インタビュー | 中山 雄太弁護士 中山Drive法律事務所

――何がきっかけで弁護士を目指したのですか。

子どものころの話です。
私は警察官である父の背中を見て育ちましたが、あるとき、子ども心に「父を超える職業に就きたい」と思うようになりました。
それが弁護士を目指したきっかけです。

その後、大学の法学部、そしてロースクールに進学しましたが、ロースクール時代に受けたビジネスや起業の授業がきっかけで、起業家の方々との縁ができました。スタートアップの起業家の方々は、自身の会社の技術・アイデア・プロダクトで社会を一歩前に進めてよりよい社会にしていくのだという意気込みを持っている方ばかりで、こういった人たちと一緒に仕事をしたいなと思いました。

法律家が守りだとすると、起業家は攻めだと思います。
そういった前向きな姿勢に、私はとても共感しました。

弁護士は、依頼者に起こった失敗やマイナスの出来事など、逆回転がかかってしまった状態の人生を順回転に戻していく仕事であったり、企業様が依頼者の場合であれば事業を前に進めていくための障害をできるだけ排除したりしていく仕事だと思います。
だから、弁護士になったのです。

――弁護士としてのキャリアについて教えてください。

はじめに勤めたのはスタートアップの企業法務に力を入れている事務所です。
当時、スタートアップの企業法務だけに力を入れる事務所は、片手で数えられるほど珍しいものでした。

資金調達や先進的な事業内容の法的な検証など、まさに私がやりたかった仕事ができたのがその事務所でした。

その後、数年間はその事務所で働きます。
しかし、司法修習でお世話になり、大好きになった北海道で弁護士の仕事がしたいと思うようになりました。
そのため、北海道にオフィスがある法律事務所に移り、札幌市のオフィスで働くことになりました。

この事務所は個人向けの事件を幅広く扱っており、いわゆる街弁のような事務所です。

そして、2025年9月に「中山Drive法律事務所」を設立しました。
独立後に選んだ札幌市清田区という場所は、ほかに弁護士事務所がありません（2025年10月現在）。
地域の方が利用しやすい事務所を目指しています。

現在も離婚・男女問題や刑事事件、交通事故やIT関係（インターネット問題）、そして不動産と幅広く扱っています。

ちなみに札幌市では、名前にアルファベットが入っている法律事務所は珍しいそうです。
人生に逆回転がかかって困っている人を順回転に戻す、どうしてよいか困っている人の案内人といった意味を込めて「Drive」と名付けました。

――印象に残っているのは、どのような事件ですか。

はじめに不倫相手の配偶者と揉めた事件をご紹介します。

依頼者さまの不倫が発覚し、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されていました。
その額なんと400万円。
一般的に考えると、相場より高い金額です。

しかし、それ以外にも依頼者さまが困っていることがありました。


――どのようなことに困っていたのですか？

不倫相手の配偶者が、自宅付近を徘徊していました。
相談を受けた私は文書でその方に警告しました。

それを受けてその方は迷惑行為をやめてくれたのです。

その後、慰謝料についても粘り強く交渉を重ね、最終的には妥当だと思える50万円ほどの慰謝料に落ち着きました。


――文書だけでは迷惑行為をやめない方もいますか。

そういったケースもあります。

通常、文書には「あなたの行為は◯◯という法律に抵触している」と具体的に書きます。
多くの人はこれで迷惑行為をやめますが、なかにはそうでない方がいるのも事実です。

警告に応じない場合は、相手と電話などで会話します。
依頼者さまと敵対する相手ではありますが、はじめから強硬な態度に出ることはありません。
まずは相手の要望を聞きます。

その上で譲歩できる部分については依頼者さまと話し合い、難しい部分については理由を添えてその旨をきちんとお伝えします。

自宅付近を徘徊する行為等を文書で警告してもやめない人は多くはありませんが、決して珍しいケースではありません。

――ほかには、どのような事件が印象に残っていますか。

次にご紹介するのは盗撮事件です。

依頼者さまは北海道のなかでもわりと人口の多い街で盗撮をしてしまいました。
それで相談に来られたのですが「私が犯した罪が、周囲の人に分からないようにしてほしい」とのご希望だったのです。

その理由はふたつ。

ひとつ目は仕事の都合です。
依頼者さまは特定の資格が必要な仕事に就いていました。
しかし、職場に犯罪の事実を知られると仕事を失うことになるというのです。

ふたつ目は近所の人の目です。
依頼者さまが住んでいる地域は人口が少なく、犯罪の事実が住民に知れ渡るとその場で暮らせなくなるということでした。


――それを受けて、どのように事件処理を進めたのですか。

依頼者さまからこのようなご希望がある場合には、被害者の方と示談をまとめ、不起訴処分となるように動く必要があります。
そのため、被害者の方とお会いして示談交渉を進めました。

相手はあくまでも被害を被った方です。
私の依頼者は加害者ですが、被害者の方のご要望をきちんとお聞きし、できるだけ納得していただけるように話を進めました。

そうやって被害者全員と示談交渉を進めて示談をまとめたところ、無事に不起訴処分になりました。


――金額の問題じゃない、とおっしゃる被害者の方もいますか。

そうですね。
しかし、その場合でも、諦めずに示談交渉ができないかと試行錯誤します。
ときには先に依頼者さまに反省文を書いてもらったりしながら、被害者の方に納得していただけるように対応することもあります。

反省文についても、何度も書き直していただくことが多いです。
最終的な目的は示談をまとめることですが、その過程で被害者の方のお気持ちを理解したり、犯した罪の重大さを理解したりする必要があるためです。

性犯罪関連の事件では、このように依頼者さま（加害者）の反省を促し、極力示談がまとまるように努力しています。

――弁護士として大切にしていることを教えてください。

私は依頼者さまの最大の利益を追求します。
そのために必要であれば、毅然とした態度で相手と戦います。

和解で終わるほうが、依頼者さまの立場で考えると経済的な負担は少ないのは事実です。
しかし、場合によってはそれでは済まない場合もあります。

もちろん、むやみに戦う必要はありませんが、いざというときには徹底的に戦うのが私の信念です。


――最後に中山先生から困っている人へメッセージをお願いします。

長い人生のなかで法的なトラブルに巻き込まれて困ることもあると思います。
そのとき、自分の力でできるところまで対応しようと頑張る方もいます。

しかし、その努力が取り返しのつかない事態を招く恐れがあるのです。

なにか困ったことがあれば、お気軽に、そして早めに私までご相談ください。
依頼者さまの最大の利益のために、覚悟をもって対応させていただきます。