海外在住で脅迫を受けたときに告訴ができるか?
現在カナダ在住の日本人です。
日本在住のエンジニアと業務委託契約を締結していましたが、2026年7月と9月の計2回、メールを通じて個人情報をSNS上に暴露すると脅迫されました。いずれも私がカナダに滞在している間に発生した事件です。
7月の脅迫については緊急性が高く、日本の警察に相談した結果、実際に警察官が相手方の自宅を訪問しています。しかし、相手方は事情を知らないかのような態度を示したと聞いております。
9月にも再び脅迫を受けましたが、こちらについてはまだ警察に相談しておらず、弁護士の助言を受けながら改めて相談したいと考えています。
現在、刑事告訴を最優先に検討しており、将来的には民事上の損害賠償請求も希望しています。
特に、被害者が海外在住であることから、日本の刑法の適用や刑事告訴の受理に問題がないかを懸念しております。
以下について教えていただきたいです。
1. 日本国内にいる人物が海外在住者を脅迫した場合、日本の刑法に基づいて刑事告訴することは可能でしょうか。
2. 海外在住の被害者を代理して、刑事告訴や警察との協議を進めることは可能でしょうか。
3. このような国際的な脅迫事件に対応できる弁護士を探すには、どのようにすればよいでしょうか。
脅迫メールなどの証拠は保存しております。
正式に弁護士への依頼を希望しており、費用が発生することも承知しております。
海外在住のため、相談・契約・手続きは原則オンラインで完結することを希望しておりますが、必要であれば日本への一時帰国も可能であり、数回程度の来所には対応できます。
このような事件について、刑事告訴を進めることは可能でしょうか。
ご相談内容を拝見しました。ご質問の順に回答いたします。
1. 日本の刑法の適用について
適用可能と考えます。刑法は、日本国内で罪を犯した者に適用されます(刑法1条1項)。相手方が日本国内からメールを送信している以上、犯罪の実行行為地は日本であり、被害者であるご相談者様が海外に滞在していたことは適用の妨げになりません。
2. 海外在住のまま代理人による告訴・警察対応ができるか
告訴は代理人によって行うことができます(刑事訴訟法240条)。弁護士が告訴状を作成・提出し、警察との協議窓口を務めることができますが、本人出頭が要請されれば一時的に日本帰国が必要となる場面もあります。
ただし、本件だと、そもそも告訴の受理に至るまでに一定のハードルが存在することも確かです。
まず「個人情報をSNSで暴露する」という行為が名誉棄損(刑法上の犯罪)にストレートに該当するかの検討が必要です。脅迫罪をベースにすると法定刑の軽さから優先度合いが低くなりがちであり、また、「相手方知らないそぶりを見せている」のであれば、メールアドレスと本人を紐づける特定、調査も必要となります。
告訴の弁護士報酬は一般的に高めに設定されておりますが、上記の問題点が告訴受理の妨げになる可能性もございますので、一度詳細を弁護士に相談されるのが良いかと思います。
元警察官の弁護士です。
1. 日本国内にいる人物が海外在住者を脅迫した場合、日本の刑法に基づいて刑事告訴することは可能でしょうか。
犯罪地は日本国内(実行行為地)とメールを受信したカナダ国内になりますが、犯罪地の一つが日本国内にあることから、刑法1条1項により、刑法が適用され、刑法222条(脅迫罪)も適用されます。
2. 海外在住の被害者を代理して、刑事告訴や警察との協議を進めることは可能でしょうか。
可能です。
まず、告訴委任状や委任契約の取り交わしは、国際郵便を使えば可能です。
また、告訴の対応は弁護士が行いますが、警察の捜査で日本国内への一時帰国が求められる場合があります。
例えば、供述調書の作成などで1日などです。
それ以外は、基本的には弁護士が対応します。
なお、起訴前に検察官から呼び出しがあったり、起訴後に裁判所に証人として出頭することになる場合がありますが、この時も一時帰国の必要があります。
3. このような国際的な脅迫事件に対応できる弁護士を探すには、どのようにすればよいでしょうか。
当事務所でも対応しておりますが、ネット上で外国居住の方の告訴対応をしている事務所を探してみてはいかがでしょうか。
オンライン(zoomやGoogleミートなど)での面談、資料のやり取りをした上で、一度面談を行い、具体的に資料や経緯を検討した上で、告訴が可能かなど含めて方向性を聞いてみた方が良いと思います。