債権回収での最適な法的手段と弁護士選びのポイント
個人に対し、別々の取引として以下の債権があります。
①新品PC購入代として約68万円を全額支払いましたが、半年以上納品されず、催告後に売買契約を解除し、内容証明郵便で返金請求をしています。現在も返金されていません。
②同じ相手に事業資金として300万円を貸しており、双方署名済みの金銭消費貸借契約書があります。契約上、貸付から6か月経過後の翌月から月2万円以上の返済を開始する定めがあります。また、長期間返済を怠った場合等の期限の利益喪失条項があります。返済開始時期に入っていますが、現在連絡・返済がありません。
振込記録、LINE・Discordでのやり取り、契約書、録音、催告書、内容証明等の資料は保存しています。警察にも相談予定ですが、私の最優先目的は相手の処罰ではなく、可能な限り金銭を回収することです。
質問です。
1.PC代68万円について、次に取るべき民事手続は支払督促と通常訴訟のどちらが適切でしょうか。
2.300万円について、現状の契約内容で残額一括請求が可能になる時期・条件はどのように判断されますか。
3.相手が財産を処分する可能性を考えた場合、仮差押えを検討すべきでしょうか。
4.相手の銀行口座や勤務先等が十分分からない場合でも、判決取得後の財産調査・強制執行は現実的でしょうか。
5.このような「売買代金返還+個人間貸金」の回収案件を依頼する場合、弁護士選びでは何を重視すべきでしょうか。
①PC代68万円は支払督促も可能ですが、異議が出れば通常訴訟へ移行します。同じ相手に300万円の貸金債権もあるため、貸金の一括請求が可能となった段階で、両方を併合して通常訴訟を提起する方法も効率的です。
②300万円の一括請求が可能となる時期は、契約書の「期限の利益喪失条項」の文言によります。何回・何か月の滞納で喪失するのか、当然に喪失するのか、催告等を要するのかを確認する必要があります。
③財産処分のおそれがあり、銀行口座等に目星がついている場合は仮差押えも検討できます。ただし、保全の必要性の疎明や担保提供が必要となるため、費用対効果の検討が必要です。
④判決等を取得すれば、財産開示や第三者からの情報取得手続により預貯金等を調査し、判明した財産への強制執行を検討できます。
⑤PC代について、代金受領時点から納品する意思・能力がなかったことを示す事情があれば詐欺罪が問題となり得ます。300万円についても、借入時点から返済意思がなく、虚偽の説明によって貸付けを受けた事情等が重要です。回収を最優先するのであれば、刑事事件への対応も視野に入れつつ、訴訟・仮差押え・強制執行まで一貫して扱える弁護士への相談をお勧めします。
ご回答ありがとうございます。
実際の期限の利益喪失条項は、「返済または支払を長期間怠った場合、甲は協議のうえ残額の一括支払を請求できる。乙が本契約に重大な違反をした場合。乙の信用状態が著しく悪化したと認められる場合。」という内容です。
① この条項の場合、9月から返済開始で9月末まで無返済でも、300万円全額の一括請求はまだ難しいでしょうか。難しい場合、どの程度の期間・どのような手続を経れば一括請求が可能になると考えられますか。
② PC代68万円については、既に契約解除および返還請求の内容証明を送付しています。300万円の一括請求が可能になるまで時間がかかる場合、68万円について先に訴訟等の回収手続を進めることで何か不利益はありますか。相手の資力低下や財産散逸の可能性も考慮した場合、300万円と併合できるまで待たず、68万円を先行して回収する方が適切でしょうか。
③ 相手が現在使用していると思われる銀行口座が一つ判明している場合、現時点で仮差押えを検討する価値はありますか。また、仮差押えを行う場合の担保額や費用の目安も教えていただけますでしょうか。
④ 仮に依頼する場合、任意交渉・通常訴訟・仮差押え・強制執行まで進んだ場合について、それぞれの着手金、成功報酬、実費の概算を教えていただけますか。また、一部のみ回収できた場合、成功報酬は実際の回収額を基準に算定されるのでしょうか。
お困りのことと思います。
期限の利益喪失条項を契約上、定める場合、解釈に疑義が生じないように明確に定めることが基本原則となります。
本件ですと、「長期間」「協議のうえ」という文言が入っていることから、一体どれくらいの期間が経てば「長期間」なのか、「協議のうえ」というのはどのような対応をすればよいのか疑義が生じかる状態となっています。
文言からすれば長期間とは、数か月では満たさず、少なくとも1年以上は滞納が必要な気がします。また、とぎれとぎれに支払いが行われた場合の解釈も問題になってしまうように思います。
なお、後半の「乙が本契約に重大な違反をした場合。乙の信用状態が著しく悪化したと認められる場合。」も抽象的で、またその要件を満たしたときどのような効果が発生するのか記載がないため、同様に解釈に疑義が生じてしまうように思います。
なお、期限の利益喪失条項の要件を満たさないと判断される場合、
民法137条の要件を満たすときしか(破産開始決定など)一括返済を請求できなくなってしまいます。
そのような場合は、次善の策として、期限の利益喪失の主張に加えて、予備的に分割支払いについて「約定のとおり払うと思っていたが初回から行わず、このような状況であれば分割払いでの貸付はしなかった」等、契約の締結に錯誤があったことなどを主張して、交付金額全額の返還を求めるというような構成も考えられるかと思います。
ご参考まで…