社員の解雇は職種限定で有利になる可能性はありますか?
上場している中堅ゲームアプリ開発メーカーです。
私は人事&法務部のスタッフですが
"解雇にした社員の是非"について
顧問弁護士と話し合いをしても
理解ができない部分があったので教えてください。
開発部に年俸2000万円で
開発部長候補で採用した
高度人材の中途社員がいますが
なかなか成果が上がらず
社長も執行役員も
痺れを切らして、
社長命令で、
入社10ヶ月目に解雇にしてしまいました。
先月のことです。
私としても、
解雇にするなら
業務改善計画とか、配転とか、
スキル修正プログラムとかの
評価を経てから、話し合いのもとに
解雇にしないと、どのみち揉めてしまう時考えておりました。
いきなり、成果が上がっていない!との理由で解雇でした!
能力不足、コミュニケーショ不足を
解雇理由にして通知書を渡して、
解雇予告手当を1ヶ月分お支払いしております。
そして、
その後、その解雇社員の仲良しの社内の方からの情報によると、今、彼は、
不当解雇の訴訟の準備をされているそうです。
そりゃそうですよね。
そこで、
顧問弁護士に相談したところ、
さすがにそんな経緯で解雇にしてしまったのはびっくりされていましたが、
職種を限定した高度専門人材ならば、
解雇有効に裁判所も見てくれることがある!
と話をされておりました。
本当にそうならば、
弊社としてはありがたいのですが、
実際のところはどうでしょうか?
裁判になったら、
"職種限定の専門職採用だったので、
配点をすることもできずに
解雇にしたー!"
との立て付けの反論を出すことになりそうです。
また、社員からの証言も、
彼を貶めるための悪い方に傾く、
能力不足を表現する評価の証言の答弁書を作ることになりそうです。
こんなことで裁判に勝てますでしょうか?
高度人材の職種限定だと、
解雇は容易いでしょうか?
高度人材の解雇は、それを期待して雇用している、という前提があるため、一般職よりは認められやすい傾向にありますが、何でもかんでも認められるということにはならないでしょう。
したがって、ご相談のケースで、ご予定のような主張をされるとしても解雇が必ずしも認められるわけではないことにご留意いただく必要があります。
どのような証拠を用意するかについては、顧問弁護士に是非ご相談されるべきです。
顧問弁護士から十分にお話が得られない場合はセカンドオピニオンで正式な法律相談を行うのも一案です。
一般論としては、即戦力中途採用者で職種限定の労働者が、採用の際に前提としていた能力等を欠いていたと認められるような場合は、確かに解雇回避努力義務の一環となる配置転換や降格などの措置は必ずしも求められませんし、新卒総合職などの場合と比べると相対的には解雇の有効性が認められやすい傾向にあります。
しかし、このような場合でも、「会社が当該労働者に対してどの程度改善の機会を与えたか」との点はやはり重要な要素となり(業務改善計画など、御指摘の手段はその一例となるでしょう)、裁判上もこの点について争点化する可能性が高いと思います。
具体的事案での見通しや戦略については個別事情によりますので、顧問弁護士の先生等とよくご相談なさるのが良いかと思います。