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交通事故の被害者からのご相談のみに対応しています。 交通事故のご相談であっても、以下の場合には対応しかねます。 ①後遺障害のない人身事故 ②軽度の後遺障害の人身事故【頚椎捻挫(むち打ち)・腰椎捻挫など】 ③物損のみの事故
交通事故の事例紹介 | 藤本 一郎弁護士 だいち法律事務所
- 過失割合の交渉
依頼者:20代 男性
しかし、その弁護士の対応が不十分であることに不満を持っていました。
また、その弁護士が体調を崩して法律事務所を閉鎖したため、後任の弁護士を探された後、当事務所にご依頼を頂きました。
この時点で、刑事・民事の状況は以下の通りでした。
①刑事手続
すでに警察の捜査は終了し、検察庁に送致されていました。
そして、検察庁での捜査もかなり進んでおり、担当の検察官は、加害者(被疑者)を不起訴処分にする方針を示していました。
ご遺族は、加害者に厳罰を科すことを希望していたため、不起訴処分にされそうな状況に強い不満を持っていました。
②民事手続
前任の弁護士は、受任した直後に、自賠責保険金の請求手続を行っており、すでに死亡保険金の上限額である3000万円の自賠責保険金を受け取っていました。
【刑事手続】
1 起訴前の対応
受任後、速やかに検察官と連絡を取り、ご遺族と一緒に面談する機会を設定しました。
初回は、捜査状況と処理方針を確認するとともに、ご遺族の心情と方針への不満を伝えました。
その後も、ご遺族と一緒に検察官と面談する機会を持ち、ご遺族の不満を伝えるとともに、事故の発生状況に関する疑問点を指摘したり、有罪立証の可能性について議論したりしました。
最終的に、検察官は、方針を変更し、加害者を公判請求しました。
ご遺族とともに、粘り強く、起訴するように訴えかけたことが功を奏したと思います。
2 刑事裁判での対応
刑事裁判において、加害者は、被害者の動きを予測できず、回避も不可能だったとして、無罪を主張しました。
しかし、裁判所は、加害者は、かなり離れた地点から自転車の存在を認識しており、自転車の多少の進路変更を予見できたし、減速と安全な側方間隔の保持によって事故の発生を回避することも可能だったと判断し、有罪と判断しました。
この手続では、被害者参加制度を利用し、被告人質問・被害者論告を行いました。
また、ご遺族には、「心情に関する意見陳述」も行って頂きました。
【民事手続】
1 手続の選択
刑事手続が終結した後、訴訟することに決まりました。
訴訟を選択した理由は、以下の通りです。
①加害者が不誠実な対応を続けており、遺族は、一定の譲歩が必要となる示談交渉を選択する心情ではなかった
②過失割合が重要な争点と見込まれ、裁判所に慎重に判断してもらうことを希望した
③被害者が大学生だったため、損害額が高額化すると見込まれた
④刑事手続が終わるまでに事故から3年が経過しており、遅延損害金が相応の金額になると見込まれた
2 裁判の争点
この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。
①過失相殺
加害者は、事故の発生について責任はないと主張しました。
②逸失利益の基礎収入
加害者は、被害者は大学生であり、大学を卒業していないから、男性大卒者の平均賃金ではなく、男性学歴計の平均賃金を採用すべきと主張しました。
③葬儀関係費
葬儀関係費の額も主要な争点になりました。
④慰謝料
慰謝料の総額、被害者の姉に固有の慰謝料を認めるべきかが争点になりました。
3 裁判所の認定
①過失相殺
被告は、自転車の進路変更を予見できず、回避も不可能だったので、被告には責任がないと主張しました。
これに対し、原告は、安全な側方間隔が保持されていなかった、被告車の30㎞/h近い制限速度超過、被告の前方不注視などの事実を主張し、重大かつ悪質な注意義務違反によって事故を発生させたと主張しました。
裁判所は、被告が損害賠償責任を負うと認定し、被告に80%の責任があると判断しました。
②基礎収入
被告の主張は、【交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言】に反しており、裁判所は、男性大卒者の平均賃金を基礎収入にすると判断してくれました。
③葬儀関係費
裁判所は、この争点について、以下の通りの認定をしてくれました。
・葬儀費:約199万円・墓石などの購入費:約259万円
④慰謝料
こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、被害者の姉にも固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。
・本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと
・被告の謝罪などの対応が不十分であること
・ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること
裁判所は、以下の通りの慰謝料を認定しました。
合計額は3000万円です。
・被害者本人:2000万円
・両親:各400万円
・姉:200万円
- 後遺症被害
依頼者:20代 男性
また、家族は、交通事故の対応について十分な知識や経験がありませんでした。
このため、当初、保険会社に任せきりになっていました。
そして、保険会社は、初診病院などに作成してもらった後遺障害診断書を入手した上で、「事前認定手続」によって後遺障害等級の認定を受けようとしていました。
この時点で、被害者は、高次脳機能障害に関するリハビリを受けるため、高次脳機能障害に詳しい医療機関に通院していました。
しかし、保険会社が入手していた後遺障害診断書の中には、この医療機関が作成した診断書は存在しませんでした。
だいち法律事務所がご依頼を頂いたのは、保険会社の手元に必要書類が集まり、もうすぐ「事前認定手続」を始めるという段階でした。
受任後、すぐに保険会社に連絡を入れ、『被害者請求手続を取る方針なので、事前認定手続を行わないように』と申し入れ、保険会社の動きを止めました。
その上で、保険会社が持っていた資料の開示を受けるとともに、家族から被害者の状況を聴取したり、高次脳機能障害のリハビリのために通っている医療機関の見解を確認するなどして、本人の症状の内容や程度を把握しました。
その結果、初診病院では、十分な神経心理学的検査を実施していないことが分かりました。
また、作成されていた後遺障害診断書の記載は、被害者の高次脳機能障害をとても軽く評価していると判断しました。
このため、だいち法律事務所は、高次脳機能障害のリハビリのために通っている医療機関に対し、高次脳機能障害についての詳細な評価を依頼しました。
その上で、被害者の状態について詳細に記載した後遺障害診断書などを作成してもらいました。
これらの資料を入手した上で、「被害者請求手続」を行いました。
その結果、自賠責保険は、高次脳機能障害について5級2号と判断してくれました。
また、眼の障害について、併合8級と認定されたため、最終的な後遺障害等級は併合3級に認定されました。
この後遺障害等級を前提として被害者が被った損害額を計算し、保険会社に提示した結果、こちらが提示した金額のほぼ満額を認めてもらうことができました。
特筆すべきなのは、示談での解決だったにもかかわらず、日額3000円の将来介護費を認めてもらった点だと思います。
これ以外の損害項目も、ほぼ満額の回答を得たため、早く解決することができました。
- 後遺症被害
依頼者:60代
この事故によって、被害者は、第3頚椎骨折、第3/4頚髄損傷などの怪我を負いました。
この頚髄損傷によって、被害者は、四肢麻痺(首から下を動かせない状態)となり、寝たきりの生活になってしまいました。
【後遺障害等級】
この事案において、被害者は、『脊髄損傷』によって四肢麻痺という重篤な後遺障害を負ったため、別表第一第1級1号と認定されました。
【裁判】
自賠責保険によって後遺障害等級が認定された後、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、以下の通りでした。
1 被害者にとって適切な生活の場所
被害者は、四肢麻痺の状態になったため、自分でできることはほぼなく、日常生活のあらゆることに介護が必要な状態になりました。
また、本来、呼吸は、横隔膜と胸郭筋を使って行われます。
しかし、脊髄損傷によって胸郭筋が麻痺していたため、深い呼吸ができなくなっていました。
訴訟を提起する時点で、被害者は、既に病院を退院し、自宅での生活を続けていました。
しかし、保険会社は、
・ 症状が重篤であるため、感染症にかかる危険があること
・ 十分な介護を受ける必要があること
などを根拠にして、自宅での生活は適切ではなく、病院や施設で生活させるべきだと主張してきました。
保険会社の主張は、病院や施設で生活することを前提にすれば、将来介護費として認められる金額が少なくなると見込んでなされました。
かかる主張に対する反論として、
・ 本人が自宅での生活を強く望んでいること
・ 結審までの間に、2年以上も自宅での生活が継続していること
・ 自宅でも十分な介護態勢が整えられていること
・ 近親者の努力もあって、被害者の症状は安定していること
・ 現実に入所できる施設を見つけることが困難であること
などを主張しました。
その結果、裁判所は、現状の通り、自宅での生活を続けさせることを前提として、将来介護費などの認定をしてくれました。
2 将来介護費
被害者は、重篤な後遺障害を負ったため、全ての日常生活において介護が必要な状態になっていました。
近親者だけでは、どんなに頑張っても全ての介護を担うことは難しく、もし全ての介護を近親者だけで行おうとすれば、近親者に過度の負担が集中し、短期間で介護を継続できなくなることが見込まれました。
このため、被害者は、可能な範囲で職業介護人による介護サービスを利用していました。
この様な事情を主張した結果、日額1万8000円の将来介護費を認定してもらうことができました。
なお、将来介護費の外に、日額約1500円の将来雑費も認定されており、これらを合計すれば、日額2万円近い費用が認定されたことになります。
3 過失割合
保険会社は、被害者に40%の過失があると主張しました。
当然、被害者は、ここまで大きな過失があると主張されることを承服できず、被害者の過失がより少ないと主張しました。
この結果、裁判所は、被害者の過失は25%であると認定しました。
- 後遺症被害
依頼者:50代
この事故によって、被害者は、頚髄損傷などの怪我を負いました。
この頚髄損傷によって、被害者は、四肢の運動障害・感覚障害、排尿排便障害麻痺となり、身の回りの動作に常に他人の介護が必要な状態になってしまいました。
【受任後の対応】
被害者から、ご依頼を頂いたのは、これから加害者の刑事手続が進み始めるという早い時点でした。
被害者とご家族は、加害者に厳罰を科すことを希望していたため、起訴前から検察官と連絡を取り合いました。
そして、加害者が起訴された後は、被害者参加制度を利用し、加害者の刑事手続に関与しました。
刑事裁判では、加害者に対して被告人質問を行うなどして、事故状況の詳細を明らかにしたり、事故後の対応の意図や反省の有無を問い質しました。
【後遺障害等級】
被害者は、『脊髄損傷』によって四肢麻痺という重篤な後遺障害を負ったため、別表第一第1級1号と認定されました。
【裁判】
自賠責保険によって後遺障害等級が認定された後、訴訟を提起しました。
重篤な後遺障害を負っていたこと、被害者が過失割合に強いこだわりを持っていたことなどの事情から訴訟による解決を選択しました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、以下の通りでした。
1 将来介護費
被害者は、重篤な後遺障害を負ったため、全ての日常生活に介護が必要な状態になっていました。
近親者だけでは、どんなに頑張っても全ての介護を担うことは難しく、もし全ての介護を近親者だけで行おうとすれば、近親者に過度の負担が集中し、短期間で介護を継続できなくなることが見込まれました。
このため、被害者は、介護サービスを利用していました。
また、近親者がヘルパーの資格を有していたこと、介護サービスを利用したとしても近親者の負担が大きいことなどの事情も強く主張しました。
この様な事情を主張した結果、裁判所は、職業介護人の介護費として1日2万円、近親者の介護費として1日1万円の将来介護費を認定しました。
介護サービスを利用する週5日については合計3万円もの高額な将来介護費が認められたのです。
2 自宅を新築する必要性
事故前から被害者が居住していた自宅は、親族から賃借していた物件でした。
この自宅は、傾斜地に建てられていたため、道路と自宅敷地に大きな段差があり、車いすで出入りすることが困難でした。
また、自宅の内部にも段差が多くありましたが、賃借物件だったことから、大幅なバリアフリー化は困難でした。
このため、新たに土地を購入し、車いすでの生活に適したバリアフリーの自宅を建築しました。
被告は、新築の必要性を争いましたが、裁判所は、新築の必要性を肯定し、新築費用のうち630万円を認めてくれました。
3 過失割合
被告(保険会社)は、被害者に25%の過失があると主張しました。
当然、被害者は、ここまで大きな過失があると主張されることを承服できず、被害者の過失がより少ないと主張しました。
この結果、裁判所は、被害者の過失は15%であると認定しました。
- 後遺症被害
そこに、前方から普通貨物自動車が進行してきて、すれ違う時点で、自転車がバランスを崩して転倒し、被害者と貨物自動車が衝突しました。
この事故によって、被害者は、外傷性くも膜下出血、脳幹挫傷、頚椎損傷などの重大な傷害を負いました。
そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。
【後遺障害等級】
この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったため、別表第一第1級1号と認定されました。
【裁判の争点】
訴訟前の段階で、保険会社は、
・ 運転者は、被害者の転倒を予測することはできなかった
・ 運転者は、衝突を回避することもできなかった
として、運転者は「無責である」(責任を負わない)と主張してきました。
しかし、この保険会社の主張は、ご家族には受け入れ難いものでした。
また、別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこともあって、訴訟による解決を図ることになりました。
【提訴前に人身傷害保険を請求した理由】
本件では、相手車両の運転者が「有責」か否か、有責とされた場合には過失割合が主要な争点になると見込まれました。
そして、本件事故に適用される人身傷害保険がありました。
いつの段階で人身傷害保険を請求するのか慎重に検討した上で、提訴前に人身傷害保険の請求を行いました。
【裁判所の認定】
1 過失割合
被告は、運転者は「無責である」と主張してきました。
これに対し、原告は、事故前後の被害者の動きから、運転者は被害者がバランスを崩して転倒することも予見可能であり、適切な回避行動をとっていれば事故を回避できる可能性があったなどと主張しました。
また、原告は、工学鑑定の専門家に、事故態様の解析を依頼し、事故の発生状況を詳しく立証しました。
裁判所は、原告の主張を認めてくれ、加害者には過失があることを前提として、和解案を作成してくれました。
2 将来治療費・将来介護費
被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
ご家族は、自宅での介護は難しいと考えて、医療機関への入院を続けさせることを決断しました。
このため、医療機関への入院に必要な費用として、現実に要している費用を請求しました。
この結果、裁判所は、
将来治療費 月70万円
将来介護費 月24万円
という高額な費用がかかることを前提として、和解案を提示してくれました。
4 逸失利益における基礎収入の額
事故当時、被害者は、高校生でした。
このため、原告は、いわゆる『年少女子』に該当するとして基礎収入を男女を併せた全労働者の平均賃金とすべきであると主張しました。
これに対し、被告は、男女の賃金格差は厳然と存在しており、格差が解消する傾向にもないなどと主張して、女性の全年齢平均賃金を採用すべきと主張しました。
裁判所は、原告の主張を前提として逸失利益を算定してくれました。
- 慰謝料請求
依頼者:30代 女性
高速道路を進行中、車両に異常が生じたため、路肩に停車し、車外に出て異常箇所を点検していたところ、後方から進行してきたトラックが追突し、バスの車体と擁壁に挟まれて死亡しました。
被害者には、相続人がいましたが、同居していた女性がいました。この女性からのご依頼を受け、内縁関係が成立していることを前提として、加害者に対する損害賠償請求の対応に当たりました。
1 詳細な事情の確認
本事案では、女性と被害者との間に内縁関係が成立していたと認められなければ、慰謝料、被扶養利益侵害の逸失利益の請求が認められません。
このため、ご依頼を頂いた後、打合せを重ね、交際の開始から被害者が死亡するまでの経過、将来的な入籍の予定などを詳しく確認するなどして、内縁関係が成立していたことの根拠となる事情を洗い出しました。
2 他の手続(社会保険・労災保険)の先行
損害賠償請求の手続において「内縁関係の成立」が争われる可能性がありました。
この時に、女性が内縁の妻であると認定される可能性を高めておくため、損害賠償の手続以外で、「内縁関係の成立」が請求の要件となっている請求手続を先行しました。
具体的には、
社会保険に対する死亡一時金の請求手続
労災保険に対する遺族年金の請求手続
です。
これらの手続において、女性が内縁の妻であると認定され、支給を受けられれば、損害賠償請求の手続においても有力な裏付けとなるためです。
幸い、これらの手続において、女性が内縁の妻であると認定され、支給を受けることができました。
3 相続人との協議
社会保険・労災保険の手続において、女性が内縁の妻であると認定された後、その事実を相続人側に伝えるとともに、女性が内縁の妻であることを前提として協力関係を結びたい旨を申し入れました。
慎重に協議を重ねた結果、相続人の側も、女性が内縁の妻であることを前提として損害賠償の問題を解決することを受け入れました。
- 過失割合の交渉
依頼者:70代 女性
この時、一時停止後に発進し、右折してきた自動車に衝突され、頭部を強く打つなどして死亡しました。
【受任後の対応】
ご遺族から、ご依頼を頂いた後、打合せを重ねながら、一つ一つの方針を決めていきました。
例えば、
・ 損害賠償請求について提訴するか否か
・ 提訴する前に自賠責保険金を受領しておくか
・ 提訴する前に人身傷害保険金を受領しておくか
などです。
ご遺族は、被害者を失い、強い悲しみの中にいます。
その悲しみの中で、ご納得いただける解決を図るには、できる限り、ご遺族の心情、個人の生活状況などを確認し、それを踏まえて方針をアドバイスするしかないと考えています。
【裁判】
ご遺族との協議の結果、損害賠償請求は、裁判で解決することになりました。
方針の決定に当たっては、
・ 被害者に過失があることは否定できないこと
・ 人身傷害保険によって過失相殺による減額分を穴埋めすべきこと
・ 人身傷害保険は訴訟が終了した後に受領すべきこと
などを考慮しました。
この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。
1 過失相殺
横断時の歩行者信号が赤だったことから、被害者に過失があることは否定できない状況でした。
しかし、本件事故には、
・ 被害者が高齢であった
・ 被害者が横断歩道上を歩行していた
などの事情があったため、被害者の過失の程度は小さいことを主張しました。
この結果、裁判所は、被害者の過失を20%と認定しました。
2 逸失利益
死亡事故の逸失利益は、
基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
で計算されます。
本件では、この計算式のうち、基礎収入と生活費控除率が争われました。
被害者の生活実態、同居していた親族の収入状況などを指摘して反論しました。
この結果、裁判所は、
基礎収入 平均賃金どおりの額
生活費控除率 家事労働は30%・年金収入は50%
と認定してくれました。
3 死亡慰謝料
被告は、死亡慰謝料は、遺族の固有の慰謝料も含めて2000万円が相当であると主張していました。
しかし、こちらは、
・ 事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと
・ 被害者の家族内・社会内における関わりの大きさ
・ 被害者が亡くなるまでに被った苦痛が大きいこと
・ 被害者と遺族は別人格であること
などを根拠として、被告の主張では金額が少なすぎると主張しました。
この結果、裁判所は、遺族の固有の慰謝料も含め、総額で2500万円を認めてくれました。
【人身傷害保険の請求】
裁判が終了した後、人身傷害保険を請求し、過失相殺によって減額された損害額の全額を補填してもらうことができました。
- 死亡事故
依頼者:70代 男性
加害者は、事故前夜から徹夜で飲酒した後、仕事に行くため、普通貨物自動車を運転しました。
そして、加害者は、車を50㎞/hで進行させている最中、事故現場にさしかかる手前で眠ってしまい、そのまま車を被害者に衝突させました。
事故から約1時間半後に実施された飲酒検知では、呼気1ℓあたり0.35㎎のアルコールが検出されました。
この事故により、被害者は、事故から24日後に死亡しました。
【刑事手続の対応】
これから加害者の刑事手続が進み始めるという早い時点で、ご依頼を頂きました。
ご遺族は、加害者に厳罰を科すことを希望していたため、起訴前から検察官と連絡を取り合いました。
そして、加害者は、危険運転致死罪で起訴されたのですが、被害者参加制度を利用し、加害者の刑事手続に関与しました。
当初、弁護人は、加害者に執行猶予付きの判決を言い渡すように主張していました。
しかし、加害者に対して被告人質問を行って、重大事故を起こしていながら十分な反省をしておらず、執行猶予をつけるべきではないことを強く主張しました。
この結果、加害者に、実刑判決を言い渡してもらうことができました。
【民事裁判】
この事案の主な争点は、以下のとおりでした。
1 過失相殺
被告は、被害者が道路上にいたことが事故の一因であるとして、過失相殺を行うことが相当であると主張しました。
これに対し、原告は、
・ 加害者は飲酒後に車両を運転していたこと
・ 事故から約1時間半後に実施された飲酒検知で、呼気1ℓあたり0.35㎎という高濃度のアルコールが検出されたこと
・ 被害者は、ヘルメット・夜光チョッキを着用し、赤旗を持っていたのであり、車の運転者から認識してもらうための十分な対処をしていたこと
などの事実を明らかにし、加害者が重大かつ悪質な注意義務違反によって事故を発生させたのに対し、被害者には落ち度がないから、過失相殺を行うのは相当ではないと主張しました。
裁判所は、原告の主張が相当であると認めて過失相殺を行わず、被告に100%の責任を認めました。
2 死亡慰謝料の額
・ 本件事故態様の悪質性・重大性を十分に考慮すべきこと
・ 事故後の被告の謝罪対応や反省が不十分であること
・ 過去の裁判例
などを根拠として、死亡慰謝料の額を増額すべきことを主張しました。
裁判所は、死亡慰謝料として2300万円を認定しました。
本件では、死亡時の被害者の年齢が満69歳と高齢であったこと、近親者固有の慰謝料として妻に300万円、子2人に各200万円が認められており、これらの合計が3000万円となることを考えれば、高水準の死亡慰謝料が認められたと評価できます。
- 後遺症被害
依頼者:70代 女性
この時に、身体を強く打ち付け、頚髄を損傷してしまいました。
事故前、被害者は、要介護2の認定を受けていましたが、この事故で頚髄を損傷し、不全麻痺などの症状が生じたため、要介護4に認定されました。
【既存障害がある場合の問題点】
既存障害がある場合、事故前よりも障害の状態が悪化したと評価されなければ、十分な賠償が得られません。
このため、後遺障害等級の認定を受ける場面では、
現存障害 重い
既存障害 軽い
と評価してもらう必要があります。
このため、事故前後の要介護認定において用いられた資料を入手して検討しました。
また、ご家族にも被害者の状態が変化した様子などを確認しました。
その上で、自賠責保険の請求手続を行いました。
結果として、被害者は、
現存障害:別表第一第2級1号
既存障害:別表第二第3級3号
という認定を受けました。
「事故によって被害者の状態が悪化した」という認定が得られたため、賠償の手続を先に進めることになりました。
【損害計算での問題点】
この事案で問題になったのは、休業損害、逸失利益、将来介護費です。
被害者は、事故前から要介護2の認定を受けており、デイサービスを利用していました。
そのため、既存障害が別表第二第3級3号と認定されてしまったのですが、3級と認定された以上、休業損害と逸失利益が認められないことは覚悟する必要がありました。
そこで、主たる問題は、将来介護費の金額となりました。
これに関しては、
近親者の介護費 1日 5000円
介護サービスの利用費 1月 4万円
として解決することができました。
これによって、当初の提示額よりも、かなりの増額を勝ち取ることができました。
- 後遺症被害
依頼者:20代 女性
この時、青信号に従って左折してきた自動車に衝突されました。
この事故によって、被害者は、左急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折などの重大な傷害を負い、「遷延性意識障害」などの重篤な後遺障害が残ったため、常に介護が必要な状態になってしまいました。
依頼を受けた後に自賠責保険の請求手続を行った結果、別表第一第1級1号と認定されました。
重症事案だったので、最終的な解決の方法は、裁判を選択しました。
提訴前に人身傷害保険を請求するか否かを検討しました。
本件では、過失割合が主要な争点の1つになると見込まれましたが、被害者の過失が軽微だと考えられました。
この場合に、人身傷害保険の請求を先行させると、全体的な受領額が少なくなって、被害者に不利益が生じる可能性が高いと考えられました。
そこで、提訴前に人身傷害保険を請求しないことにしました。
訴訟における主な争点は以下のとおりでした。
1 過失割合
被告は、被害者にも10%の過失があると主張してきました。
これに対し、こちらは、加害者の一方的な過失によって事故が発生したのであり、被害者には落ち度がないと主張しました。
裁判所は、先行車両の通過後、加害車両との間隙を縫って交差点を横断しようとした被害者にも10%の過失相殺をすることが相当であるが、被害者は、自転車横断帯を走行していたと同視でき、加害者は横断歩道及び自転車横断帯の手前で一時停止していないから、被害者に有利に10%の修正を行い、最終的な過失割合を被害者0:加害者100と認定しました。
2 付添看護費の額
入院期間中、被害者は、常に介護が必要でした。
また、意識状態の改善を図るため、積極的に刺激を与える必要がありました。
事故当時、両親は就労していましたが、被害者が重篤な状態となったため、母が退職して付添看護に当たりました。また、父も、仕事後や休日に、付添看護を分担していました。
一般的な基準では、付添看護費の額は、6000円前後と認定されるのが通常であり、高くても8000円にとどまる例が多いです。
これに対し、本件では、裁判所は、退職した母の年収を基礎として、1日あたりの付添看護費を1万0289円と認定しました。
3 将来介護費
被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活のあらゆることに、24時間態勢で介護が必要でした。
近親者だけで全ての介護を担うことは不可能であり、日中は、介護施設に通ったり、訪問介護サービスを利用するなど、介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組みました。
介護サービスを利用することを前提に、十分な金額の将来介護費を認定すべきと主張しました。
また、介護サービス費用の水準について、将来的に低額化する可能性はなく、むしろ高額化する可能性があるから、少なくとも現状が維持されることを前提として介護費の額を認定すべきと強く主張しました。
この結果、裁判所は、
職業介護人の介護費 月額58万円
(月22日換算で1日あたり約2万6000円)
近親者の介護費 週5日8000円/週2日1万円
という高額な費用を認めてくれました。
4 近親者固有の慰謝料
民法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と定めています。
この規定を前提として、被告は、民法711条に兄弟は規定されていないから、慰謝料は認められないという主張をしました。
これに対し、兄弟が精神的苦痛を負わないことは考えらないと主張するとともに、兄弟の尋問を実施し、事故による精神的苦痛、生活の変化による苦しみ、将来も被害者の介護に関わっていく覚悟などを明らかにしてもらいました。
この結果、兄姉にも各200万円の慰謝料か認められました。
なお、両親に対しては各400万円の慰謝料が認められています。
- 人身事故
依頼者:50代 女性
この事故によって、被害者は、脳挫傷、外傷性くも膜下出血などの重大な傷害を負いました。
そして、高次脳機能障害、四肢の運動失調、膀胱直腸障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。
【後遺障害等級】
この事案では、まず、後遺障害等級の認定結果に問題がありました。
高次脳機能障害、四肢の運動失調、膀胱直腸障害などの重篤な後遺障害が残っていたにもかかわらず、別表第一第2級1号という認定になっていたのです。
受任後、被害者の状態を詳細に把握した上で、認定結果を検討したところ、被害者の状態が正しく評価されていないと考えました。
そこで、被害者の状態を裏付ける資料を収集した上で、異議申立を行い、別表第一第1級1号の認定を得ることができました。
【訴訟】
別表第一第1級1号の認定を得られた後、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたっていましたが、主な争点の認定は、以下のとおりでした。
1 将来介護費
高次脳機能障害、四肢の運動失調などの重篤な後遺障害が残ったため、被害者は、日常生活において自分でできることはほぼなく、日常生活のあらゆることに見守り・声かけ・介助が必要な状態でした。
配偶者は、就労していたため、全ての介護を担うことは不可能でした。
また、近親者だけで全ての介護を担おうとすれば、近親者に過度の負担が集中し、短期間で介護を継続できなくなる危険がありました。
このため、日中は、介護施設に通所したり、訪問介護サービスを利用するなどして、介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組んでいました。
介護サービスを利用するために必要な費用の水準について、将来的に低額化する可能性はなく、むしろ高額化する可能性があることを強調し、少なくとも現状を維持することは確実であると強く主張しました。
この結果、裁判所は、職業介護人の介護費について、月額102万8506円(1日あたり3万3812円)という高額な費用を認定しました。
これ以外にも、近親者の介護費用として、1日3000円を認定しました。
2 自宅改造費
被害者は、四肢の運動失調のため、歩行ができなくなっており、車いすで移動していました。
しかし、被害者の自宅は傾斜地にあったため、玄関にたどり着くまでに階段を上がる必要がありました。
車いすでは階段を上がることは不可能だったため、ホームエレベーターを設置し、安全に自宅内に入れるように改造する必要がありました。
また、自宅内も、トイレ・風呂・寝室を障害者用の設備に変更したり、被害者が移動する範囲をバリアフリー化する必要がありました。
訴訟では、これらの工事に要した工事代金の賠償を求めました。
加害者(保険会社)は、改造によって近親者も利便性が向上するという利益を受けているから、工事代金の全額の賠償を認めるべきではないと主張して争ってきました。
しかし、改造のプランは、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーの助言などに基づいて作成されたものでした。
また、障害者の状態に合わせた改造は、健常者にとっては使いにくい点も多いため、利便性が向上したという事実はないことを主張しました。
これらのことを詳しく主張・立証した結果、工事代金の全額(約1000万円)を損害として認めてもらうことができました。
3 基礎収入
逸失利益の計算において、定年退職が予定される年齢以降の基礎収入について、いかなる金額を認定するかが争いになりました。
こちらは、被害者の経歴、資格の取得状況などから、被害者は就労について高い意欲・能力を持ち、定年退職後も十分な収入を得る蓋然性があると主張・立証しました。
この結果、裁判所は、被害者の基礎収入について、女性大卒65歳以上の平均賃金(約541万円)とすべきと認定されました。
- 後遺症被害
依頼者:10代 女性
この事故によって、被害者は、脳挫傷、びまん性脳損傷、びまん性軸索損傷などの重大な傷害を負いました。
そして、『高次脳機能障害』、『四肢・体幹の運動障害』などの重篤な後遺障害が残ったため、日常生活において、「見守り」と「声かけ」が欠かせない状態になってしまいました。
【後遺障害等級】
この事案では、被害者が『高次脳機能障害』、『四肢・体幹の運動障害』などの重篤な後遺障害を負っていたため、別表第一第2級1号に認定されました。
【方針の決定】
被害者にも過失があると認定されることが見込まれた上、ご家族の自動車保険に本件事故に適用できる人身傷害保険がありました。
訴訟を提起すれば、人身傷害保険から「訴訟基準差額」による支払を受けられ、過失相殺による減額分を全て穴埋めできます。
このため、ご家族にも了承を得て、訴訟による解決を選択しました。
【訴訟】
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、以下のとおりでした。
1 後遺障害等級
自賠責保険は、被害者の後遺障害等級を「別表第一第2級1号」と認定していました。
これに対し、保険会社は、被害者の症状が改善しているとして、別表第二第3級3号と評価するのが相当であると主張してきました。
原告は、自賠責保険が認定した後遺障害等級が妥当だと反論するため、家族からの説明だけでなく、被害者が通っていた施設の職員の説明も詳細にまとめ、被害者の生活状況、能力の程度、必要な介護の内容などを明らかにしました。
それに基づいて、被害者は、日常生活における動作はできるが、多種多様な障害があるため、日常生活のあらゆることに見守り・声かけが必要な状態であると主張しました。
この結果、裁判所に、自賠責保険の認定と同様、別表第一第2級1号と認定してもらうことができました。
2 将来介護費
被害者には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会行動障害などの症状がありました。
このため、被害者は、日常生活のあらゆることに見守り・声かけが必要な状態になっていました。
別表第一第2級1号という後遺障害等級の場合、被害者の具体的な症状、実施している介護の内容、介護サービスを利用しているか否かなど、多様な事情を考慮して将来介護費が認定されます。
主張・立証が不十分な場合に、水準より低い額の将来介護費しか認められない裁判例も数多く存在しています。
本件では、被害者の症状などを明らかにするため、家族からの説明をまとめたことは勿論ですが、通っていた施設の職員の説明も詳細にまとめ、裁判所に提出しました。
この結果、裁判所は、施設の費用に加え、家族の介護費も通所日3000円・非通所日6000円と認定してくれました。
3 近親者固有の慰謝料
民法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と定めています。
この規定を前提として、本件では、妹に対しても慰謝料が認められるのかが問題となりました。
被告は、民法711条に妹は規定されていないから、慰謝料は認められないと主張してきました。
これに対し、原告は、被害者が重篤な高次脳機能障害となった場合に、妹が精神的苦痛を負わないはずがないなどと主張しました。
この結果、妹にも100万円の慰謝料が認められました。
なお、両親に対しては各150万円の慰謝料が認められています。
5 過失割合
被告は、被害者の過失を40%と主張してきました。
これに対し、原告は、横断禁止場所ではないこと、直前横断ではないこと、加害者に著しい前方不注視があったことなどを主張しました。
裁判所は、原告の主張を基本的に認め、最終的な被害者の過失割合を15%と認定しました。
- 後遺症被害
依頼者:50代 女性
この結果、高次脳機能障害などの後遺障害を残しました。
当事務所にご依頼いただくまでに、ご家族で自賠責保険の請求手続を済ませており、高次脳機能障害について5級の認定を受けていました。
【異議申立】
既に、高次脳機能障害について5級の認定を受けていました。
このため、ご依頼を頂いた当初、ご家族は、損害賠償請求の対応のみを依頼するお考えでした。
しかし、ご依頼を頂いた後、
・ 後遺障害等級の認定理由
・ 後遺障害診断書などの資料
・ ご家族から聴取したご本人の状況
などを検討した結果、既に認定されていた5級という後遺障害等級は適切ではなく、2級の認定を受けられる可能性があると判断しました。
この見解をご家族に説明した結果、異議申立を行って、後遺障害等級の見直しを求めることになりました。
ご家族からの聞き取りに基づいて詳細な陳述書を作成するなどの準備をした上で、1回目の異議申立を行った結果、3級に認定してもらうことができました。
しかし、3級という後遺障害等級も、まだ不適切だと考えました。
このため、2回目の異議申立を行いました。
その結果、当初の見込み通り、2級の認定を受けることができました。
【訴訟】
当初に見込んでいた後遺障害等級の認定を受けられたため、訴訟を提起しました。
裁判では、後遺障害等級、将来介護費、過失相殺などが争点になりました。
被害者の状態や介護状況などを説明するため、ご家族の陳述書などを提出しました。
また、入手した刑事記録を入念に検討し、加害者の過失が大きいことを主張しました。
その結果、裁判所は、自賠責保険が認定した2級を前提として損害額を計算してくれました。
また、過失相殺はしないという判断を示してくれました。
結果として、既払金を除き、9500万円の支払を受けることで和解が成立しました。
- 過失割合の交渉
依頼者:40代 男性
この時、自宅前の道路を進行してた自動車に衝突され、被害者は、頚髄を損傷し、四肢麻痺などの重篤な障害を残し、寝たきりの状態となりました。
当初、被害者は、他の弁護士に対応を依頼していました。
そして、別表第一第1級1号の後遺障害等級を認定された後、訴訟を提起しました。
ところが、地裁は、被害者に70%の過失があると認定し、請求棄却の判決を言い渡しました。
つまり、既に支払を受けていた自賠責保険金など以外に、賠償金の支払を受けられないことになったのです。
被害者とその家族にとって、地裁の判決は受け入れ難いものでした。
地裁の判決の後、被害者は、依頼していた弁護士との委任関係を解消しました。
そして、ツテをたどって「だいち法律事務所」に連絡を取り、控訴審の対応をご依頼いただきました。
被害者からご依頼をいただいた後、すぐに控訴の手続をとりました。
そして、地裁で提出された主張・証拠、判決の内容を検討したところ、地裁で請求棄却の判決を受けた原因は、
① 各損害項目における主張・立証が不十分であったこと
② 過失割合について積極的な立証を欠いていたこと
にあると判断しました。
そこで、損害額を裏付ける資料を新たに収集し、損害額の計算を全面的にやり直しました。
そして、地裁における請求内容を見直し、請求金額を大幅に増額しました。
また、事故現場に行き、現場の状況を調査・記録するとともに、工学鑑定の専門家に意見書の作成を依頼して、過失割合に関する主張・立証を大幅に補強しました。
このような対応の結果、高裁は、個々の損害項目の認定額を増額するとともに、過失割合に関する地裁の判断を逆転する判断を示しました。
このため、地裁は請求棄却という判断をしましたが、高裁では既払金を除いて1億円の支払いを受けることができました。
- 過失割合の交渉
依頼者:10代 女性
その後、自動車を運転していた加害者は、スピードを出しすぎた上、ハンドル操作を誤りました。
このため、自動車のコントロールが利かなくなり、自動車は横転してしまいました。
この時、被害者は、自動車の窓から上半身が投げ出され、頭部に重傷を負ったため死亡しました。
ご遺族は、被害者が死亡したことに大きなショックを受けていました。
そして、大切なご家族を失ったこと、加害者の運転があまりにも無謀だったことから、加害者の処罰について、厳重な処罰を望んでいました。
ご依頼を頂くに際して、ご遺族から、
① 刑事手続に関与し、ご遺族の意思(厳罰を求めていること)を反映させる
② 損害賠償請求手続において、被害者に過失がないという認定を勝ち取る
というご希望がありました。
そこで、刑事手続においては、
・ 捜査段階から検察官と連絡を取り合い、ご遺族が厳重な処罰を望んでいることを積極的に伝える。
・ ご遺族から事情を聴取する際、ご遺族が置かれている状況を詳しく聴取することを要請する。
・ 起訴後の刑事裁判では、被害者参加制度を利用し、記録の謄写によって事案の詳細を把握するとともに、被害者参加人の意見陳述によってご遺族の意思を裁判所に明確に伝え、被告人質問によって事故の発生状況や事故後の反省の状況などを明らかにする。
などの対応を行いました。
刑事手続が終了した後、あえて自賠責保険金の請求手続を行わないまま、損害賠償請求訴訟を提起しました。
自賠責保険金の請求をするか否かによって、弁護士費用や遅延損害金の認定額に影響が出るためです。
裁判では、逸失利益の前提となる基礎収入の額、死亡慰謝料の額、過失割合などが争点となりました。
ご遺族は、過失割合に強い関心を持っておられ、「亡くなった被害者には過失がない」という認定を勝ち取って欲しいと考えておられました。
そこで、過失割合に関しては、刑事手続の段階で入手できた資料を詳細に検討し、
・ 事故発生状況の異常さ
・ 加害者の運転の悪質さ・未熟さ
・ 加害者の安全に対する意識の欠如
などの事情を主張しました。
その結果、裁判所は、加害者が100%の責任を負うと認定し、被害者には過失を認めませんでした。
また、基礎収入や死亡慰謝料についても、こちらの主張をほぼ認めてくれました。
- 人身事故
依頼者:20代 男性
この交通事故によって、被害者は、急性硬膜外血腫・急性硬膜外血腫・脳挫傷などを受傷し、高次脳機能障害、四肢麻痺などの重篤な後遺障害が残りました。
当初、弁護士に依頼しておらず、ご家族で保険会社に対応していました。
ところが、事故から数年が経過してから、保険会社から、症状固定の診断を受け、自賠責保険の請求をするようにという話がありました。
ご家族は、この時点で、自分たちで対応し続けることは難しいと考え、後遺障害認定の手続、損害賠償請求の対応を弁護士に依頼すべきだと考えるに至りました。
そして、重度の後遺障害事案に豊富な実績のある当事務所にご依頼をいただきました。
【後遺障害等級の認定】
ご依頼を受けた後、被害者のご自宅を訪問し、被害者の後遺障害の状態、自宅の設備・環境、介護器具の購入状況を確認しました。
その上で、主治医に後遺障害診断書の作成などを依頼し、自賠責保険金の請求手続をとりました(被害者請求)。
その結果、別表第一第1級1号の認定を受けることができました。
【方針の決定】
損害賠償請求を解決するための方法を選択するに際しては、過失割合に関する双方の主張に大きな隔たりがあったこと、重度の後遺障害等級が認定されていたため損害額が多額となることなどの事情を考慮しました。
そして、ご家族に対し、訴訟による解決が最善であること説明をした上で、ご理解をいただき、訴訟を提起しました。
【訴訟】
裁判では、逸失利益、将来介護費、自宅改造費、過失相殺などが争点になりました。
被害者の障害の状態、実施している介護の内容などを説明するため、ご家族の陳述書などを作成して提出しました。また、過失相殺について、保険会社は、専門家による工学鑑定の意見書を提出してきたため、こちらも専門家に依頼して意見書を作成してもらって反論しました。
その結果、高額の損害額を認定してもらえた上、過失相殺される割合も低く抑えることができたため(20%)、約2億2000万円の賠償金の支払を受けることができました。
【人身傷害保険】
裁判が解決した後、被害者の過失(20%)部分について補填してもらうため、親御さんが契約していた自動車保険に付加されていた人身傷害保険の請求を行いました。この結果、人身傷害保険金として約5000万円を受領し、被害者の過失によって減額された額の大部分を補填することができました。
- 後遺症被害
依頼者:40代 女性
その結果、重篤な高次脳機能障害、体幹機能障害などの後遺障害を残すに至りました。
当初は、他の弁護士に依頼されており、その弁護士を通じて自賠責保険の請求を行った結果、別表第一第2級1号の認定を受けていました。
【後遺障害等級・異議申立】
ご家族は、ご本人の後遺障害等級が適切なのかについて疑問を持っていました。
また、示談による解決ではなく、裁判によって解決することを希望しておられました。
このため、重度の後遺障害事案についての経験が豊富な当事務所にご依頼をいただきました。
ご依頼をいただいた後、ご家族から、事故後の経過、ご本人の現状などを聴取しました。また、ご本人の状態を確認するため、施設に入所中のご本人に面会するとともに、施設の職員とも面談して状態を確認しました。
その結果、別表第一第2級1号という後遺障害等級は適切ではないと判断できたため、異議申立を行うことにしました。
異議申立を行う際は、ご家族の詳細な陳述書、主治医の意見書などを提出し、ご本人の状態を詳しく把握した上で審査してもらえるように努めました。
その結果、別表第一第1級1号の認定を受けることができました。
【訴訟】
その後、ご家族と協議した上、裁判によって損害賠償請求の問題を解決することを選択しました。
裁判において、保険会社は、被害者の後遺障害等級、逸失利益、将来介護費、自宅改造費、過失相殺など多くの点を争ってきました。
保険会社の主張に反論するため、ご家族の陳述書、施設職員の陳述書、建築士の意見書、主治医の意見書などを証拠として提出しました。
また、事故現場を実際に確認しに行き、撮影した写真などを提出しました。
最終的に、ご家族の尋問、加害者の尋問を実施し、結果的に、約3億円の賠償金の支払を受けることができました。