契約違反を事前に把握していながら、退職時まで黙認していた場合も罰則を受けますか?
スナックで働いていたのですが、退店の意思を伝えたところルール違反があったのではないかと指摘されました。
店からお客様との連絡用に携帯を与えられており、やり取りを定期的にチェックされています。そのため、ルール違反があった場合は気が付いているはずです。
退店時まで追求していないのは、お店にとって不都合がなかった、または退店時に脅迫の材料として使用する企みがあったように思えます。
ルールと罰則は業務委託契約書に記載されていますが、入店時(1年ほど前)にサインし、控えをいただいていません。
仮にルール違反があった場合は罰則を受けることになりますか?
形式的に業務委託契約という名称が使用されていたとしても、実質的に労働者と言える場合には、労働法が適用される可能性がありす。
どのように、労働者性が判断されているのかという判断基準は、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」 (昭和 60 年)が参考になります。そこで挙げられている基準は、以下のとおりです。
1 使用従属性に関する判断基準
(1) 指揮監督下の労働
イ 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
ロ 業務遂行上の指揮監督の有無 ハ 拘束性の有無
二 代替性の有無
(2) 報酬の労務対償性
2 労働者性の判断を補強する要素
(1) 事業者性の有無
イ 機械、器具の負担関係
ロ 報酬の額
(2) 専属性の程度 等
仕事をする時間や場所の拘束が強い、依頼や指示に対する諾否の自由がない、業務を遂行する上で上司等の指揮監督がなされる等の事情がある場合には、実質は労働者と判断できる可能性があります。
あくまで、労働者と扱われる場合ではありますが、労働基準法第16条違反等を主張できる可能性があるかもしれません。
店側の罰則等の主張を鵜呑みにせず、疑問を感じる場合には、店を管轄する労働基準監督署等に相談なさってみるとよろしいかもしれません。
【参考】労働基準法
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。