社員の経歴詐称は解雇理由として十分でしょうか?

私は
上場企業の人事部スタッフです。
以下教えてください。

社員の経歴詐称を、
解雇事由として認められますか?

去年、
中途採用の執行役員営業部長の採用に当たって重視した経歴が、
4年ほど少なく記載されていることがわかりました。
具体的には、
他社の経歴と合算されておりました。
大手4大商社に7年いたとのことですが、3年弱しか在籍しておらず。

顧問弁護士に相談すると、
詐称された経歴の内容やそのの程度、その詐称による企秩序への危険の程度等を総合的に判断する必要があり、
現状の勤務態度が、会社に大きな損害を与えてない限りは解雇は無効になりますと言われました。
つまりは解雇はできない!とのこと。

たしかに、真面目な方で、無遅刻無欠席で社内の評判も良い方です。

ただ、
正義感の強い方なので、
社長とよく衝突をしており、
社長からはウザいからクビにできないのか?と指示が出ております。
解雇にしたい背景にはそういう事情があります。

そこで、解雇理由として、
経歴詐称を見つけたのですが。

顧問弁護士は、
経歴詐称が面接前に事前に発覚すれば、
会社がその労働者と契約を締結しなかったか?という証明が必要になるとも言われました。
かなりあやふやで難しそうです。


有名大手商社に7年勤務とされていたのですが、実質は3年でした。
残りの4年はその前の別の中堅商社の営業部長時代が足されておりました。
これは重大な経歴詐称にはなりませんか?
解雇は無理ですか?
大手商社7年勤務ということで年収も1800万円にしたのですが、
もし、事前に3年しか勤務がなかったら1200万円くらいの年棒にしていたかもしれません。


そもそも、
経歴詐称は
解雇する値する重要な解雇理由になりあるでしょう?
能力不足など、他の理由を、
付け加えた方が良いでしょうか?

社員の経歴詐称は、解雇理由として十分となり得るものの、その詐称の内容や程度、会社に与える影響などによって判断が分かれます。
裁判例の傾向から、解雇が有効となるかどうかの主なポイントは以下の通りです。
①「重大な経歴」の詐称であるか
真実を告知していれば、会社がその社員を採用しなかったであろうと判断されるような重要な経歴の詐称である場合、解雇が有効となる可能性が高まります。
特に、採用決定の動機や、採用後の業務内容・賃金設定に重大な影響を与える学歴、職歴(特定の専門能力、前職での懲戒解雇歴など)、資格・免許、犯罪歴などの詐称は、重大とみなされやすいです。
逆に、軽微な詐称(採用にほとんど影響しないような職歴のわずかな期間の偽りなど)を理由とする解雇は、解雇権の濫用として無効と判断されるリスクがあります。
②会社の企業秩序や信頼関係に与える影響
経歴詐称が、単に契約締結時の問題にとどまらず、入社後の労使間の信頼関係を損ない、経営秩序を乱す危険が極めて強いと判断される場合に、解雇が有効とされます。
③会社の就業規則の定め
懲戒解雇とするためには、就業規則に経歴詐称を懲戒解雇事由として定めていることが必要です。
④解雇までの手続の適正性
懲戒解雇を行う場合は、就業規則に基づき、労働者への弁明の機会付与などの適正な手続きを踏む必要があります。