犯行予告とはどこからアウトなのですか？

Question

犯行予告というのはどこからですか？
例えば、「〇月〇日に△△の□□を爆破します。」といったものは爆破予告としてアウトになると考えられますが、以下の内容は犯行予告になるのでしょうか？
①「薬物乱用をします。」という書き込み
②「〇〇(店名)のものを盗みにいく。」という書き込み
①、②のような書き込みは犯行予告として開示請求の対象になるのでしょうか？人々が恐怖を感じたり、店を閉めなければいけなかったり、というように、書き込みによって迷惑がかかる可能性がある場合に犯行予告が犯罪として成立するのか、それとも、犯罪に当たる行為を行うことを予告すればすぐにそれが犯行予告となるのか、よくわかりません。回答よろしくお願いいたします。

清水 卓 弁護士 · Accepted Answer

犯行予告は、刑法の偽計•威力業務妨害罪などに該当する可能性があります。

条文には「業務を妨害した」と規定されていますが、業務を妨げる結果を実際に生じさせた場合のみならず、業務が妨害される危険を生じさせた場合にも、「業務を妨害した」という規定に該当するものと解されています。

投稿者側は、投稿の対象とされた企業•相手かがどのように受け取り、どのような対応を要することになるか、対象とされた企業•相手にどのような迷惑がかかるのか等をよく考えることなく、軽率に投稿している傾向が伺われます。

業務妨害罪が業務妨害の危険も処罰対象としていることに鑑みれば、投稿対象の企業•相手に余計な対応をさせる可能性がある、迷惑がかかる可能性があるような場合には、犯罪が成立する可能性があると言うことになるかと思われます。

なお、軽犯罪法という法律があり、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」は、拘留又は科料に処すると定められており（軽犯罪法第１条３１号）、この規定に該当する可能性もあります。
　

【参考】
（信用毀損及び業務妨害）
第二百三十三条　虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
（威力業務妨害）
第二百三十四条　威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

清水 卓 弁護士 · Answer

単に、「薬物乱用をします。」と投稿することが、「業務を妨害した」「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」に該当するのかは疑義があるところです。

ただし、日本では、薬物の種類に応じ、薬物の使用についても犯罪とされていることにも留意すべきでしょう。

参考サイトで注意喚起がなされているように、軽率な投稿が多くの人々に余計な手間や迷惑をかけることになりかねません。薬物乱用などの投稿も、インターネット上の投稿を発見した人たちから、警察への通報（緊急の対応を要する場合は１１０番通報）がなされ、警察沙汰に発展する可能性もあります。

また、厳密には刑法上の犯罪に該当しない場合でも、関係各所から民事上の損害賠償請求がなされるリスクもあります。

投稿を行う社会的的な意義等は見出せず、刑罰法令に触れる、民事上の損害賠償責任を問われる等の見合わないリスク等に鑑みれば、、ギリギリを見極めて行う類の投稿ではないと思います。

【参考】「インターネット上における犯行予告への対応」（警察署サイト）
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/countermeasures/crime-notice.html