事故前年度から現在にかけて、収入が大きく上がった場合の逸失利益

事故発生時32歳、現在33歳の女性です。
2024年の10月(約1年前)に、派遣先の職場にて事故に遭い、脳挫傷(のちに外傷性てんかん発症/後遺障害9級)、半月板損傷(人工膝関節置換術を受け、後遺障害10級)、額に長さ5.5cmの線上傷(後遺障害9級)などの重傷を負い、最終的に、今年10月、後遺障害は併合7級と認定されました。
私は当時、業務内容的に派遣先の仕事を続けることが困難になったため契約を終了し、現在は自営業者です。

入通院慰謝料と休業補償は、元派遣元の労災保険からすでに支払っていただいているのですが、今回、後遺障害の認定を機会に、元派遣元ではなく元派遣先に、後遺障害慰謝料及び逸失利益を請求したいと考えています。

逸失利益の基礎収入は、原則として事故前年度の実際の年収がベースになるとのことですが、私は事故前年度から現在までの収入に大きく幅があります。

2023年度(事故前年度/無職)→0円
2024年度(事故発生年度/派遣社員)→266万円
2025年度(事故翌年度/自営業)→1577万円(4月から9月までの収入)

このような特殊な場合、後遺障害と逸失利益、合わせてどのくらいの賠償金額を望めるのでしょうか。
事故前年度の2023年度の年収がベースとなってしまうのでしょうか?

また、現在の仕事は在宅の座り仕事で、半月板損傷(10級)と額の線上傷跡(9級)については収入の減少につながる可能性が低いですが、外傷性てんかん(9級)については、今後の収入に支障が出る可能性があります。
その今後に予測される収入への支障を考慮に入れた上で、逸失利益を請求することは可能でしょうか。

もし逸失利益の支払いが認められず、かつ後遺障害により、今後の収入に実際に支障が出てしまった場合、賠償金額確定後でも、実際に発生した損害金額の請求を、元派遣先にすることは可能でしょうか。

>このような特殊な場合、後遺障害と逸失利益、合わせてどのくらいの賠償金額を望めるのでしょうか。
事故前年度の2023年度の年収がベースとなってしまうのでしょうか?

→ まず、いわゆる裁判基準による後遺障害慰謝料(後遺障害7級)は、1000万円です。
 次に、ご相談者さんの逸失利益の算定については、そもそも複数の後遺障害が残存して併合認定がなされており、複雑な側面があります。また、①基礎収入いくらとみるのが相当か、②労働能力喪失率はどの程度とみるのが相当か、③労働能力喪失期間が一定の期間に限定されるかが問題となる可能性があります。
 そのため、より適切には、後遺障害診断書等の医証を始めとする証拠を持参された上で、面談形式で弁護士にご相談になるのが望ましいケースと思われます。
 このうち、①基礎収入いくらとみるのが相当かについては、事故前後に大きな収入の変動が見られるため、2023年及び2024年の実収入を基礎収入とするのは相当ではなく、事故当時32歳という若年労働者のカテゴリーに含まれ得る年齢であったことも踏まえ、賃金センサスという統計値による収入認定を求めて行く方法も考えられるかと思います(この方法により、2023年及び2024年の実収入よりも高い金額を基礎収入とすることが可能となるかもしれません)。
 なお、2025年度については、自営業→1577万円(4月から9月までの収入)との記載がありますが、この金額は売上げではないでしょうか。自営業者の収入は売上げから経費を控除した所得をベースとするため、念のため、確認してみてください。
 また、2025年以降の収入が事故前よりも高額となる場合、②労働能力喪失率を低く認定されたり、③労働能力喪失期間を短く認定される可能性も出てくるため、これらに対する手当もしておくべきでしょう。
 いずれにしましても、この相談掲示板の守備範囲を超える問題かと思われます。
 また、後遺障害慰謝料も含めた損害賠償請求額は千万円単位に及ぶこと、逸失利益の算定が複雑なご事案であること、業務中の事故のご事案であること等に鑑みますと、会社側との間で、責任の程度や損害額に大きな争いが生じる可能性があり、場合によっては訴訟提起等を要する可能性も想定されます。
 そのため、一度、業務中の事故の損害賠償問題に通じている弁護士に直接相談なさってみてください。