まで全面的に依頼すると、弁護士費用等を差し引いた手取りが相当小さくなる可能性があります。また、本件はダブル不倫ですので、不貞相手の妻が事実を知れば、妻に対して別途慰謝料請求する可能性があります。夫と不貞相手との間で求償権放棄を合意しても、この請求を防ぐことはできません。したがって、純粋な経済面で判断するのであれば、回収見込みだけでなく、弁護士費用、身元特定費用、求償関係、不貞相手の妻からの請求リスクまで含めて検討する必要があります。

ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございます。
具体的な金額も示していただき、大変参考になりました。

追加でお伺いしたいのですが、相手男性は妻子がおり、離婚する意思もないと思われるため、家庭に知られることを避けたい事情があると考えています。

このような事情は、求償権放棄を含めた示談交渉の成立や金額に影響する可能性があるのでしょうか。

また、現在把握している情報から身元特定を試みる場合、特定できる見込みや費用についても、一般的な範囲で教えていただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。

相手男性が既婚で、家庭に知られることを避けたい事情があることは、法的な慰謝料額そのものを増額させる事情ではありませんが、示談交渉上は一定の影響を与える可能性があります。例えば、訴訟等に発展させず早期に解決することや、口外禁止条項を設けることと併せて、求償権放棄を含む示談に応じる動機になることはあります。そのため、150万円を提示して交渉を始め、100万円前後ないしそれ以上+求償権放棄での解決を目指すことには一定の合理性があります。もっとも、「支払わなければ妻や家族に知らせる」など、家庭への発覚を金銭支払いの圧力として利用するのは避けるべきです。

身元特定については、現在分かっているのが下の名前、年齢、おおよその居住地域、職業のみであれば、確実に氏名・住所まで特定できるとはいえません。一方、マッチングアプリの名称、プロフィール、アカウントID、写真、自己紹介文、LINEアカウント、電話番号、メールアドレス等が残っていれば、特定可能性は上がります。弁護士に依頼した場合、必要に応じて弁護士会照会等による調査を検討できますが、必ず回答が得られるわけではなく、保存期間等にも左右されます。まずは現在保有している資料を弁護士に見せ、①特定の見込み、②特定までの費用、③その後の慰謝料請求を含む総費用、を確認した上で費用対効果を判断するのがよいでしょう。

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