個人間での請負契約における長期不履行への契約解除と遅延損害金について

2021年7月に、プラモデルのオーダー製作代行している方へ製作依頼を行いました。
メールにて詳細を打ち合わせた後に納期は約12ヶ月(万が一遅延する場合は事前に連絡)という旨と、金額825000円を指定口座に振り込むようにとのやり取り等も含めて全てメールで記録が残っている状態です。

2021年7月21日に先方の口座に入金し、先方の氏名、住所、電話番号もお教えいただいた上で製作が始まりましたが、8ヶ月程度経過した頃に先方から、制作があまり進んでいないとの連絡がありました。その後1年半ほど経過した際に、製作途中の画像が送られてきたのを最後に、先方側からの自発的な制作状況の連絡が来ることが無くなり、2025年10月現在に至ります。
確かに支払時の説明の通り、納品が延期になるという事前連絡がありましたが、その後こちらから何度か確認を取っても現状の進捗が今どの程度で、納品目途がいつなのかなどの具体的な話が一切なく、進捗に関する連絡もこちらから連絡をしない限り、先方から積極的な連絡は全く来ない状況です。
書面での請負契約を交わした訳ではありませんが、商品の仕様詳細、予定納期、金額明細は先方からのメールに明確に記載がありますが、先方は製作代行は事業者として行っている訳ではなく個人として製作を請け負っているという立場になります。

【質問1】
先方へ、支払った依頼料全額の返金と、製作依頼時に送付したプラモデルキットの同等品(新品)の返却を請求する予定ですが、先方が製作途中の時点までの製作費を要求してきた場合、応じる必要はありますでしょうか?

【質問2】
長期不履行のため遅延損害金を請求したいのですが、今回の事例の場合請求可能なのでしょうか?別段具体的な不利益は生じていないです。また、契約時に取決めが無いので請求する場合は年3%が適当なのでしょうか?

1 質問1について
請負人(先方)のこれまでの対応をみると、一定期間を定めて履行の催告をしてそれでも完成しない場合には、請負契約を解除し、依頼料及びプラモデルキットの返還(原状回復)を求めることができる事案であると考えます。製作費については、双方の合意に基づく解除の場合には注文者が一定の支払義務を負う可能性がありますが、本件はそもそも解除が請負人の債務不履行を理由とするものであるため、相談者様は支払義務を負わないものと考えます。

2 質問2について
予定納期もしくはそれから一定期間経過後のある時点で、請負人が債務不履行状態になっていたと主張して、その時点以降の825,000円の利息相当額を請求することは考えられるかと思います(債務不履行に基づく損害賠償請求もしくは不当利得返還請求)。その場合の利率は、ご記載のとおり、法定利率である3%とすることが適当です。