元勤務先から不正アクセス容疑で被害届を出され、警察から取調べの連絡が届いている件について
1. 相談内容の概要
元勤務先(A社)より不正アクセス禁止法違反の容疑をかけられ、管轄の警察署から被疑者として任意での事情聴取(取調べ)の要請を受けています。
会社からは一方的な懲戒処分通知とともに、フォレンジック調査費用として50万円の損害賠償を請求されています。警察での取調べへの対応方法、供述調書作成時の注意点、および会社側との示談・交渉の方針についてご相談したく存じます。
2. 当事者・体制
相談者(被疑者): 私(元・A社 経理兼情報システム担当)
相手方(被害者側): A社(役員・幹部社員等)
関係機関: 管轄警察署
3. 事実経過・時系列
〜2024年8月:経理兼情報システム担当として勤務
前任者が退職勧奨となり、専門知識がない状態で情報システム業務を引き継ぐ。
2024年9月:情報システム業務を外部委託へ引き継ぎ
会社の幹部(B氏)が窓口となり引き継ぎを実施。
当時、役員用アカウントが初期パスワードのまま放置されている点、IPアドレスの制限がかけられておらず外部からアクセス可能な状態である点など、セキュリティ上の脆弱性を事前に会社へ指摘・懸念伝達していた。
その後もログの取り方等について適宜情報共有を行っていた。
在職中の社内状況(内部指摘):
社内で不法行為やガバナンス上の問題と思われる点(自治体関連の補助金に関する実態のない人数水増し疑問、工数の意図的な水増し売上計上、政治資金等に関する不適切懸念など)を指摘していた経緯がある。
2024年12月: 転職活動において内定(転職先B社の選考通過)。
2025年1月中旬: 直属の上司(経理責任者)へ退職意向を伝達。
退職申出後: 新しく着任した役員(A氏)と退職面談を実施。引継ぎ漏れの確認時、規定上役員側が管理することになっているアカウントの存在・状況について共有。
2025年1月27日(会社主張の被害日):
会社主張によると、他者(役員等)のアカウントで監視ツール等へアクセスしたとされる。
2025年2月7日:
予告なしに会社幹部(C氏)が訪問し、パソコンを回収。理由の説明はなく、翌日からの有給休暇取得および以降の業務引継ぎ不要を告げられる。
2025年2月21日〜26日:
役員(A氏)より連絡が入るが、有給消化期間中につき対応せず(事前に労働基準監督署へ相談し、有休中の業務連絡対応義務がないことを確認済み)。
2025年2月26日:
役員(A氏)よりメールを受領。1月27日のアクセスを不正アクセスとみなし、警察への被害届提出、フォレンジック調査費用(50万円)等の損害賠償請求を予告される。
2025年3月:
会社から一方的に懲戒処分通知書および合意書が郵送される。警察に被害届を提出した旨が記載されていた。
現在:
管轄警察署より連絡があり、被疑者として任意事情聴取(取調べ)の呼び出しを受けている状態。
4. 相談・質問したい事項
1. 不正アクセス禁止法違反の成立性・見通し
管理体制が極めてズサン(初期パスワード放置・IP未制限)であったことや、アカウントの運用状況に鑑み、法的に不正アクセス罪の構成要件を満たすのか。
不正な目的や悪意がない場合、どのように立証・主張すべきか。
2. 警察の事情聴取(取調べ)への対応方針
任意聴取で「認めるべき事実」と「毅然と否定・主張すべき点」の切り分け。
警察官が作成する「供述調書」の確認方法、意図と異なる場合の署名・押印拒否や訂正要求のやり方。
逮捕等のリスクの有無や、弁護士の同伴・待機の要否。
3. 会社側からの請求・処分への対処
本人に事実確認をすることなく任意で実施されたフォレンジック調査費用(50万円)の支払い義務の有無。
弁明の機会もなく送付された懲戒処分・合意書への対応。
社内不祥事の指摘に対する「報復・嫌がらせ」の側面を警察や交渉で主張することの有効性。
4. 弁護人選任(着手)の費用と見通し
今後、弁護人として警察対応や会社との交渉をご依頼する場合の費用感(着手金・報酬金等)と、不起訴処分を目指すための具体的な流れ。
不正アクセス禁止法違反の成否は、単に初期パスワードが放置されていた、IP制限がなかったという事情だけでは決まりません。誰のアカウントを、どのような権限・経緯で使用し、どこへアクセスしたのか等を具体的に確認する必要があります。
警察の任意聴取では、客観的事実とご自身の認識を区別して正確に説明することが重要です。供述調書が認識と異なれば訂正を求め、納得できなければ署名・押印を拒否できます。逮捕の可能性については、証拠関係や捜査状況等を確認しなければ判断できませんが、弁護士から逮捕の理由や必要性がないことをします意見書を出すことでリスクは一定程度軽減される場合もあります。弁護士の取り調べでの待機等も必要に応じて行うことが考えられます。
また、会社が支出したフォレンジック費用50万円についても、当然に全額の賠償義務を負うものではなく、必要性・相当性や因果関係等の検討が必要です。懲戒処分や合意書、内部不祥事の指摘との関係についても併せて精査すべきでしょう。
弁護士費用は、刑事事件のみを依頼するのか、会社との交渉まで含めるのか、事件の難易度等によって異なります。既に警察の聴取が始まっているため、次回聴取前に弁護士へ資料を持参して相談し、見通し・弁護方針と併せて具体的な見積りを確認されることをお勧めします。