学校による退学処分を争い、仮処分により「在学の地位」を確保したうえで、円満な転学を実現した事案
石山 龍鳳
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
依頼者である高校生は、校外で発生した生徒間のトラブルをきっかけに、学校から「いじめ加害者」と位置付けられ、十分な事実確認や弁明の機会がないまま、事実上の退学に追い込まれる状況に置かれていました。
トラブルの実態は、複数の生徒が関与する互いに感情的になった口論・衝突であり、一方的に「いじめ」と断定できるものではありませんでした。しかし、学校側は「いじめ=強制退学」との前提に立ち、授業の受講や学校生活の継続が困難な状態となっていました。
このままでは、高校卒業資格や進路に重大な影響が生じることから、保護者の方が強い不安を抱え、当職にご相談に来られました。
【相談後】
当職は、まず事実関係を丁寧に整理し、
・トラブルが一方的な加害行為といえるのか
・学校側の調査・処分手続が適正であったか
・退学処分が社会通念上相当といえるか
といった点を精査しました。
その結果、本件は「いじめ」と一括りにして重い処分を科すことには大きな疑問があり、また、処分に至るまでの手続にも問題があると判断しました。
そこで、学校が授業の受講等を妨げている現状を是正するため、**生徒としての地位確認および仮処分命令(授業を受ける地位の保全)**を裁判所に申し立てました。
審尋期日においては、怪我の程度や客観証拠の有無、処分の均衡性などが争点となりましたが、当職は、感情論に流されず、事実と法的評価を冷静に主張しました。
その結果、裁判所は、
「学校は、生徒が授業を受けることを妨げてはならない」
という内容の仮の地位を定める処分を認め、依頼者は一旦、在学の地位を確保することができました。
その後、裁判所の判断を踏まえ、当事者双方が冷静に協議を重ねた結果、紛争を長期化させるのではなく、和解によって円満に転学するという解決に至りました。
【結果】
・学校による一方的な排除状態を是正
・仮処分により、生徒としての地位・授業受講の権利を確保
・和解により、将来を見据えた円満な転学を実現
依頼者およびご家族は、進路を断たれることなく、新たな環境で再スタートを切ることができました。
【弁護士のコメント】
学校による退学・事実上の排除は、生徒の将来に極めて大きな影響を及ぼします。
「いじめ」という言葉だけで事実関係が単純化され、十分な検討がなされないまま重い処分が下されるケースも少なくありません。
本件では、早期に仮処分という法的手段を用いることで、依頼者の地位を守り、冷静な話合いの土台を作ることができました。
結果として、裁判での白黒に固執するのではなく、依頼者にとって最善の将来を見据えた解決に結びついたと考えています。
学校処分やいじめ問題でお悩みの方は、早い段階で一度ご相談いただくことが重要です。