訴訟費用の厳密な定義(公式)を教えてください
訴訟費用につきまして、「勝訴していても負担割合の関係から自分が払う必要がある場合」があるとのことですが、
・具体的にはどのような状況でしょうか?
・そもそも訴訟費用とは、双方当事者が負担した金額の合計、でしょうか?
・法廷出頭の日当は、双方の合計でしょうか?
・相手方の弁護士費用も訴訟費用に含まれますか?(当方が本人訴訟の場合、当方はかなり不利となりますか?)
全面勝訴していない事案においては、原告が●分の1、被告が●分の●といった割合で、訴訟費用を負担させることがあります。訴訟費用の主なものは、収入印紙代、郵券代、証人の日当等です。相手方の弁護士費用は訴訟費用には含まれません。
民事訴訟法は、訴訟費用は敗訴者が負担すると規定し(民事訴訟法61条)、一部敗訴の場合は裁判所が訴訟費用の負担割合を定めることとしています(同法64条本文)。つまり、原告の請求が訴状の請求の趣旨記載のとおり全面的に認容された場合(全部勝訴判決)の訴訟費用は全て被告負担であり、一部勝訴(一部敗訴)の場合に原告も負担する余地が出てくることになります。
判決主文で示される訴訟費用負担の裁判(「訴訟費用は被告の負担とする」など)にいう「訴訟費用」は、原告および被告双方に生じた訴訟費用を指しますが、訴訟費用の正確な金額を確定させ強制執行を可能にするためには、訴訟費用額確定処分の申立て(民事訴訟法71条1項)が必要となります。そのため、申立てがなければ訴訟費用の請求が事実上行われないことも少なくなりません。
訴訟費用を一方当事者のみが負担する場合(全部勝訴判決又は全部敗訴判決)は、申立人が提出する訴訟費用計算書だけで判断されることになりますが、割合負担とされた場合は、裁判所書記官は相手方へも(相手方が負担した訴訟費用についての)訴訟費用計算書の提出を催告し(民事訴訟規則25条1項)、計算書が提出された場合は、被告が負担すべき原告の訴訟費用と、原告が負担すべき被告の訴訟費用を相殺計算して訴訟費用額確定処分を行うことになります(民事訴訟法71条3項)。
このように、訴訟費用額確定処分の手続においては、原告は原告に生じた訴訟費用(出頭旅費日当や書類作成提出費用)を、被告は被告に生じた訴訟費用を、それぞれ提出するという流れになり、例えば原告が、被告に生じた訴訟費用も合算して計算・提出する必要はありません。
なお、訴訟費用が割合負担とされている場合で、被告から訴訟費用計算書が提出されなかった場合は、原告が提出した計算書に基づく割合分のみで(相殺計算せずに)訴訟費用額確定処分がなされます(民事訴訟規則27条2項前段)。この場合、原告についての訴訟費用額確定処分がなされた後に、被告が訴訟費用額確定処分を申し立てることは妨げられないとされています(同項後段)。
弁護士費用は、訴訟費用に該当しません。どのような費用が訴訟費用にがいとうするかは、民事訴訟費用等に関する法律(民事訴訟費用法)及び最高裁規則(民事訴訟費用等に関する規則)で定められています。