のぐち としろう
野口 敏郎弁護士
野口敏郎法律事務所
四谷三丁目駅
東京都新宿区四谷2-11 大村ビル5階
不動産・住まいの事例紹介 | 野口 敏郎弁護士 野口敏郎法律事務所
取扱事例1
- 住民・入居者・買主側
母の遺言を無視して不動産登記・持ち分の売却をした姉との熾烈な相続争いを、無事解決に導いた事例
依頼者:60代 男性
【相談前】
依頼者の父が死亡し、相続人は母、依頼者、姉Aであったが、依頼者も姉Aも遺産分割協議をせずに父の死亡直前頃から互いに実力行使して父の預貯金のみならず、母の預貯金も事実上分けあった。
残す父の遺産は不動産(実家の土地・建物)だけとなり、依頼者と母は、X弁護士に依頼し、姉Aを相手方として遺産分割調停の申立をした。
姉Aは、過大な自己の寄与分と依頼者の特別受益を主張したため、調停は紛糾した。
X弁護士は、調停・審判では妥当な解決は得られないと考え、不動産につき保存行為として母持分二分の一、依頼者持分四分の一、姉A持分四分の一の相続登記をするとともに、調停申立を取り下げた上、母と姉を被告として共有物分割請求訴訟を提起した。
しかし、裁判所は、「家庭裁判所の審判を経ることなく為された原告の訴えは不適法」として依頼者の訴えを却下した。
その後母が死亡したが、母は、「全財産を依頼者に相続させる。」との遺言公正証書を作成していた。
公正証書の存在を知った姉は、直ちに不動産の母持分二分の一につき保存行為として依頼者持分四分の一の追加、姉A持分四分の一の追加の相続登記をするとともに、遺留分減殺請求をした。
その結果、不動産の登記簿上の持分は依頼者二分の一、姉A二分の一となったが、真正な持分は依頼者八分の五、姉A八分の三であった。
【相談後】
依頼者から相談を受けた当事務所は、家庭裁判所に遺産分割審判の申立をしました。
申立の趣旨は、「不動産を任意売却して売買代金を依頼者八分の五、姉A八分の三の割合で分配する。売却人(換価人)を申立人代理人である当事務所弁護士とする。」というものでした。
姉Aは、Y弁護士に依頼し、過大な自己の寄与分と依頼者の特別受益を主張するとともに、「仮に不動産を任意売却するのであれば売却人(換価人)はY弁護士とすべきである。」と主張しました。
第6回審判期日において裁判所が依頼者の申立の趣旨通りの中間処分(任意売却)をする意向を表明したため、危機感を抱いたY弁護士は、裁判官の訴訟指揮が偏波であるとして裁判官忌避の申立をし、審判手続きを中断させました。
そして、姉Aは、審判手続きが中断されたことを奇貨として不動産の姉A持分二分の一を8500万円でZ不動産会社に売却してしまいました。
当方は、姉Aにしてやられたと思いましたが、反面Z不動産会社としては依頼者の持分も買い取らなければ不動産購入の目的を達成できないという弱みがあったため、当事務所は、鋭意Z不動産会社と交渉し、不動産の依頼者持分二分の一を1億625万円で買い取らせることに成功しました。
【先生のコメント】
相続を巡って紛争が生ずる場合として考えられものについては他の解決事例で述べましたが、相続争いは近親者間の争いであるがゆえに時として熾烈になることがあり、暴力沙汰になることさえあります。
本件は、双方の実力行使が発端となっているだけに、依頼者としては法的手段による解決を再三試みたものの、最終的には双方の実力行使により決着が着いた事案です。
姉Aにも色々言い分はあると思われますが、姉Aの取り分8500万円、依頼者の取り分1億625万円という結末は妥当な結果であったと考えています。
因みに、1億625万円は、不動産の価格を8500万円×2=1億7000万円と見積もった場合の八分の五の価格になります。
依頼者の父が死亡し、相続人は母、依頼者、姉Aであったが、依頼者も姉Aも遺産分割協議をせずに父の死亡直前頃から互いに実力行使して父の預貯金のみならず、母の預貯金も事実上分けあった。
残す父の遺産は不動産(実家の土地・建物)だけとなり、依頼者と母は、X弁護士に依頼し、姉Aを相手方として遺産分割調停の申立をした。
姉Aは、過大な自己の寄与分と依頼者の特別受益を主張したため、調停は紛糾した。
X弁護士は、調停・審判では妥当な解決は得られないと考え、不動産につき保存行為として母持分二分の一、依頼者持分四分の一、姉A持分四分の一の相続登記をするとともに、調停申立を取り下げた上、母と姉を被告として共有物分割請求訴訟を提起した。
しかし、裁判所は、「家庭裁判所の審判を経ることなく為された原告の訴えは不適法」として依頼者の訴えを却下した。
その後母が死亡したが、母は、「全財産を依頼者に相続させる。」との遺言公正証書を作成していた。
公正証書の存在を知った姉は、直ちに不動産の母持分二分の一につき保存行為として依頼者持分四分の一の追加、姉A持分四分の一の追加の相続登記をするとともに、遺留分減殺請求をした。
その結果、不動産の登記簿上の持分は依頼者二分の一、姉A二分の一となったが、真正な持分は依頼者八分の五、姉A八分の三であった。
【相談後】
依頼者から相談を受けた当事務所は、家庭裁判所に遺産分割審判の申立をしました。
申立の趣旨は、「不動産を任意売却して売買代金を依頼者八分の五、姉A八分の三の割合で分配する。売却人(換価人)を申立人代理人である当事務所弁護士とする。」というものでした。
姉Aは、Y弁護士に依頼し、過大な自己の寄与分と依頼者の特別受益を主張するとともに、「仮に不動産を任意売却するのであれば売却人(換価人)はY弁護士とすべきである。」と主張しました。
第6回審判期日において裁判所が依頼者の申立の趣旨通りの中間処分(任意売却)をする意向を表明したため、危機感を抱いたY弁護士は、裁判官の訴訟指揮が偏波であるとして裁判官忌避の申立をし、審判手続きを中断させました。
そして、姉Aは、審判手続きが中断されたことを奇貨として不動産の姉A持分二分の一を8500万円でZ不動産会社に売却してしまいました。
当方は、姉Aにしてやられたと思いましたが、反面Z不動産会社としては依頼者の持分も買い取らなければ不動産購入の目的を達成できないという弱みがあったため、当事務所は、鋭意Z不動産会社と交渉し、不動産の依頼者持分二分の一を1億625万円で買い取らせることに成功しました。
【先生のコメント】
相続を巡って紛争が生ずる場合として考えられものについては他の解決事例で述べましたが、相続争いは近親者間の争いであるがゆえに時として熾烈になることがあり、暴力沙汰になることさえあります。
本件は、双方の実力行使が発端となっているだけに、依頼者としては法的手段による解決を再三試みたものの、最終的には双方の実力行使により決着が着いた事案です。
姉Aにも色々言い分はあると思われますが、姉Aの取り分8500万円、依頼者の取り分1億625万円という結末は妥当な結果であったと考えています。
因みに、1億625万円は、不動産の価格を8500万円×2=1億7000万円と見積もった場合の八分の五の価格になります。