経歴詐称による中途採用者の解雇は可能か?証拠の必要性は?
素人にも、
わかりやすく
適切なアドバイスお願いします。
私はベンチャー企業人事部の
マネージャー立場です。
株式上場を控えております。
春に採用した
年収1500万円の
中途採用の幹部の方がいますが、
正義感の強い方で
社長と衝突が多くて、
社長の指示で解雇にできないのか?と。
そこで、
解雇理由を探していたところ、
その中途採用者の履歴書の経歴詐称が見つかりました。
採用の決め手となった有名企業の在籍期間を
4年も長く書いていました。
これを理由に解雇は、
出来ますでしょうか?
今回、その経歴詐称を理由に解雇にできないのかと考えております。
(前に、その中途採用者が、
"実は履歴書の経歴をまとめて書いてしまって"
という話を飲み会でしたことがあったそうで、今回、それを理由にできないのかと。)
具体的には、
履歴書での
前職の有名メーカーに7年在籍とのことでしたが、
前職は業務委託3年で、
前前職のその有名メーカー4年で、
合計7年でした。
【質問1】
この場合、経歴詐称で、
懲戒解雇にできますか?
提出されている履歴書が、証拠になりますでしょうか?
前職企業へ、ヒアリングをしたりして言質をとり、証拠記録を残さないといけないですか?
【質問2】
そもそも、こんな理由では解雇は無理ですか?不当解雇でしょうか?
"その前職7年があったからこそ、採用をした!"という立て付けにしようと思いますが。
使用者が懲戒解雇を行う為には、主として以下の4要件が必要であると解されています。
・就業規則への記載
・客観的に合理的な理由
・社会通念上の相当性
・適正な手続
ご相談の事由では、これらの中で、まず経歴詐称の客観的な証拠が存在するかどうかという点、そして当該詐称が社会通念上、懲戒解雇に該当し得る事由として社会的相当性が認められるかが問題になると思われます。
なお、その具体的な判断の際、
・労使間の継続的労働契約において、信頼関係を破壊する行為と評価できるか
・一定の経歴を有することが日本企業の賃金体系等の労働条件の基本となっていることを前提に、企業秩序を侵害するものと評価できるか
・使用者に労働力の評価を誤らせ、不適当な者を採用させ、採用後の従業員の適正な配置を誤らせるおそれがあると評価できるか
等の要素で懲戒解雇事由相当か否かを検討する形になると思われます。
詳細についてお知りになりたい場合、最寄りの法律事務所での相談を検討ください。
なお、東京地裁の平成20年6月10日の裁判例(マルヤタクシー解雇事件)も参考となり得ます。
西浦先生
とてもわかりやすく
解説ありがとうございます。
あと
年収の高い高度人材の中途採用は、
面談をせずに、
呼び出しての一発解雇もできると
聞いたことがあるのですが、
それも間違った知識でしょうか?
先生のアドバイスのように、
それなりの理由がないと解雇は無理でしょうか?