かもした たくじ
鴨下 卓治弁護士
豊橋みらい法律事務所
愛知県豊橋市中世古町46
インタビュー | 鴨下 卓治弁護士 豊橋みらい法律事務所
大手事務所から独立、3年で1,000件超の相談。交通事故や刑事にも強い中小企業診断士
大手の法律事務所で年間350件以上の法律相談を受けてきた、豊橋みらい法律事務所の鴨下卓治弁護士。
現在はその経験を生かし、とくに交通事故の後遺障害認定や刑事事件の身柄解放などで数々の成果を残しています。
中小企業診断士の試験も合格し、経営支援にも奔走。その原点は、自身が味わった祖父の相続問題にありました。
現在はその経験を生かし、とくに交通事故の後遺障害認定や刑事事件の身柄解放などで数々の成果を残しています。
中小企業診断士の試験も合格し、経営支援にも奔走。その原点は、自身が味わった祖父の相続問題にありました。
01 弁護士としての活動
大手事務所に在籍。年間350件、3年で1,000件超の相談
ーーまずは、弁護士としてのキャリアから教えていただけますか?
最初に就職したのが、大手の法律事務所です。膨大な量の案件を取り扱っている事務所で、法律相談の数は弁護士1人あたり年間350件くらいあり、私は在籍した約3年間で1,000件以上のご相談を受けてきました。
分野の中心は債務整理です。それに交通事故や離婚・不貞問題、さらに刑事事件や、不当解雇や残業代請求などの労働事件もよく担当していました。
とにかく大量の案件を扱ってきましたね。
その後、2018年に事務所の同僚だった弁護士と2人で豊橋みらい法律事務所を立ち上げました。現在は2人でおもに民事と家事事件について、地域のみなさんからご相談をいただいています。
ーー3年で1,000件以上の相談件数はすごい量ですね。
この事務所を設立してからのご相談も含めると、私一人でもう2,000件近くになるのではないでしょうか。2人合わせると、おそらく4,000件近い数字になると思います。
大手事務所での経験は大きかったですね。あれだけ毎日のように多くのご相談を受けているなかで、早く解決まで持っていく力、それに対人スキルや面談のノウハウを自然と身につけることができました。
02 注力している分野・事案
交通事故の後遺障害認定、刑事の身柄解放に強み
ーー現在、とくに力を入れている分野について教えてください。
今は、交通事故と刑事事件が中心になります。
交通事故では、後遺障害等級認定の申請を行っていることがポイントの1つです。事故に遭ってケガをした場合、後遺症の損害賠償金を受け取るには後遺障害等級認定を受ける必要があります。
申請には保険会社に任せるケースと、被害者ご自身による被害者請求という手続きがあります。一般的に被害者請求の方が納得のいく認定結果を得られやすいとされていますが、一方で書類の準備など手間がかかるといったデメリットもあるのです。
ーーその手続きを弁護士に任せれば、問題を解消できると。
私に任せていただければ、治療を受けている病院への診断書の請求など、認定に必要な手続きや書類を一式集めて申請できます。
以前働いていた事務所では、保険会社に任せて認定されなかったケースの異議申し立て手続きをよく担当していました。そこで培った経験の蓄積が役立っている部分もあります。
交通事故では弁護士に示談交渉をお願いするケースはよくありますが、当事務所では後遺障害等級認定の被害者請求手続きもお手伝いできます。
ーー刑事事件の実績についてはいかがでしょうか?
刑事事件で重点的に取り組んでいるものの1つが身柄解放で、豊富な実績があります。
豊橋エリアには身柄解放に力を入れている弁護士が多くないこともあり、私たちが事務所を立ち上げた直後から、この地域で勾留決定の破棄を求める準抗告の手続きがかなり増えたと聞きました。
どうやら1年で2倍くらい増えたというのです。
ーーそれは大きな変化ですね。例えば、過去にどんな身柄解放案件がありましたか?
逮捕・勾留から2日で身柄解放につなげたことがありました。
被疑者は会社員の方で、酔っ払って閉店後の居酒屋にドアを壊して侵入し、逮捕・勾留されてしまったのです。
でも、本人は「酔っていて何も覚えていない」と。つまり否認事件になるので、身柄解放はなかなか難しいかもしれない。それが最初の印象でした。
ただ、勾留されてしまうと最短でも10日間は拘束されてしまいます。その間は会社にも行けないわけですし、被疑者にとっては大変な状況ですよね。
ーーそれでも、身柄解放を実現できたのはなぜだったのでしょうか?
当時の状況を徹底的に調べることから始めました。例えば、どれくらいの量のお酒を飲んでいたのか、事件を起こした日に一緒に飲んでいた同僚を探し出して話を聞いたり、クレジットカードの明細を見せてもらったりして調べたのです。
そして、かなりの酒量だったことや、普段は真面目に仕事をしていることなどを裁判官に訴えたことで、通常10日間の勾留期間を2日間に短縮させられたのです。
03 弁護士として心がけていること
小さな心情の変化を見逃さない。大手で培った眼力
ーー日々のお仕事の中で、大切にされているのはどんなことでしょうか?
私が一番大事にしているのは、依頼者の方が本当に求めていることを、会話の中からなるべく早く察知することです。それがわからないと、どういう風に問題解決に落とし込むか。その方針が決められないですからね。
ーー依頼者が本当に求めていることを知るには、どうしたらいいのでしょう?
小さな心情の変化に勘づくことができるか。これが大事なポイントです。そういう意味では、大手の事務所で毎日、大量のご相談を受けてきた経験はとても大きかったと思います。些細な変化を見抜けるようになったからです。
例えば、交通事故で母親を亡くされた2人の娘さんが来所された際に、こんなことがありました。2人が相続人となり、損害賠償を請求することになったのですが、はじめは金額についてはそれほど強いこだわりがあるわけではないとおっしゃっていました。
ですが、よく話を聞いていると、どうやら片方の娘さんは釈然としていない雰囲気を感じたのです。
相続の場合、どちらか一方の強い意見に流されてしまうようなケースは珍しくありません。本当はどう思っているのか。もう一度時間をかけてしっかり話し合い、最終的には賠償金の額を積み増すかたちで和解しました。
ーーそれはよかったです。あとで後悔していたかもしれませんからね。
どんな小さなことでも、その都度しっかり確認する。些細な変化に、きちんと気づいてあげられる。そうして依頼者の方々ができる限り納得できるような解決の仕方を探すことは、私がとても大切にしていることであり、強みになる部分だと自負しています。
04 弁護士としてのルーツと今後
原点は祖父の相続問題。中小企業診断士として経営支援
ーー小さな変化を見抜く。依頼者を思う気持ちがなければ難しいはずです。
そもそも私が弁護士を目指した理由は、困っている人たちの身近な問題解決の助けになりたい。そういう思いからでした。
そのきっかけは、祖父が亡くなったときの経験です。私は6歳のときに父を亡くしていたので、祖父が亡くなった後の相続問題は、孫である私に直結する問題だったのです。
ただ、そのときに親族間で揉めたことがあったんですよ。結局、弁護士に頼むことはしなかったので、その場をうまくまとめてくれる人がいなくて苦労したことを覚えています。
身近な問題で困っている人の助けになりたい。その体験が、そう思うようになった弁護士としての私の原点なのです。
ーー今日もどこかで困っている人がいます。法律問題の解決に終わりはありませんね。
私1人ですべての人を助けることはできませんし、どうしてもできることは限られます。それでも、可能な限り1人でも多くの人の助けになりたいですね。
そのためにも、新たに中小企業診断士の試験を受け、合格しました。以前の事務所で債務整理はかなりの数を扱ってきましたが、多かったのは破産手続きでした。破産だけでなく、再生や発展にも力を入れていきたい、その助けになりたい。そんな思いから、時間を見つけてコツコツ勉強し、資格をとりました。豊橋近辺や愛知を中心に、地道に奮闘していらっしゃる中小企業のみなさんの力になりたいと思っています。