職務著作に該当しますか?また、損害賠償を請求される可能性は?
職務著作権が法人にあるかのご相談です。また、創作物を私が回収したとして、損害賠償は請求されるでしょうか?
市民病院に勤める地方公務員の薬剤師です。
業務時間外(昼休みや終業後、休日に自宅)で自身で作成したプログラムを、職場の私の部署のみで半数の職員が使用しています。
退職に伴い、プログラムの回収は可能でしょうか?
以下、項目ごとの状況です。
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・法人等の発意に基づき
→私が発案で一人で作成。使用の許可のみ所属長から承認。私個人の発案によるため該当しない。
・法人等の業務に従事する者
→正職員で雇用の関係であり該当する。
・職務上作成する著作
→薬剤師の本来業務ではないので該当しない。
・法人等が自己の著作の名義の下、公表するものであって、契約、勤務規則その他に別段の定めがない
→プログラムの著作物については、法人名義での公表要件をみたさない。
→プログラム画面では、一応「貸与:ヤマウチ」と記載はしているが、該当する。
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以上より、職務著作に当たらないと考えております
弁護士の先生のご見解をお伺いしたいです。
よろしくお願いいたします。
ご相談者は、著作権法15条1項の要件該当性を検討されているところ、本件の著作物はプログラムなので、同条2項(公表の要件なし)の要件該当性を検討することになります。本件では、「法人等の発意」及び「職務上作成するプログラムの著作物」の要件該当性が争点になり得ます。以下の裁判例(宇宙開発事業団プログラム事件:控訴審。知財高裁平成18年12月26日判決)の規範が参考になります。提供いただいた事実だけで要件該当性を判断するのは難しいですが、職務著作に該当しない可能性があります。
「「法人等の発意」の要件については,法人等が著作物の作成を企画,構想し,業務に従事する者に具体的に作成を命じる場合,あるいは,業務に従事する者が法人等の承諾を得て著作物を作成する場合には,法人等の発意があるとすることに異論はないところであるが,さらに,法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,「法人等の発意」の要件を満たすと解するのが相当である。
また,「職務上作成する著作物」の要件については,業務に従事する者に直接命令されもののほかに,業務に従事する者の職務上,プログラムを作成することが予定又は予期される行為も含まれるものと解すべきである。」
稲井先生、ご教示いただきありがとうございます。
最後にひとつだけお願いいたします。
仮に企業側と争議になった場合、事前に集めておいた方が良い根拠などありますでしょうか?
よろしくお願い申し上げます。
職場で使用するプログラムの作成を、外部委託ではなく、ヤマウチさんがするに至った経緯が良く分かりませんが、本件では「業務に従事する者の職務上,プログラムを作成することが予定又は予期される」ものであったか否かが争点になります。病院が外部委託する予算を確保できないため、プログラムの知識があるヤマウチさんが作成する運びとなったのかもしれません。例えば、プログラムの作成は、ヤマウチさんの職務に関係ないから、業務時間外で行うように、と上司から指示されていた場合は、職務上プログラムの作成が予定・予期されていなかったと認定される方向に働きます。メールのやり取り、議事録、業務日誌、週報、見積書、プログラム設計書、仕様書などの証拠を収集することになります。
稲井先生、追加のご質問にも関わらず、ご回答ありがとうございます。
もし問題になりそうな時はご相談させていただきますので、その際はよろしくお願いいたします。