多数の人から嘘をついてお金を借りて、逃げている個人を、法的に罰することはできるか
学生時代の友人が、多くの人から嘘をついてお金を借りて、連絡が取れなくなってしまっています。(いわゆる”飛ぶ”)
この友人を何かしらの方法で見つけ、逮捕するなどの刑事罰を与えることは、現在の日本の法律で可能かをお聞きしたいです。
私個人の被害額は70万ほどですが、他の人にも同様に嘘をついてお金を借りて飛んだり、これまでには「会社の経費を使い込んで飛ぶ」といったことがありました。
私以外の人は、その友人のご両親の元を尋ね、現在はご両親が借金を肩代わり、なおかつ今もご両親が返済中、という話を伺っています。(直接ご両親からお聞きしました)
警察にはすでに相談済みですが、個人間のやりとりなので、警察が介入することは難しい、というお話でした。
弁護士を介してどうにかするしかない、と伺ったのですが、本当にそうでしょうか、、?
私個人としては、お金を返して欲しい、というより、被害の規模が大きいので、何かしらの刑事罰(例えば詐欺罪など)で逮捕し、懲役に行ってほしい、というのが本音なのですが、今の日本の法律だと、この状況で罰せられることはないのでしょうか?警察に相談した際には、「悪いことだけど、個人が相手だと警察が動けない」という話をされました。
ご回答いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
【追伸】
私とその友人間の金銭のやり取りは、口頭ではなく全てメッセージでやり取りを行っており、全て銀行振込で行っています。(=全て記録に残っていて、何かしら電子的に相手の端末を特定することは可能な状態)
必要であればより具体的な詳細を提示することは可能です。
よろしくお願いいたします。
個人が相手だというよりも、詐欺罪の要件である「欺罔行為」(真実でないことをあたかも真実であるかのように告げて相手を信用させ、だましたうえでお金を交付させること)の立証が、いわゆる寸借詐欺のようなケースでは難しいというだけだろうと思います。
いわゆる「知人にお金を貸したところ返してもらえない」というパターンにおいては、詐欺罪として立件可能なものが3割程度、残りの7割は欺罔行為の存在が確認できないため、民事の債務不履行の問題にとどまり事件化できない、という感覚です。
井上先生
ご回答いただきありがとうございます。
この質問を投稿した後、自分なりに色々調べてみて、昨日の朝再度警察の方に伺いました。
結論からいうと先生の仰る通りで、個人間どうこうというより、「詐欺罪の要件を満たしておらず、刑事罰には当たらない」とのことでした。
ただ、話の中で欺罔行為であることの立証はできたのですが、貸し借りの場合だと、所有権が相手に移行していないため、詐欺罪の要件である、「処分行為」していることにあたらず、詐欺罪には当たらない、という話でした。
詐欺罪の要件を満たしていないことは重々理解したのですが、正直、これが何かしらの刑事罰に当たらず、正当化される行為(犯罪じゃないのでやってOK)なのが、なんともやるせない気分にはなりました。
ある種「やったもん勝ち」という感じでしょうか。
そこで、可能であればもう一点お聞きしたいのですが、詐欺罪以外に、何かしらの刑事罰に該当する可能性は考えられないでしょうか?
もしよろしければ見解お聞きできると幸いです。
よろしくお願いいたします。
>貸し借りの場合だと、所有権が相手に移行していないため、詐欺罪の要件である、「処分行為」していることにあたらず、詐欺罪には当たらない
個人的にはこの見解は疑問です。詐欺罪のような財産犯は占有を問題とし、金銭の場合は交付した段階で占有が相手に移るため、処分行為の要件は満たされるのではないかと思います。
ただし結局のところ詐欺罪の要件を満たすことは難しい場合が多く、立件できないという結論には特に違和感はありません。
大変残念ですが、こうした「詐欺罪に該当しない金銭の貸借」の場合、刑事罰を伴う法令の規制がないので、民事上の債務不履行として回収(強制執行を含む)でしか対応できないのが通常です。