一度個人再生を断られました。今後の具体的な道筋について相談させてください。

はじめまして。50代の会社員です。
現在、複数の1,400万超の借金があり、先日、弁護士先生に個人再生の相談をしたところ、「世帯収入(夫婦で手取り月40万円)に対して支出が多く、安定した返済が難しい」との理由で、受任を断られてしまいました。
諦めきれず、家計を徹底的に見直したところ、月々約8.6万円の返済原資を捻出できる計算になりました。詳細な収支リストも作成済みです。
財産としては、差押禁止のiDeCo(約366万円)、預貯金(約36万円)、ローン残高とほぼ同価値の普通車(所有権留保なし)、ローンなしの軽自動車(査定額約40万円)などがあります。
この状況で、お伺いしたいのは以下の点です。
1. 詳細な収支リストと、「生活費をここまで切り詰める」という改善計画を提示すれば、個人再生を再度検討してもらえる可能性はあるでしょうか?
2. もし個人再生が難しい場合、自己破産という選択肢も考えています。その際、「車がないと生活できない」という切実な事情があるのですが、価値のある軽自動車だけでも手元に残す「自由財産の拡張」は現実的に可能でしょうか?
3. 私の状況で、生活を再建するために最も現実的な選択肢は何だとお考えになりますか?
一度断られ、先の見えない状況です。どうか、専門家としての率直なご意見をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

1 月約8.6万円となれば、十分個人再生を検討できるのではないでしょうか。質問者様の場合、いろいろな財産があるようなので、個人再生が望ましいように思います。
2 「車がないと生活できない」という事情がどこまで切実なのかということを裁判所や破産管財人に理解してもらえるかという点にかかってきます。
3 先に回答したとおり、第一次的には個人再生です。

質問1
再度検討してもらえる可能性は低いと思います。相談内容に記載いただいている収支を確認する限りでは、個人再生は難しいかと思います。
というのも、個人再生という手続きは、裁判所に再生計画の認可決定を受けることで、借金を大幅に減額する手続きで(民事再生法231条2項3号、4号)、減額された借金を原則3年間(延長により5年間)で支払うことで(民事再生法229条2項2号)、残りの借金について支払義務がなくなるものとなっております。
借金の額が500万円以上1500万円未満の場合、「債務者の借金総額の5分の1」と「債務者の所有財産すべての総額」を比較してみて、金額の大きいほうが、減額してなお支払うべき借金額となります。
今回のケースでは、1400万超の借金とのことですので、その5分の1でおおよそ280万円。もっとも、相談者様の財産は、iDeCo(約366万円)、預貯金(約36万円)、ローン残高とほぼ同価値の普通車(?万円)、ローンなしの軽自動車(査定額約40万円)ですので、おおよそ500~600万円が総財産と推察いたします。なお、iDeCoは、自己破産において差押禁止財産ではありますが、個人再生手続においては、債務者の所有財産として総額に加算されます。
そのため、今回のケースでは、減額してなお支払うべき借金額は500~600万円となります。これを3年間で返済すると、月々約14万円の返済となります。仮に5年間へ延長が認められたとして、月々約9万円の返済となります。
なので、返済原資が月々約8万6000円では足りません。また、仮にギリギリで足りたとして、5年間もあれば病気にもなります。支出が通常よりかかる月も発生します。安定した返済が難しい場合には、再生計画の認可決定は出ないです。
そのため、相談内容に記載の限りでは、個人再生は難しく、再度受任を検討してもらえる可能性も低いと思います。
質問2
可能です。ローンなしの軽自動車(査定額約40万円)であれば、手元に残した形で自己破産は可能かと考えます。
周辺環境や仕事内容などにもよりますが、生活の足としての自動車であれば、手元に残した形での自己破産は、比較的認められやすいです。
質問3
自己破産です。
前記の通り、個人再生は無理があると思います。
また、仮に個人再生が可能であったとしても、自己破産をススメます。

東京地裁の運用傾向を参考として書いておきます。
• 自動車については、生活必需性が認められれば保有継続可だが、清算価値として査定額を反映。
• iDeCoについては、60歳未満の場合は評価ゼロとする傾向が強いが、制度の普及に伴い、将来価値を考慮する裁判官も出てきている。
申立前に任意に処分しておくことによって、再生計画案を通しやすくするという選択肢もあり得ます。

石川先生、ご回答ありがとうございます。
先生のご指摘で、iDeCoが清算価値に含まれるという点について、もしよろしければ追加でご教示ください。
私なりに調べたところ、iDeCoは差押禁止財産のため清算価値には含まれない、という解説を多く見かけており、少し混乱しております。
これは裁判所の運用など、実務上の特別な理由があるのでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。

濵門先生、明確な方針をお示しいただき、ありがとうございます。希望が持てました。
先生がおっしゃる「将来価値を考慮する裁判官も出てきている」という点について、もしよろしければもう少し詳しくお聞かせください。
どのような場合にiDeCoが評価資産と評価されるリスクがあるのでしょうか。私の状況でそのリスクを避けるためにできることがあれば、アドバイスをいただきたく存じます。
お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

今後、正式に相談させていただくにあたり、事前に準備しておくべき書類や情報(例えば、自動車の査定書や、車が必要な理由を客観的に示す資料など)があれば、アドバイスいただけますでしょうか。
お手数ですが、よろしくお願いいたします