役員としての給与未払いと違法指示に対する法的対処法
私は中小のIT企業の取締役をしております。
今年の6月から病気のため入院、手術を行ったため2ヶ月間の休職をしました。
休職期間は健保組合から傷病手当を受給しておりました。
7月後半に社長へ仕事復帰をする旨伝えましたが、次の常駐請負先が見つかるまで病院に病気が良くなっていないとウソの症状を伝え、傷病手当の申請をするよう指示されました。
しかし違法行為のため、その指示は聞き入れませんでした。
その後、給与振込日になっても支払はされませんでした。
後日、再度10月まで常駐請負先が見つからない旨を社長へ伝えて、給与を払ってもらえるか確認しましたが10月分まで傷病手当を申請するよう指示がありました。
給与未払が発覚してから不眠が続いており、社長には不信感しかありません。
そこで、8月からの未払分の回収、早期の役員辞任、数回の不正行為強要に伴う心的苦痛に対する慰謝料請求は可能でしょうか。
>8月からの未払分の回収、早期の役員辞任、数回の不正行為強要に伴う心的苦痛に対する慰謝料請求は可能でしょうか。
→ まず、会社との間で取締役報酬の合意がある場合、8月からの未払分の取締役報酬については会社に請求できる可能性があります。
次に、慰謝料請求については、会社からの指示がメール等の証拠に残っているという立証上の問題、あなたの病状•回復具合に関する意見の相違を超えて強要とまで法的に言えるか、未払分の取締役報酬の請求が可能と言える場合にそれを超えてさらに慰謝料まで認められるか等の問題があり、請求が認められるかは厳しい可能性もあるかもしれません。
さらに、取締役の辞任については、以下のような留意点があります。
会社と取締役との関係は、委任に関する規定に従うため、受任者の立場にある取締役は、いつでも辞任できます。
ただし、相手方(会社)の不利な時期に辞任した場合、やむを得ない事由がある場合を除き、辞任した取締役は相手方(会社)に対して生じた損害を賠償しなければならないため、注意が必要です(会社法330条・民法651条2項)。
次に、ある取締役の辞任によって、法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、辞任により退任した取締役は、新たに選任された取締役(一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有するものとされています(会社法346条)。
あなたのケースについて、会社法346条が適用されるか否かを正確に判断するためには、あなたが取締役をしている会社が取締役設置会社か否か、定款で取締役の員数が定められているか等を確認する必要があります。
なお、会社との関係は上記のとおりですが、取締役を辞任したことを知らない第三者との関係では、既に取締役を辞任したことを第三者に主張するためには、取締役の退任の登記をする必要があるため、注意が必要です(取締役を辞任した会社が退任登記を行ってくれないような場合には、辞任した取締役は、退任登記を求める訴訟を裁判所に提起し、判決を獲得した上で変更の登記をする方法があります)。
いずれにしても、ご自身での対応が難しい場合、お住まいの地域等の企業法務を取り扱っている弁護士に直接相談してみることもご検討ください。