連帯保証関連の質問(大きく分けて3点)※仮定の話が大半

はじめまして。

当方、自衛のために法律について勉強をしていますが、その中で、
連帯保証について分からないことが大きく分けて3つあり、確認を
させていただきたく、投稿しました。以下に、それぞれ記載致します。

1:勝手に氏名を書かれた(印字ないしは手書きで)契約書に誤って押印した場合について
→調べたら契約書に勝手に氏名を書くのは文書偽造であり、原則無効になるものと
各所でありましたが、そのような契約書に誤って押印(シャチハタ)した場合、
その契約書は有効になってしまうのでしょうか?それとも、そもそもが
無効な契約書であるため、無効のままでしょうか?

2:1つ目の質問で挙げました偽造書面に誤って押印するよう仕向けられて押印してしまった場合の契約書の有効性について
→こちらの仕向けられて、とは例えば仕事で押印する書類の中に保証契約書を
混入されてしまった場合です。また、状況としては保証契約書が入る可能性が
通常想定できない場所でなおかつ、時間に追われて冷静な判断が難しいものとお考え
いただければと思います。
また当方、仕事柄、書面にルーティーンとして押印する機会が多く、無意識に
危険な書面に押印していないか時々不安になるので、精神衛生上の観点でも
こちらの疑問点は解決しておきたいです。

3:連帯保証の本人確認について
→原則として民法改正により保証契約においては、金融機関から本人確認がなければ
無効であると多くの弁護士さん監修サイトで目にしますが、こちらは
本当でしょうか?
 また、覚えのない保証契約で本人確認が行われた場合、拒否をして契約を結ぶ意思がないことを
伝えれば、契約を無効にできるのでしょうか?

以上となります。自衛のための質問である都合上、仮定の話が多くなり申し訳ございません。
お答えいただけると大変幸いです。お返事、心待ちにしています。

仮定の話が多く、大変恐縮です。このような質問をするに至ったのは今でこそ解決しましたが
親族に誤って連帯保証人になってしまい借金に苦しんだ者がいるので、自分はそのような
目には絶対に遭いたくないと思った為です。

1)
シャチハタであっても、自身が関与して押印してしまうと、追認と同じに扱われ、有効になる可能性が高いです。なお、押印がないと完成しない「記名」部分を第三者が予め行っておくことは、文書偽造罪にはなりません。あとは、「誤って」という部分の評価で、錯誤取消しなどが認められて無効に戻せる可能性はあります。

2)
基本的に1)と同じです。相手方が仕向けた場合は、詐欺取消しの可能性も入ってきます。出来上がった書面の体裁は裁判官に大変に重視され、時間に追われてとか、ルーティンとか、無意識とかの周辺事情の言い訳は、通用しづらいのが実務となってしまっています。

3)
法改正前からですが、「覚えのない」(ことが認められた)契約で保証債務を負うことはありません。法改正により書面によることが必要になったので、全くの偽造であれば、確認の際に追認等しなければ、「覚えのない」ことが認められやすくなります。あとは、1)2)で書いたことが当てはまり、貴殿自身によって署名・押印が「出来上がって」しまうと、事後の本人確認どうこうは関係なく、責任を負わされる可能性が高いです。

松本先生

ご回答ありがとうございます。詐欺や錯誤のパターンまでお教えいただき
大変参考になりました。

また、最後にお聞きしたいのですが、連帯保証などの保証契約の
際には金融機関から本人確認がない場合、本人確認義務(法律上あるらしい)を怠っているため
保証契約が無効になりやすい傾向があると多くのサイトで書かれていますが、
こちらに関しては本当なのでしょうか?
また、本人確認がそもそも行われないパターンもありますか?

何度も恐縮ですが、是非ともご回答頂けると幸いに存じます。

「本人確認」が多義的であるため、場合を分けます。
保証人として来た人物の住所・氏名が本物かの確認の意味であれば、免許証などを確認する義務はあるでしょう。ただ、それを怠ったことによって「無効」になるかは、また別の問題です。確認の「手続」自体をしなくても、同一人物であることが(別途)証明できれば、効力に影響はないと思われます。
これとは別に、書面の記載が、(その場にいない)本人の「意思」かどうかを確認するという意味であれば、もちろん確認義務はあるでしょう。確認を怠った場合に、本人の意思でない(偽造である)ことが多くなるように思います。ただ、この場合も、確認の「手続」自体をしなくても、保証人本人のその時点の意思であることが(別途)証明できれば、効力に影響はないと思われます。
ただ、上記には例外があって、事業に関与しない(※実際はもっと複雑な要件)個人が事業用融資の保証人となる場合は、公正証書にすることが義務化されていますので、これを怠ると「無効」になります。
なお、以上全部に通じることですが、保証契約が「書面化」されていることが大前提です。(書面が全くないと「無効」です。)