事務所物件の更新トラブル(賃料増額・退去要求・不透明な費用・将来の退去費用の懸念)について

事務所物件の賃貸借契約の更新に関してご相談です。
数年前に物件の所有者が変更され、管理会社も所有者と同一の体制となってから初めての更新を迎えます。
更新時期が近づいた頃、電話にて賃料の増額を伝えられその場で回答を求められましたが、当方としては、書面での提示を依頼するとともに、市場動向を踏まえた賃料微増の対案を文書で提示しました。
あわせて、所有者変更後も毎月支払っている一部費用の契約根拠や、安全管理に関わる設備点検の実施状況についても確認を求めました。
しかし、文書送付後、所有者側から口頭で退去を求める連絡があり、電話を途中で切られるなど誠実な話し合いが行えない状態です。
このような状況下でこのまま更新を進めることにも不安がある一方、すぐに移転先を見つけることも困難な状況です。
さらに、将来的に退去する際、契約書に記載のない不当な退去費用(過大な原状回復費用や特約外の費用など)を請求されるのではないかと大変不安に感じております。
つきましては、以下の点について法的な観点や実務上のアドバイスをいただけますと幸いです。
①更新直前の口頭での退去要求の法的扱いや当方の対応方法
②所有者側から連絡がないまま更新期日を過ぎた場合の契約の扱いと注意点
③説明が得られない費用や設備点検未実施に関する問題点
④賃料の受領拒否や口座解約があった場合の対処方法
⑤電話対応を避けて書面・メール対応に限定することの可否
⑥将来の退去時に契約書記載外の費用や不当な原状回復費を請求されないための事前予防策・注意点
⑦所有者との交渉やトラブル予防を弁護士の方へ依頼できるか、またその場合の依頼方法と一般的な費用相場
⑧所有者変更前後で管理対応に著しい差がある場合の法的評価
⑨上記以外に注意をしなければいけない点
どうぞよろしくお願いいたします。

ご相談の状況では、現時点で直ちに退去に応じたり、貸主から提示された賃料増額に応じたりする必要があるとは限りません。もっとも、契約書の内容、普通借家か定期借家かなどを確認することが重要です。以下、普通建物賃貸借を前提にご説明します。

①普通建物賃貸借であれば、更新直前に口頭で退去を求められただけで直ちに退去義務が生じるものではありません。貸主からの更新拒絶には、原則として所定期間内の通知と「正当事由」が必要です。

②適法な更新拒絶がないまま期間満了を迎えた場合には、従前と同一条件で法定更新となる可能性があります。もっとも、自動更新条項等があれば契約書の確認が必要です。

③根拠が不明な費用は、直ちに支払を止めるのではなく、契約上・事実上の支払根拠や算定方法を書面で確認するのが安全です。設備点検についても、点検義務の主体を確認した上で、実施状況や報告書の開示を求めることが考えられます。

④賃料を受領拒否されたり振込口座を閉鎖された場合には、支払意思を記録に残し、必要に応じて弁済供託を行うことで賃料不払いを防ぎます。

⑤今後の連絡を原則としてメール・書面に限定することは問題ありません。緊急時を除き、記録が残る方法での連絡を求めるのが適切です。

⑥退去時の紛争予防として、現在の室内、傷、汚れ、設備等を写真・動画で保存し、契約書、修繕記録、メール等も保管してください。事務所物件では特に原状回復特約の内容が重要です。

⑦弁護士に、契約書確認、通知書作成、賃料・更新交渉、貸主との窓口対応等を依頼できます。費用は内容によりますが、書面作成数万円~10万円程度、継続交渉では着手金数十万円程度が一つの目安です。

⑧所有者が変わっただけで従前の賃貸借関係が当然に消滅するわけではありません。管理状況の悪化については、修繕義務等の具体的な契約違反があるかを個別に検討します。

⑨最も重要なのは、自己判断で賃料等を止めず、電話で安易に退去や増額へ同意せず、更新契約書等にもその場で署名しないことです。契約書一式を弁護士に確認してもらうこと等をおすすめします。

ご回答いただきありがとうございます。
大変参考になりました。
弁護士の方へ依頼することも検討致します。
このたびは丁寧なご助言をいただきありがとうございました。