故人の遺留品の自宅の鍵を受け取ると相続放棄に影響しますか?
孤独死した家族がいます。遺体引き取り意向伝えた際に、警察から遺留品(故人の自宅の鍵等)受け取ってほしい言われました。自宅の鍵を受け取ると、遺産の引き継ぎとして相続放棄できなくなる可能性はありますか?
単純相続をしたとみなされるのは、相続人が相続財産を「処分」した場合です(民法921条1号)。
どのような行為がこの「処分」に当たるかについて、明確な判断基準はありませんが、相続財産を保管するだけでしたら、保全や現状維持の範囲内ですので、「処分」とみなされることはまずありません。
もっとも、保管するにあたっては、相続財産を消費するなど、現状を変えるような行為をしないように注意する必要はあるでしょう。
自宅の鍵を受け取るだけであれば、相続放棄が直ちにできなくなってしまうおそれは少ないといえます。
ただし、次に相続権を持つ人(後順位の相続人)や相続財産清算人が管理を始めるまでの間は、相続人(ご質問者様)に「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」財産を管理する義務が残る可能性があります(民法第940条)。
お答えいたします。結論としては,相続放棄ができなくなるような法定単純承認には当たらないと思われます。鍵を預かっただけでは,自分が相続人であることを前提として行動したとは言えませんし,却って相続人は,法律で自己の財産におけるのと同一の注意を以て相続財産の管理が必要ですので,管理の一貫として自宅の鍵を受け取ったと考えるべき事案と考えます。