裁判員裁判で「裁判員制度は違憲」との判決が出たらどうなる?裁判員裁判の自己否定となり論理矛盾しない?

裁判員制度は憲法に違反するのではないか
という見解が存在します。

そこで疑問なのですが、
もし裁判員裁判にかけられた被告人が
「裁判員制度は憲法に違反する。」
と主張して、
その裁判でその主張が認められる判決が下されたら、
どうなるのでしょうか?

その被告人が受けている裁判員裁判にて
「裁判員制度は憲法違反である。」
という判決が下されたら、
それは、その裁判員裁判が
“自己否定”している
という事になってしまいませんか?

なぜなら、裁判員裁判が
「裁判員裁判は憲法違反である。」
との判決を下したら、
そう言っている当の裁判員裁判自身が
憲法違反である
という事になってしまうからです。

つまり、
自分で自分の存在を
「憲法違反である。」
と言っている事になってしまいます。

よって、
そういう事態になってしまったら
論理的に矛盾が生じてしまうと思うのですが、
そういうのは法的にはどういう扱いになるのでしょうか?

不思議に思ったので、よろしくお願いします。

裁判官や裁判員が、実は裁判出来ない人だったという「自己矛盾」の状態は、裁判官に除斥事由がある場合や裁判管轄がない場合など、わりとあります。珍しくありません。
裁判員裁判が違憲だから裁判出来ないという結論に達した場合、おそらくは刑事訴訟法338条1項1号に基づいて公訴棄却判決をするか、裁判員法3条の2を適用又は類推適用して、その裁判体が属している地方裁判所が、裁判官のみの合議体で取り扱う決定を職権で行うかになるかと存じます。
ただ、当然ながら、裁判員裁判が違憲であると判断される可能性は、かなり低いとは思いますが。

ご回答ありがとうございます。
つまり、「存在自体が違憲である合議体」によって出された「違憲判断」であっても、判断としては有効ということになるわけですか?
また、一審ではなくて控訴審(高裁)や上告審(最高裁)で「裁判員裁判は違憲」との判断が出されてしまったら、どうなるのでしょうか?

私としては、「存在自体が違憲である裁判体(合議体)」は、そもそもいかなる判決を下すことも出来ないというのが論理的な筋だと思ったのですが、法的には、「存在自体が違憲である裁判体」も、「自分自分の存在が違憲である」という判決なら下すことが出来るのですか?

>つまり、「存在自体が違憲である合議体」によって出された「違憲判断」であっても、判断としては有効ということになるわけですか?
そうなると思います。合議体がなんで存在自体違憲とされたのかによりますが。

>また、一審ではなくて控訴審(高裁)や上告審(最高裁)で「裁判員裁判は違憲」との判断が出されてしまったら、どうなるのでしょうか?
なんで違憲かにもよりますが、おそらく一審に差し戻したうえで、裁判官による審理をすることになるのではと思います。

>私としては、「存在自体が違憲である裁判体(合議体)」は、そもそもいかなる判決を下すことも出来ないというのが論理的な筋だと思ったのですが、法的には、「存在自体が違憲である裁判体」も、「自分自分の存在が違憲である」という判決なら下すことが出来るのですか?

出来ると思います。存在自体が違憲である裁判体が、なにも判断出来ないというのは論理的な帰結ではありません。
管轄違いの場合の移送や却下の場合を考えると分かりやすいですが、違憲状態を是正して正しい裁判体に是正するための判決・決定・命令は、「存在自体が違憲である裁判体」もなすことが出来る可能性が高いです。存在自体が違憲である裁判体が何も判断出来ないとすると、実質的に「裁判体の存在自体が違憲である」という認定自体できなくなりますし。

ありがとうございました。