フランチャイズ本部からの配膳ロボット不認可の対処法はありますか?

お世話になります。
フランチャイズの喫茶店を経営しております。
今般の人手不足、また既存従業員の負担軽減の為に、当店で配膳ロボットの導入を考えております。
これについて、フランチャイズ本部の担当者にその旨を話したところ、社内で稟議の必要があると言われ不認可と言われました。
理由は、当フランチャイズのお客様に対するおもてなし等の趣旨にそぐわない、今まで導入の実績がない。とのことでした。
私が確認した範囲内になりますが、加盟契約書の中で、配膳ロボットの導入について本部の認可が必要である様な記載はありませんし、関連性があるとすれば「当該フランチャイズのイメージ、信用を低下させる行為をしてはならない」の記載でした。
逆に「自らの判断で営業に必要な従業員を雇用し、または解雇する権利を有し、一切の義務を負う」の記載があり、類推適用も可能ではないかと考えてしまいます。
また飲食店全般で見かけるタッチパネル式の注文システムは、既に当該本部の関与により導入されているフランチャイジー店舗が数店あり、配膳ロボットと同様の位置づけではないかと思い、矛盾する点を指摘出来るのではと思います。
当店の経営状態で配膳ロボットの導入は、今後の健全な運営な為には必要不可欠なものであり、恐らくロボットの導入がない場合は近い将来廃店しなければならないと考えております。
この様な事例の場合、弊社としてはそのまま本部の不認可を受け止めるしかないのでしょうか。
また対処する余地等があれば、ご教示いただけたら幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

人口減少が進む日本社会において、飲食業界も人手不足にお悩みのことと存じます(ロボットの導入等の科学的知見を活用した人手不足解消や事業維持を図ることは社会的に重要性が増しています)。
 まず、フランチャイズ契約の加盟店も法律的には本部から独立した事業者であることから、本部と加盟店との取引については独占禁止法が適用されます。
 加盟者に対して取引上優越した地位にある本部が,加盟者に対して,フランチャイズ・システムによる営業を的確に実施する限度を超えて,正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益となるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引を実施する場合には,フランチャイズ契約又は本部の行為が独占禁止法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用)に該当するものとされています。
 参考情報をご紹介しておきます。今般の人手不足や既存従業員の負担軽減の観点から独立の事業者として配膳ロボットを導入しようとすることは合理的な対策と思われ、さしたる検証もすることなく利用制限をすることは優越的地位にある本部がフランチャイズ・システムによる営業を的確に実施する限度を超えて,正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益を課すものと言えるかもしれません。
 ご参考までに、公正取引委員会が公表しているガイドラインやパンフレットをご紹介しておきます。
 これらの情報を参考にして本部と再度交渉してみる、本部が真摯に取り合ってくれない場合には、公正取引委員会に問い合わせてみる等の対応が考えられるかと存じます。
 自社対応が難しい場合には、フランチャイズ問題や独占禁止法を取り扱っている法律事務所に直接相談なさってみてもよろしいかと存じます。

【参考】
「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(公正取引委員会サイト)
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html

「フランチャイズ•システムと独占禁止法」(公正取引委員会 パンフレット)
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/fcglpamph.pdf

「優越的地位の濫用」(公正取引委員会 パンフレット)
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/yuuetsu.pdf

清水先生様
早速のご連絡をいただき誠にありがとうございます。
また大変詳しいご説明をいただき、本当に感謝しております。
先生からご教示いただき、今回の件について前向きに対処していく強い自信にもなりました。
もし可能でしたら先生に詳細についてご相談させていただき、場合によっては本部への対応の一助をお願いする事は可能でしょうか?