【緊急】この場合は不同意性交の人違いや誤認にあたるのでしょうか?

例えばの仮のケースで質問します。

マッチングアプリで知り合った女性と会い、同意の上でラブホテルで性交した。

不同意性交罪の成立要件で
○行為をする者について人違いをさせる
○それらの誤信・人違いをしていることに乗じる

と言うものがありますが、

マッチングアプリでは顔写真を他人の写真の片目と口を隠す加工をし、片目しか見えていなく雰囲気しかわからない状態で自分の写真かのようにしている。

その上でマッチした女性と仲良くなり、
本当は27歳男 高卒 無職なのに、
25歳男 大卒 個人事業主 
さらに個人事業主でやっていることや、自分の架空の大学時代のエピソードトークなどをしたうえで、女性に性交を同意してもらい性交した場合です。

この場合は人違いや誤認にあたり、不同意性交罪が成立するのか?

法務省の説明によれば、そういう人の属性について誤信がある場合には「人違い」には該当しないとされています。

(注24) 例えば、
○ 真実は無職であるのに金持ちの社長であると偽られ、そのように誤信した場合
○ 真実は既婚者であるのに、未婚者であると偽られ、そのように誤信した場合
については、相手方の職業、資力や婚姻関係の有無という属性に関する誤信があるにすぎないことから、いずれも、「行為をする者について人違い」をしている場合には該当しない。

刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律について法曹時報第76巻01号
'2)各要件の意義
「行為がわいせつなものではないとの誤信」とは、現に行われようとしている行為(実行行為)が、わいせつなものではないとの錯誤があることを意味するものであり、例えば、
○ 真実はわいせつな行為であるのに、医療行為であると誤信している
場合
などがこれに該当する。
「行為をする者について人違い」とは、行為者の同一性について錯誤があることを意味するものであり、例えば、
○ 真実は夫とは別の人物であるのに、暗闇の中で、行為者を夫と勘違いした場合
などがこれに該当する。
これに対し、行為者の|可一性は正しく認識した上で、その属性に関する誤信をしているにすぎない場合には、本項の「人違い」には該当しない。註24

(注24) 例えば、
○ 真実は無職であるのに金持ちの社長であると偽られ、そのように誤信した場合
○ 真実は既婚者であるのに、未婚者であると偽られ、そのように誤信した場合
については、相手方の職業、資力や婚姻関係の有無という属性に関する誤信があるにすぎないことから、いずれも、「行為をする者について人違い」をしている場合には該当しない。
このように、本項において、行為の相手方の社会的地位等といった属性について誤信があるにすぎない場合を処罰の対象としていないのは、このような誤信は、言わば、性的行為をする動機に関する誤信であり、現時点において、そのような誤信があることのみをもって処罰対象とすべきであるとまでは必ずしもいえないと考えられることによるものである。

結論から申し上げますと、不同意性交罪は成立しません。

不同意性交等罪は、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて性交」した場合に成立します。(刑法177条)

このように、同意しないことができないような状態にさせ、それに乗じて性交を行った場合に成立します。

具体的には、暴行脅迫によって畏怖し、正常な判断ができない状況や、酒や薬物などで正常な判断ができない状況や、社会的な上下関係等を利用して行う場合等が本罪に該当します。
※詳細は刑法176条1項各号を参照してください。

本件のように、単に自身の経歴を偽ったような場合、相手が正常な判断ができないという状況にはなく、あくまで、本人の同意のもと、行為に及んでると言えますので、本罪は成立しません。