叔父の財産から不明な出金、弟の法的責任は?

今年の3月に叔父がなくなりました。
叔父は85歳で、生涯独身、子供もいません。
相続人は叔父の弟1人と、叔父の亡くなった兄弟である子供の、私、私の弟、私の姉です。
叔父は亡くなる一年半前に入院、そのまま病院から介護施設に入りました。
その時に入退院の手続き、病院への支払い、そして介護施設への申し込み、支払いをしたのが、叔父の近所に住み、以前から叔父と交流のあった私の弟でした。(他の相続人は皆他県に住んでいた。)
叔父が亡くなり、相続財産(預金と不動産)が、弟の弁護士より私の元に届きましたが、叔父に関わる諸費用の他に、預金通帳より1千万近くの大金が叔父の入院や施設への入居中に弟により、引き出されており、それは現在「保管中」と書かれていました。どこに保管中なのかは明記されてはおらず、何の為に出金したのかも書かれてはおりませんでした。
また相続遺産として頂いた目録の通帳には、不明(電気代の引き落とし通帳も見当たらない)な点も多く、他にも不正出金があり、その隠ぺいがされている可能性はかなりあります。
当然ですが、弟は、叔父の同居親族ではありません。
また代理人カードなどを叔父より貰っていた訳ではないとの事です。
同居親族ならば「不正な出金による使い込み」などは、よくある事だと思うのですが(その場合は不法利得返還請求になると思いますが)もし「保管中」とされる現金が無い場合、また他にも多額の不正出金があった場合には、弟はどのような責めを負うことになるのでしょうか?(相続人(叔父の弟)の叔父は窃盗だから警察に行くと言っているのですが。)
よろしくお願いいたします。

もし「保管中」とされる現金が無い場合、また他にも多額の不正出金があった場合には、弟はどのような責めを負うことになるのでしょうか?
→民事的には、同居親族の場合と同様、不法利得返還請求(民法703条)ないし不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)となります。
刑事的には、亡叔父様の生前に弟氏が管理(占有)を任されていたか否かにより、横領罪(刑法252条1項)、ないし窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性があります。
ただ、一般的に、相続事案において「不正な出金による使い込み」で、刑事上の罪が認められるのは稀です。
むしろ今回のケースでは、先方弟氏から依頼を受けた弁護士がいるとのことですので、まずは先方弁護士に、「保管中」の現金の所在、通帳上の各出金の用途、遺産に含むのかの別等について、問い合わせるのがよろしいかと思います。
また、相続案件は、追及の程度や法的に有効な主張を行えるか否かにより、結論が変わりうるものでございますので、一度直接弁護士にご相談されてもよろしいかと思います。

石川 雄太先生。

大変分かりやすく、また丁寧なお答えをありがとうこざいました。
弟の弁護士さんより聞いたところ、占有を任されてはいないそうです。
ただ叔父の方より、入出金(入院費や税金など)の依頼等は受けていました。
(ただ、叔父は入院してから、少し痴呆がありました。)
叔父の方は頭にきている事もあり、この件を大事にしたい感じですが、私の方としては叔父に申し訳ないと思いつつ、なるべく穏便(弟が自ら賠償をしてくれることを望んでいます。)に済ませられたらいいなと思っています。
弟の弁護士さんと話して、ラチがあかないようであれば、専門家の方にお願いし、調停や裁判での話し合いをしたいと思います。