店舗賃貸借契約の解約および違約金等についてのご相談
2026年8月17日から、ダイニングバーを営業する目的で店舗物件(約190㎡)を賃借しました。
契約後、消防署への確認等を進める中で、営業するためにはスプリンクラー設備の対応が必要であることが判明しました。
管理会社側が手配した業者からは、3階の店内部分だけで約1,000万円のスプリンクラー工事費が必要との説明を受けました。なお、3階までは既に配管が来ていると聞いています。
この金額では事業計画上、出店を継続することが難しいため、今回物件を解約する方向となりました。
しかし、賃貸借契約書の特約第25条22項には、
「本契約締結後、本物件及び建物の消防防災設備に対して所轄消防署より是正指導を受けた場合、本契約引渡し状態における適法な消防防災設備対応までを甲(貸主)が負担し、この内装造作等に伴う移設及び新設する消防防災設備対応は乙(借主)が負担する」
との記載があります。
今回のスプリンクラー工事が、借主の内装工事によって新たに必要となったものなのか、それともダイニングバーとして契約した物件を適法に使用するため、引渡し時点から必要だった消防設備なのかが重要ではないかと考えています。
一方、契約書には、①解約3か月前予告、②1年未満の解約の場合は賃料・共益費2か月分の短期解約違約金、③2028年8月31日までに借主側から解約した場合はフリーレント期間(2026年9月分)の賃料相当額を支払う旨の特約があります。
賃料は月額461,120円(税別)、看板料2,000円(税別)、共益費0円です。
また、契約時に初期費用として1,694,669円を支払っており、この中には敷金922,240円、仲介手数料461,120円+消費税、8月分日割賃料等が含まれています。保証会社についても初回保証料150%の契約となっています。
ご相談したい点は以下です。
①今回の解約を通常の「借主都合の中途解約」として扱い、短期解約違約金2か月分・3か月前予告分・フリーレント返還をすべて支払う義務があるのか。
②第25条22項の貸主負担に関する特約から、今回必要となったスプリンクラー工事を貸主側が負担すべき可能性はないか。
③その結果として出店を断念した場合、違約金等の免除を求めることができないか。
④支払済みの敷金922,240円の全額返還を求めることができるか。
⑤仲介手数料・保証会社保証料等についても、契約前の説明内容等によって返還を求められる可能性があるか。
⑥今後、貸主・管理会社と解約合意書を締結する前に、どのような条件で交渉すべきか。
当初は2026年12月4日のオープンを予定しており、内装業者等も既に図面作成などを進めていました。今回の件によって出店そのものを断念することになり、既に一定の費用・損害も発生しています。
契約書、初期費用請求書、スプリンクラー工事の見積書等はすべて提出可能です。
今回、違約金等を支払って解約する前に、貸主側の契約上の責任および違約金等の支払義務についてご相談したいです。
回答させていただきます。
①今回の解約が「借主都合の中途解約」ではなく、債務不履行や説明義務違反による契約解約(解除)であるということが言えれば、違約金等を支払う義務は発生しません。
本件でいえば、ダイニングバーとしてそのまま使用できない(スプリンクラーを設置しないといけない)状態であることが債務不履行と言えるかどうか、ダイニングバーとしての使用目的であることが明らかであったにも関わらずスプリンクラー設備がないことを説明なかったという貸主側の説明義務違反があるかどうかがポイントとなってきます。
このあたりは契約書の内容や契約交渉経過によってどう判断されるかが変わってきますが、可能性としては中途解約ではなく契約解除の理由があるとして違約金等の支払いを拒むことができるかもしれません。
②おっしゃるとおり、そのような主張は成り立ち得ると考えます。問題は、「契約の主内容として本物件をダイニングバーとしてそのまま使えるような状態で提供できる義務を貸主が負っていたか」によります。
これも、契約書の解釈や契約書の内容や契約交渉経過によってどう判断されるかが変わってきますが、少なくとも貸主との交渉材料にはできると思います。
③そう主張することは可能です。
④契約の解除が認められば全額の返還を求めることもできると思います。
⑤仲介手数料に関しては、仲介業者の説明義務違反(ダイニングバーとして使用するのであればスプリンクラー設置が必要なことを説明しなかった)を追及して、返還を求めるように交渉していくことが考えられます。また、返還だけでなく、損害賠償請求をすることも考えられます。
保証会社の保証料については、保証契約は賃貸借契約とは別の契約であることから返還は認められない可能性はありますが、こちらとしては返還を求める主張をしてみる価値はあると思います。
⑥「中途解約」ではなく、債務不履行に基づく解除であるということを前提に交渉するのがいいでしょう。そのうえで、返金や損害賠償を求めていき、交渉のうえ折り合いをつけて解決するというのがいいだろうと思います。
また、本件は法的に難しい問題が多く絡んでいますので、最初から弁護士に依頼されて交渉するものありなのではないかと思います。
ご参考になれば幸いです。