キャンセルとなったイラスト依頼の無断使用について
イラストレーターをしています。
とある配信者から立ち絵依頼をいただきましたが、完成後こちらの都合※によりキャンセル扱いとなりました。
(※災害での自宅損害によりデータお渡しが不可となってしまった)
予測できない事態とはいえ、こちらの都合でキャンセルとなりお時間だけいただいてしまったため全額返金のためにお相手とやり取りをしていたのですが、後から依頼者が納品前のイラスト(完成はしていて最終確認としてお送りしたデータ)を無断で二次利用(イラストを元に第三者クリエイターに別の依頼)している事が判明しました。
事前の契約では著作権譲渡もしてなければ二次利用の許可もしていません。
この場合全額返金に応じなくても問題ないでしょうか❓
お相手からは全額返金できないのなら注意喚起として晒す、警察に行くと言われています。
現在はこちらが100%悪い形として既に晒されており、さらに晒すという言葉に契約で交わした個人情報等を晒されるのではと恐怖があります。
身を守るためにも全額返金に応じるべきでしょうか。
本件は、配信者(委託者)がイラストレーター(受託者)に立ち絵の作成を依頼した業務委託契約と理解しました。受託者による納品前のイラストデータの提供が完成品の納品に当たるかどうかが良くわかりませんでした。仮に完成品を納品していないとの前提に立つと、委託者が契約を解除すれば、委託者から受託者が受領したお金は不当利得となるため、受託者は全額返還しなければなりません。
もっとも、納品物に係る著作権の譲渡・利用許諾を受けていないのに、委託者が無断で当該著作物の二次利用をしているのであれば、受託者は著作権の譲渡料・利用料を請求できます。まずは相手方に全額返金し、その後、譲渡料・利用料を請求することが考えられます。ただ、請求しても一向に譲渡料・利用料を払わないといった事態が想定されるなら、全額返金前に、譲渡料・利用料の金額を確定させて支払を求めることも考えられます。
完成品の納品はしていません。あくまで納品前の最終チェックとして提示したデータを無断使用されている状況です。
当初は全額返金で動いていましたが、このような事態が発覚したことで全額返金ではなく二次利用料を差し引いた額を返金したいと考えています。
しかしながら相手が全額返金以外応じてくれません。
お相手の対応から、全額返金後に二次利用料を払う意思もないようです。
全額返金できないことで既に詐欺として晒されていて、そのせいで他の仕事にも影響しています。
こちらとしては二次利用料を差し引いた額を返金+晒し書き込みの削除約束の書面を交わしてやり取りを終わりたいのですが、進展がなく困っています。
お相手が「全額返金しないなら警察に行く」と言っていたので、(お相手が本当に警察へ相談に行くのなら)警察からの連絡を待った方がいいのでしょうか。
相手が応じない以上、こちらから弁護士を間に入れた方がいいのでしょうか。
提供いただいた事実からすると、そもそも受託者は欺罔行為をしていないので、詐欺罪は成立しないと考えて良いです。相手方が警察に行くことで、受託者に任意聴取を求めることがあるかもしれませんが、最終的に民事上のトラブルと判断し、詐欺罪で立件することはないと思われます。ヒートアップするかもしれませんが、逆に相手方が受託者の著作権を侵害している(刑事罰の対象)と警察に報告しても良いと思います。ただ、こちらも警察が捜査に着手するとは考えにくいです。
相手方との直接の話合いは難しそうなので、イラストの対価(報酬)が相応の金額であるなら、弁護士に交渉を委任するのが良さそうです。
なお、相手方が業務委託契約を解除していないのなら、別の法律構成として、納品前の最終チェックとして提示したデータの財産的価値が完成品の例えば50%(仮)であると主張し、価値の減少分の金額を相手方に返還することも考えられます。